欠席日数の多い中学生は高校受験で不利になる?対策も解説

更新日 2024.01.16
欠席日数の多い中学生は高校受験で不利になる?対策も解説

「欠席日数が多いと、高校入試で不利」と耳にした経験がある親御さんも多いかもしれません。では、何日以上欠席すると不利になるのでしょうか?

この記事では欠席日数が多い中学生が、高校入試までに知っておきたいポイントを解説します。高校ごとの欠席日数の扱い方や、欠席日数が多くても進学しやすい高校なども解説しました。

お子さんの高校受験を成功させるヒントとして、ご活用ください。

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何日欠席すると高校受験に影響を与えるのか

欠席日数が「年間30日以上」の中学生は注意が必要
欠席日数が「年間10日以上」は注意が必要

高校受験では、欠席日数が一定を超えると合否判定に影響します。はじめに、欠席日数と高校受験の関係について正しく理解しましょう。

(1) 欠席日数が多いと高校受験で合否判定に影響する

欠席日数が一定を超えると、高校受験で合否判定に影響する場合があります。「審議対象になる」とも言われます。

「審議対象になる」とは、高校側がその生徒を合格(入学)させるか否か、審議する対象になるということです。例えば、筆記試験が合格点を超えていても、「評定に1がある」場合は審議対象になると言われています。同じように、内申書に書かれた中学の欠席日数に対しても各学校で判定基準があり、場合によっては不合格になるかもしれないということです。日数だけでなく欠席の理由によっても、不利になるかもしれません。

対象となる欠席日数は、一般的には中学3年間で30日程度と言われています。1年間で平均10日程度ということになります(ただし、欠席は1日から内申点の減点対象になる学校もあります。逆に、皆勤は加点となります)。

10日程度としましたが、厳密にいえば中学や高校ごとに判断は異なります。「年間10日程度の欠席日数」というのは、あくまでも「大きく減点されない最低ボーダー」と考えてください。

なお、私立高校の推薦入試における欠席日数上限例については、具体的な例を次の章で紹介しています。

このように、高校入試において欠席日数が多いと不利になるため、欠席に正当な理由がある場合は、高校受験出願時に申請しましょう。一般的に「不登校枠」と呼ばれる措置を利用するのがおすすめです。

高校受験の「不登校枠」とは?

高校受験の不登校枠とは、不登校生に配慮した選考方法です。「枠」と呼ばれますが、不登校生に対して定員を別に設けるわけではありません。

「欠席に関する記録を見ない」「欠席理由を十分考慮する」などの特別措置を講じ、できるだけ不利にならないよう合否判定を受けられる選考を指します。

引用:長期欠席者等にかかる選抜方法について|愛知県教育委員会

引用:令和5年度一般入学者選抜募集要項|千葉県教育委員会

(2) 中学での欠席日数の扱いは自治体・高校により異なる

不登校枠などの特別措置を講じるケースも増えていますが、高校受験における欠席日数の扱い方は自治体(教育委員会)や高校に委ねられています。

とくに私立高校は欠席日数を厳しく審査する傾向があるため、欠席日数が多い中学生は厳しい受験となる可能性があります。

志望校が欠席日数をどのように扱うか、事前にチェックしておきましょう。次の章では、高校受験で欠席日数がどのように扱われるか概要を解説します。

高校受験における中学欠席日数の扱い方

欠席日数の扱い方は募集要項で定められている
欠席日数の扱い方は募集要項で定められている

高校受験での欠席日数の扱い方は、どのように定められているのでしょうか。ここでは一般的な例を解説します。

【中学生】高校受験における欠席日数の扱い方

(1) 公立高校

公立高校では、一般的に次の3パターンで欠席を取り扱います。

● 出願時に欠席に関する申告書を提出、合否判定で考慮
● 申請があった場合、調査書の欠席に関する項目を見ない
● 面接など、特別な選考方法を用意する

不登校や欠席日数が多い生徒の受験については、募集要項に書かれています。教育委員会のホームページで確認するか、不明な点は担任の先生に問い合わせてみてください。

(2) 私立高校

私立高校は、学校ごとに欠席日数の扱い方を定めます。

推薦入試では、欠席日数の上限を出願条件とする高校も少なくありません。以下は私立高校の欠席日数基準の一例です。

高校名日程基準
早稲田実業高校推薦入試各学年における欠席日数が原則として7日以内
の者で、欠席理由の明確な者。
明治大学付属明治高校推薦入試中学校入学後の欠席日数の合計が15日以内の者。
二松学舎大学附属高校推薦入試中学校3年間の欠席合計20日以内
遅刻合計20回以内、早退合計20回以内の者。

※ 2023年度(令和5年度)入試募集要項より

一般入試では欠席日数について言及しない高校も見られます。

(3) 調査書にかかれる内容によっても状況は変わる

高校側は調査書の欠席に関する項目を見て、生徒の状況を把握します。調査書に「何が書かれているか」を知っておくことは、受験に関わる重要ポイントです。

調査書に欠席日数がどのようにかかれるか、2つの点をチェックしておきましょう。

確認すべき点
◎ 中学の欠席基準を確認する
「保健室に来れば出席」とする中学なら、保健室登校ができれば欠席日数は少なくなります。

◎ 調査書記載対象の学年を確認する
調査書に記録される学年が「中3のみ」という場合もある。中1・2で欠席が多くても中3で登校できていれば影響は少ない。

調査書の記載内容については、担任の先生に問い合わせるのが確実です。また調査書に記載される学年は、教育委員会ホームページや学校の募集要項で確認できます。

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欠席日数が多くても合格できる志望校の選び方

欠席日数が多い中学生は、慎重な高校選びが大切
欠席日数が多い中学生は、慎重な高校選びが大切

欠席日数が多い中学生でも合格しやすい高校を見つける方法を解説します。

欠席日数が多くても合格できる志望校の選び方

1.欠席日数ボーダーを調べる
2.調査書と学力検査の比率を調べる
3.学力検査で十分に得点する

以上の3つの手順で進めましょう。要点を詳しく解説します。

(1) 教育委員会・高校ごとの欠席日数ボーダーを確認する

まず欠席日数ボーダー、つまり「欠席が何日あると入試に影響を与えるか」を募集要項で確認しましょう。不明な場合は、学校の先生に問い合わせるとわかります。

一般的に、公立高校は3年間の欠席日数が30日を超えると審議対象となると言われます(都道府県により異なる)。私立高校は学校によって異なります。

(2) 学力検査結果を重視する高校を志望校とする

欠席日数が多いお子さんは、残念ながら調査書の評価(内申点)が期待できません。調査書点を重視して合否判定する高校を選ぶのは、進んで不利になりにいくようなものです。

調査書より、当日の学力検査結果を重視する高校を選ぶようにしましょう。

合否判定における調査書と学力検査の評価比率は、募集要項で調べられます。例として、大阪府公立高校入試の合格者選抜方法を紹介します。

引用:一般入学者選抜方法について|大阪府教育委員会

タイプI・IIは、調査書倍率が1倍以下です。つまりタイプI・IIの高校は、調査書よりも学力検査結果を重視します。反対にタイプIV・Vの高校は調査書を重視するため、欠席日数が多いお子さんには向いていないとわかります。

(3) 学力検査で圧倒的な点数をとる

調査書より学力検査結果を重視する高校を見つけても、調査書がまったく評価されないわけではありません。調査書が合否に多少なりとも影響を与える以上、学力検査で圧倒的な結果を出すことが大切です。

学力検査結果がボーダーライン(合格・不合格が分かれる得点)ぎりぎりの生徒に関して、高校は調査書を比較し合否を決めます。反対に、ボーダーラインを大きく上回る得点を出した生徒は、調査書を慎重にチェックされることはほぼありません。

欠席日数が心配な受験生は、平均点で50~80点以上、偏差値で5~10以上プラスの結果を出せるよう頑張りましょう。

欠席日数が多い中学生が高校受験までにやっておきたい対策

今からでもできる調査書対策6つのポイント
今からでもできる調査書対策6つのポイント

「欠席日数が多いから高校受験が不安」「今からでも調査書を良くできる方法はあるのかな」と心配な場合は、これから紹介する6つの項目に取り組んでみてください。できそうな項目を1つか2、やってみるだけでも結果は変わるはずです。

(1) できるだけ学校に行く

何よりできるだけ学校に行けるよう、頑張ってみましょう。数時間いるだけでも、「欠席」ではなくなります。勉強が苦手なら行事の日でも良いですし、得意教科の授業だけでも構いません。

少しでも学校に足が向くようになれば、欠席日数の増加を抑えられます。

(2) 保健室登校やフリースクールを活用する

クラスの授業や行事への参加が難しければ、保健室登校ができないか考えてみましょう。保健室に来ていれば「登校」とカウントしてもらえる場合があります。

またフリースクールの活用もおすすめです。フリースクールとは不登校の生徒が学校の代わりに通える施設で、民間団体が運営しています。義務教育期間はフリースクールへの登校を「出席」としてもらえる場合があります。

フリースクールの一例(中学生対応)

スクール名所在地特徴
東京未来大学みらいフリースクール都内に2校(綾瀬・六町)・週1日から受け入れ
・学習指導も可能
・設備が充実
八洲学園中等部東京都3校・神奈川県1校・
大阪府3校・兵庫県1校
・入学金・授業料不要
・高等部教職員が指導
・中学復帰を目指す
フリースクール ゆうがく都内1校(代々木)・独自の行事が豊富
・検定取得指導も可能
・カウンセラーが常駐

※ 2023年8月時点の情報です

保健室登校やフリースクールの利用が出席として認められるかどうかは、所属する中学校によって異なります。まずは担任の先生に相談してみましょう。

(3) 定期テストは必ず受ける

学校を休みがちだったとしても、定期テストだけは受けましょう。教室で受けるのが難しい場合は、担任の先生に相談し保健室などで受けられるようお願いしてみてください。

定期テストを受けないと、成績が「1になるおそれがあります。高校入試で審議対象になる項目が増え、さらに不利になってしまいます。

少しでも得点しておけば「1」を回避できる可能性が高まります。定期テストはしっかり受け、「1」以外の成績を確保しましょう。

(4) 提出物もできる限りだす

提出物の状況も調査書に影響します。期日を守り、出来る限り提出するようにしましょう。

学校までお子さんが出しにいくのが難しい場合は、「親御さんが持っていく」「担任の先生の訪問時に渡す」などの方法をとります。

また、いまどのような提出物が課されているかも先生に確認しましょう。

(5) 意欲ある態度を見せる

学校に行けた日は、授業や活動に意欲的に参加する姿を見せられるよう意識しましょう。調査書には日々の行動について記録する欄もあるためです。出席日数が少なくても、主体的に取り組む姿を見せられれば、特筆してもらえる可能性があります。

挨拶や掃除、部活動、授業中の発言などは意欲を示しやすいポイントです。

(6) 担任とこまめに相談する(主に保護者の方)

不登校や欠席日数が多いお子さんは、担任の先生とこまめに状況を共有しておくことが大切です。登校しなければ担任はお子さんの様子を把握できず、必要なサポートができなかったり、調査書に書く内容に困ったりしてしまいます。

お子さんの様子や気持ち、将来の意向など、できるかぎり伝えておきましょう。

<参考>「不登校」とされるのは「年間欠席30日以上(3年間で90日以上)」から

文部科学省では、病気・経済的理由以外での欠席が年間30日を超えると「不登校」と定義しています。

引用:不登校への対応について|文部科学省

近年、不登校生の数は増え続けています(中学生:全国で12万7千人以上)。一度欠席が続くと、長期化しやすい傾向があるのも特徴です。

引用:文部科学省における不登校児童生徒への支援施策|令和3年10月6日 不登校に関する調査研究協力者会議資料

不登校生に対しては、近年、教育機会を確保する施策がさまざまに講じられています。塾での学習を登校とみなす制度なども文科省通達で始まっています。欠席日数が予想外に多くなってしまったからと悲観せず、学校の担任の先生や塾に相談することをおすすめします。

(資料)文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

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欠席日数が多い中学生でも受けやすい高校の例

高校は「全日制・通信制・定時制」の3種類が選択肢となる
高校は「全日制・通信制・定時制」の3種類が選択肢となる

欠席日数が多い中学生でも受けやすいのは、どのような高校でしょうか。通信制や定時制のほか、全日制高校に合格する秘訣も解説します。

欠席日数が多い中学生でも受けやすい高校の例

(1) 全日制高校

全日制高校は、中学と同じように平日の朝から夕方まで授業があります。放課後には部活動があり、学校行事も盛んです。高校からは学校生活を楽しみたいと思う生徒に向いています。

ただし、全日制高校の入試は調査書が重視されます。調査書を重視しない高校を選ぶ、調査書のマイナスを補えるだけの学力検査結果を出すといった努力が大切です。

(2) 通信制高校

通信制高校は、自宅学習がメインの教育を受けられる高校です。オンラインや郵便、FAXなどを利用し、課題に取り組みます。学校に行くのは、年に数回のスクーリング時だけです。また近年は、実際に通える校舎がある通信制高校や、修学旅行や体育祭などの行事が充実している学校もあります。

不登校や高校中退者の進学先として選択されるケースが多く見られます。入学試験は面接などが課されますが、不合格になることはほぼありません。

学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高校・S高校のように、先進的な取り組みで注目を集める学校もあります。

(3) 定時制高校

定時制高校とは、授業を受ける時間帯を選べる学校をいいます。通学して学ぶスタイルは全日制と同様ですが、「午後のみ」「夜間のみ」など、授業時間は自分の都合にあわせて選択します。

授業を受ける時間の自由度が高いため、不登校生や高校中退者のほか、社会人やシニアの学び直しの機会としても活用されています。幅広い人の学びを保障する場として機能しているため、中学卒業資格があり入試に合格すれば誰でも入学できます。

多くの定時制高校は、4年で卒業となります。単位のとり方によっては3年で卒業できる学校もあります。

まとめ

この記事では、高校受験に影響する欠席日数について解説しました。

都道府県により異なりますが、年間の欠席日数が10日を超えると高校入試に影響を与えると言われています。また私立高校の中には、出願基準に欠席日数を指定する学校もあります。

欠席日数が多い場合、高校入試で有利にはたらくことはありません。できるだけ不利にならないように、早めに対策しておきましょう。

学校にいけないお子さんは、学力面でも受験が心配になるはずです。「学校へは行けないが塾なら行ける」というお子さんも多いため、学習の不足は塾で補うことを検討しても良いでしょう。最近は塾での学びも学校の授業と同じようにカウントしてくれるケースもあります。欠席日数が多くなってしまっていても、焦らず、あきらめず、対策を考え行動してください。

欠席日数が多くなった場合や、不登校のお子様の学びが心配なご家庭には学習塾の利用をおすすめします。塾を見つけるには「塾探しの窓口」をご利用ください。学年と地域を選択するだけで、評判の良い塾を見つけられます。

欠席日数のお悩みが解消でき、高校受験のサポートができる、お子様の状況にぴったりの塾を「塾探しの窓口」で見つけてくださいね。

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この記事を書いた人

塾探しの窓口編集部

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