【中3国語】国語の学習ポイント・高校入試に役立つ解き方を解説

更新日 2024.01.16
【中3国語】国語の学習ポイント・高校入試に役立つ解き方を解説

中学3年生は、高校受験に挑む学年。中3〜高校入試の国語は、文章のレベルが中1・中2よりもさらに上がります。

文章が長くなると同時に一文そのものも長くなるため、書かれていることを正確に読み解く力と語彙力がますます必要になってきます。国語は短期間で学力が伸びにくい科目のため、中3の春時点で国語に苦手意識があるならば、早急に対策を始めましょう。

この記事では中3の国語で、入試に向けておさえておきたい読解の学習ポイント、高校入試に役立つ解き方や試験中の注意点について解説します。

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「変化」は人の気持ちだけではなく、状況や風景にも表れている!
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ここからは、高校入試に向けた文章読解の勉強法やポイントを解説します。

中1、中2で以下の方法をお伝えしました。

①「変化」に注目する。人物の気持ちの変化、人物同士の関係の変化のほか、
 情景の変化、物の変化にも着目する

②人物関係や場面、状況を把握する。必要であれば関連を表や図で表す。

③主語が書かれていない、またははっきりしない文に注意し、
 「誰が」「何が」主体の文なのかをつかむ。

書かれていることから判断し、書いていないことを勝手に想像しない。

中3の定期テストや受験の国語も、やることは同じです。ただ、「変化」については、さらに難しくなります。

「変化」する「情景描写」に注意

中1の頃の問題文では、「変化」するのは場面や人の心にだけ注目していれば大丈夫でした。中3、入試レベルになると、本文の間にさりげなく「変化」についての表現がはさまれている場合があります。

また情景描写が人物の感情と連動しているところがあります。よくあるのは以下の例です。

・「見上げると、どこまでも青い空が広がっていた。」
→登場人物の迷いや悩みがなくなり、はればれとして気持ちになっていることを表している。

・「低い雲が垂れ込め、遠くから雷鳴が響いてきた」
→登場人物のおかれている状況の先行きに、不安が満ちていることを表している。

ほかに、出てくる小物が話の鍵になっているものもあります。

「登場人物の気持ち」を自分の考えで答えない

「書かれていること」を本文から把握しましょう。勝手に「自分だったらこう思う」という考え方で答えてはいけません。

「登場人物が何を考えていたか答えなさい」という問題はたびたび問われます。このとき、国語が好きな生徒に多いのが、「私だったらこう思う」「きっと●●と思ったんだろうな」と想像して答えてしまうことです。

「あなたの気持ち」ではなく「登場人物の気持ち」を、答えなければなりません。そして、それは本文中に必ずヒントがあります。はっきり「嬉しい」「悲しい」と書かれていなくても、行動がそれを示している場合や、前後の「場面」「状況」、文の流れから読み取れる場合があります。

小説の読解が苦手な場合の対処法

論説文などの説明的文章は、筆者の意見が必ず本文中に表されるため、慣れてくると比較的解きやすいです。しかし、小説などは筆者の意見は明確に書かれているわけではありません。筆者の意見は「テーマ」「主題」という形で全編にわたって表されるので、この文が意見、ということにはならないのです。

まずは解説をしっかり読みましょう。なぜその解答になっているか、よい問題集は解説がしっかり書かれています。分からない問題ほど、何度も解説を読みましょう。

国語がある程度得意な生徒さんは、文学作品のレビューや論文などを読んでみると、視点が変わって面白いかもしれません。有名な作品であれば、多くのレビューや論文があります。それらを読むと、どのように解釈されているのか、どのような点に着目するのかなどがわかり、テストだけでなく自分の意見文の書き方の参考にもなります。余裕がある生徒さんはチャレンジしてみてくださいね。

【受験対策】説明的文章(説明文、論説文、随筆など)の読解

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説明的文章の読解ポイントは以下の4つを中1、中2で解説しました。

①具体的な事例など「事実」が書かれている文と、
 筆者の考えである「意見」が書かれている文を見分ける。

②段落ごとに「一番大切な文(=中心文と呼ぶ)=筆者の意見」を探して線を引く。

③接続詞に着目し、文章の展開をつかむ。

④中心文をつなぐことで、要約文を作る練習をする。

中3になった時点でも、説明文や論説文の読解が苦手だからと焦らず、夏休みまでは何度も上記のポイントを意識して解いてみてください。詳しい解説は以下の記事で紹介しています。

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しかし、国語が苦手な生徒さんの中には、以下のようなタイプがいます。

❶ 文章を読むのに時間がかかる。

❷ 設問を見て元の文章に戻ると、内容をはっきり覚えて
   いないので、また問題文を読まなければならなくなる。

この2つのケースにあてはまる生徒さんは、「読むのが遅いから内容が覚えられない→文章の内容を覚えていないから何度も読むことになりモチベーションが下がる→読むのがさらに遅くなる」…という悪循環に陥っていることがあります。ここではこの苦手克服の方法を中心に解説します。

【苦手克服❶】設問から読む

どうしても長い文章は頭に入ってこない…というお子さんもいます。また中3の受験期までまったく国語を勉強してこなかったとすると、受験生になってから正攻法の勉強をしても成績が伸びず、自信をなくしてしまうでしょう。

また、何より、入試では時間が限られています。そこで、限られた時間を有効に使うために「設問を最初に確認し、その後、本文を読む」という方法があります。

「何を問われるのか」「どこに注目するように言われているか」を確認してから本文を読むため、時間の短縮もでき、本文と設問を行き来する回数も減ります。

設問は、特に選択肢になっている場合には、そこに「正しい答え」があるわけですから、大きなヒントとなります。抜き出しや要約など記述式の問題でも、どこに注意して読めばいいかが先にわかるので、必要なポイントを教えてくれているのと同じです。

ただし、この方法は、最初から生徒に教えることは避けたい国語の教師は多いです。やはり文章をしっかり読んで内容を理解してから、設問に取り組むのが王道であり、国語力を高めるやり方です。

ですので、中1や中2のときはこの方法で「点数を手っ取り早く取りに行く」のではなく、まずは正攻法の①~④のやり方をおすすめします。時間をかけられるときに、じっくり、しっかり読んで考えましょう。

【苦手克服❷】「速読」を身につける

個別指導塾や予備校などで導入されている「速読」を身につける方法があります。速く読むことができれば、問題を解く時間を確保できます。また集中力が増し、国語以外の文章読解にも役立つとされています。

(参考)一般社団法人 日本速脳速読協会

ただし、速読を学んでもどうしても馴染まない生徒さんもいます。「文章のかたまりを画像のように一瞬でとらえる」のは、右脳を使うやり方のため、絶対音感のように幼少期から訓練したほうが身につくかもしれません。向き不向きがあること、年齢による定着の差もあることを保護者の方は覚えておいてください。

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表現の力が試される「記述」問題への対応方法

記述問題は、与えられた条件を守って解答しよう
記述問題は、与えられた条件を守って解答しよう

近年は記述式の問題も増えています。ここでは読解問題と絡めた記述問題について、アプローチ方法を解説します。

自分の意見をまじえて記述する問題は「何を問われているか」を確認!

以下は、2016年度の東京都公立高校入試、国語の設問の一部と模範解答例です。

2016年度 東京都公立高校入試(国語・問題)
(画像引用元)リセマム
2016年首都圏公立高校入試 東京の問題と正答
(画像引用元)東京新聞

受験生にとっては、最も難しいと感じる問題かもしれません。この出題ではまず「何を問われているか」「何を書かなければならないか」を確認しましょう。

この問題では、「自分の意見(あなたが話す言葉)」を、「具体的な体験や見聞も含めて」「二百字以内で」書かなければなりません。どれかの条件が足りていない場合は、解答として認めてもらえないのです。

さらに、「この文章を読んだ後」とあるため、問題文とまったく関係ないことを書いても減点になります。

「具体的な体験や見聞」とは、「あなたの意見」のもとになる根拠です。いつも「読解」している説明的文章と同じですね。ですから、意見とまったくつながらない体験を書いても意味がありません。

以上から、このパターンの設問に答えるには、以下の手順で取り掛かりましょう。

(1)まず筆者の最も言いたい「意見」を問題文から見つけ出す(段落ごとに中心文を見つけて線を引いておきましょう)

この設問では「基本を身につけること」と大きなヒントがあるので、それを元に探しましょう。

(2)筆者の「意見」に合った「自分の体験」を探す

この問題では、「訓練によって基本が身につく」ことがポイントなので、自分のこれまでの体験から「何度も練習して身につけたもの」を探します。

例えば、ピアノなどの習い事や部活で頑張った結果できるようになったこと、それを人に認めてもらえた事実です。

(3)自分の意見を書いてまとめる

ただ筆者の意見と自分の体験だけを書くのでは、内容不足です。あくまでも「自分の意見を発表」するシチュエーションなので、最後に自分の意見を書いてまとめます。

(4)字数や書き方の指定に合っているか確認する

設問の指定している書き方どおりに答えましょう。

たとえばこの問題では「書き出しや改行の際の空欄、「、」や「。」や「(かぎ)なども字数に数える」とありますね。つまり、書き出しは一文字分空けるということになります。

SNSなどに慣れすぎて、正しい文章の記述方法を忘れてしまっている生徒も多いです。入試までに必ずチェックしておきたいポイントです。

また、字数が指定されている場合、必ずその字数を守りましょう。「二百字以内」とあるならば、二百一字を書いたら解答として点数がもらえないと思っておいたほうがよいです。

とはいえ、部分点が加算されるケースもあるため、完璧でなくても、何か書いてください。半分だけ、意見のところだけでもいいです。何も書かないことだけは絶対に避けましょう。

要約問題は中心文をまとめ、字数制限に注意しよう

ほかに記述でよくあるのが「この文章を●文字以内で要約せよ」というものです。

これまでも紹介したとおり、要約は「中心文をつなぐ」ことでおおむね出来上がります。出題者は過不足ない文字数を指定しているので、もし中心文をつないだだけで文字数が大幅に足りない場合は、何かを見落としている可能性があります。筆者の意見だけで足りない場合は、本文から具体例を抜き出して入れるとよい場合が多いです。

要約問題は、慣れると得点源になります。中1、中2の頃から段落ごとの中心文を探す練習をコツコツやっておくと、中3になってからかなり大きなアドバンテージを得ることができるでしょう。

中3になってから要約問題に取り掛かるときは、何度も中心文探しを練習しましょう。こちらも意見の記述と同じく、どうしても苦手ならば完璧を求めなくて大丈夫です。「白紙にはしない、何か書く」という心がけは忘れないようにしてください。

ほか、字数制限を守るのは意見を述べる記述と同じです。

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中3で学ぶ国語の概要

中3で学ぶ国語の内容とつまずきやすいポイントを知っておこう
中3で学ぶ国語の内容とつまずきやすいポイントを知っておこう

あらためて、中3で学ぶ国語の内容も紹介しておきましょう。

中3の学びに関して、文部科学省では以下を唱えています(参考:文部科学省:中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編 19ページ~)。中2までに学んだことの発展的内容となります。

・文や文章:文章の種類とその特徴について理解を深める

・漢字:第2学年までに学習した常用漢字、およびその他の常用漢字の大体を読めるようにする。また当該学年で学ぶ漢字を文や文章の中で使い慣れる

・語彙:理解したり表現したりするために必要な語句の量を増やす。また慣用句や四字熟語などについて理解を深め、和語・漢語・外来語などの違いを知り使い分ける

・言葉遣い:敬語の使い方を引き続き学ぶほか、相手・場に応じた言葉遣いを理解し、適切に使う

・我が国の伝統的な言語文化(古典):長く親しまれている言葉や古典の一節を、引用して使える

また2021年に施行された新しい学習指導要領では、「情報の扱い方」という分野が加えられています。情報といってもプログラミング分野などではなく、文章に含まれる内容を正確に読み取って整理し、自分のもつ情報との関係を明らかにし、意見などを表現するものです。

新しい学習指導要領は読解問題をただ解くのではなく、その文章や話を読んで自分なりの意見を表せるようになることを目標としています。

近年では多くの大学において、入試問題で小論文や、資料を読ませて意見を述べたり内容を要約したりする問題が増えています。高校入試でも、紹介したように、要約や意見を述べさせるものが見られます。

この傾向は今後も続くと考えられるため、知識や語彙を覚える(=インプットする)だけでなく、実際にそれらを使って表現ができる(=アウトプットができる)よう練習をしておきましょう。

まとめ

中3の国語で入試対策としておさえておきたいポイントを解説しました。

国語は全ての教科の基礎になる科目です。中3は高校受験の学年のため、より難易度の高い、長い文章や、ひっかけ問題の多い設問に取り組むことになります。ここで紹介した方法で、少しでも国語への苦手意識を減らし、入試対策としていただければ幸いです。

国語は成績を上げることが特に難しく、長期的な計画を立てて勉強する必要があります。しかし国語の苦手な生徒が、一人で短期間に国語の成績を上げることは難しいです。高校受験本番の中3は、早めに塾などを利用し、対策することをおすすめします。

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この記事を書いた人

塾探しの窓口編集部

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