【高校受験】入試国語の作文・小論文で8割とる書き方を解説

更新日 2024.01.16
【高校受験】入試国語の作文・小論文で8割とる書き方を解説

近年、受験で出題されることが増えている作文・小論文。文章を書くことに苦手意識のある人にとっては、なかなか対策しにくい分野です。

作文や小論文には、得点を取るためのコツがあります。

そこで今回は、「国語の作文・小論文で8割とる書き方」を解説します。作文と小論文の違い、それぞれの対策方法もまとめているので、勉強方法に悩んでいる人はぜひチェックしてみてください。

私は元教員であり、中学生を11年間指導してきました。専門は理科ですが、担任として作文・論文指導も毎年行ってきました。入試についても幅広い知識をもっています。今回は私の経験をもとに、入試国語の作文・小論文で8割とる方法を解説していきます。

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作文と小論文の違い

作文と小論文の違いを正確に理解することが第一歩
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【高校受験】作文と小論文の違い

作文とは

作文は、感想や体験を「主観的」に書く文章です。「~だと思う」「~して楽しかった」など、出来事をきっかけとした自分の心情を書きます。内容のオリジナリティや表現のうまさなどもポイントになります。

作文の例
修学旅行で、京都・奈良へ行きました。事前に行き方について調べてから当日を迎えたのですが、清水寺に向かう途中で道に迷ってしまいました。違う方向へ向かうバスに乗ってしまっていたのです。最初はどうなることかと思いましたが、班のメンバーと力を合わせて、なんとか予定通りに清水寺に到着できました。今回の修学旅行で深まった絆で、次の行事である運動会も頑張りたいです。

小論文とは

小論文は、自分の意見を「客観的」に書く文章です。問われた内容に対して、自分の立場を示し、その理由(根拠)を説明します。読み手を納得させられるか、筋道立った文章になっているかが重視されます。理由や根拠については、自分の読んだ本の知識や具体的な体験を使うとよいでしょう。

小論文の例
近年、「教員の負担軽減のために、中学校の宿泊行事は廃止したほうがいい」という話があがっている。しかし、私はこの意見に反対だ。
なぜなら、知らない土地でクラスメイトと共に過ごす時間は、中学時代において何物にも代えがたい思い出、体験になるからだ。また、なかなか遠くへ旅行できない生徒にとっては、宿泊をともなう行事は貴重な機会になると考えられる。以上のことから、私は宿泊行事の廃止に反対する。

高校入試の作文を書く際のポイント

ポイントを押さえるだけで作文は確実に上達する
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高校入試の作文を書く際のポイント

作文の構成を考える際の注意

①テーマを細分化し、具体的にする

出題されたテーマを、さらに具体的なものに落とし込みましょう。例えば「中学校の思い出」というテーマだった場合、「修学旅行」「運動会」「親友とケンカしたこと」のように細分化します。

②話題は1つに絞る

具体的なテーマが決まったら、書く内容を1つに絞りましょう。

「中学校の思い出」というテーマに対し「修学旅行」で書くと決めた場合、なかでも特にどの場面に焦点を当てて書くかを決めます。箇条書きでいくつか挙げて、そこから書きやすそうなものを選ぶとよいでしょう。ここでも大事なのが「具体的なものをあげる」ことです。

「修学旅行で友達との仲が深まった」と言いたい場合、その理由になるような体験をセットであげます。「道に迷ってしまったが、力を合わせて乗り越えた」「きれいな景色を一緒に見た」など、書きやすいもので構いません。

ただしここで注意したいのは、つい語りすぎてしまうこと。自分の体験談を書く場合、つい詳細に書きすぎてしまったり、脱線してしまったりすることも多いです。あくまでも「話題は1つ」に絞りましょう。字数制限内でまとめることを意識してください。

設問の条件の注意点

①タイトル・氏名を書くかどうか

入試で作文が出題される場合、本文から書き始める場合がほとんどです。タイトルや氏名を書くように指定がない設問でタイトルや氏名を書かないように注意しましょう。

②字数の制限を守れているか

指定の字数を守って書きましょう。体験を書く場合に多いのが、自分の思い出を書くのに夢中になってしまい、字数をオーバーしてしまうというパターンです。筆が乗ってきてもこらえて「字数に収める」「結論につなげる」ことを意識しましょう。

書くのが苦手で文字数がなかなか稼げないという人は、指定の字数の「8割」以上を目安に書きましょう。例えば「200字以内」という指定があった場合、160字を超えるように書きます。作文用紙の「8割」の位置に、先に印をつけておくとよいでしょう。

③テーマに合った作文になっているか

テーマに合った作文とは、「聞かれていることに答えている文章にする」ということです。自分が書いた作文を見直したとき、結論が「答え」になっていますか?体験談はテーマにあっていますか?書き始める前に、テーマと「答え」の対応を確認しましょう。

作文の終わりの部分で、「過去」「未来」に向けたまとめの文章を1文添えると、テーマへの対応を示しやすいです。

・この体験を踏まえて、どんなことを学んだか(過去)
・この体験を踏まえて、今後どうしていきたいか(未来)

思い出話だけを書いて字数をオーバーしてしまう人が意外と多いので、ラストの1文に力を入れると仕上がりにぐっと違いが出ます。

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高校入試の小論文を書く際のポイント

小論文ならではのポイントを押さえる
小論文ならではのポイントを押さえる

小論文の構成を考える際の注意

①自分の立場を決める

まずは提示されたテーマについて、自分の考えや賛成・反対の立場を明確にしましょう。テーマについて特に自分の意見や立場がなく迷ってしまった場合、まずは「賛成」で考えてみてください。賛成の理由を考えていくなかで、だんだんと自分の立場が明確になっていくことも多いです。

②材料を集める

小論文問題を解くときのポイントは、「いきなり書き始めない」ことです。テーマに対する自分の立場を決めたら、文章を構成するための材料を先に集めます。テーマに関わる自分の体験や、見聞きしたことがある情報をメモしていくとよいでしょう。箇条書きでいいので、問題用紙の余白などを活用してアイディアを出します。

③「基本の型」を活用する

自分の立場、それに関わる体験や根拠になる情報が集められたら、文章の「基本の型」に当てはめていきます。ここでは一般的な3段構成「序論」「本論」「結論」について解説していきます。

3段構成とは

3段構成(1)序論

自分の立場を示します。最初に書くので「序論」ですが、中身は「結論」です。つまり、「文章のなかで一番主張したいこと」を最初に書いておくイメージです。序論で自分の立場を明確化させておくことで、読み手にとっても書き手にとってもわかりやすい文章にできます。

・読み手 … 文章の展開がわかりやすくなる・読みやすくなる
・書き手(自分) … 本論を書いていくなかで「なにが言いたかったのかわからない」状態になってしまったときに軌道修正できる

3段構成(2)本論

「本論」とありますが、中身は「考えの理由・根拠となる具体例」です。自分の立場・主張を支える根拠になるような情報を書きます。なるべく具体的なものにするのがポイントです。自分が実際にした体験、ニュースなどで見聞きした内容、親・友人から聞いた話など、詳しく説明できる話題を選びましょう。

3段構成(3)結論

文章のまとめになる部分です。「以上のことから、私は○○に賛成です」のような、序論の繰り返しでも構いません。序論でも結論(自分の意見)を書いていますが、まとめの部分でもういちど結論を言います。読み手にとってもわかりやすい構成になる上、文章全体も締まります。

「基本の型」をベースにして、テーマに合わせて内容を書き換えていくイメージです。慣れた展開で書くことでミスも減り、時間短縮にもなりますよ。

設問の条件の注意点

①字数の制限に気をつける

作文と同様、指定された字数制限は必ず守って書きましょう。指定を守らない答案は学校によっては採点対象外(0点)になる場合もあります。少なすぎず、オーバーせず、「8割以上を目指して書く」を徹底しましょう。

②必須項目を確認する

「自分の体験を交えて」「賛成・反対を示した上で」など、書かなくてはならない内容が指定されている場合もあります。設問をよく読み、指示から外れた回答をしないということが重要です。

③反対の立場に立って考える

自分の意見を書く際、賛成で書いていれば反対側、反対で書いていれば賛成側の意見も想定しておくと文章に説得力がでます。

「確かに、〇〇という意見の人もいる。しかし(自分の意見)」のように、自分の論の補強にもできるので便利です。字数制限の8割に達成できないかもしれない、という場合にも使えるので、覚えておくとよいでしょう。

原稿用紙の使い方とよくある間違い

無駄な原点を減らすことが高得点の近道
無駄な原点を減らすことが高得点の近道

原稿用紙の使い方のルールは、意外と間違いや抜け漏れが多い部分です。普段の練習のときから意識して、身につけておきましょう。間違いやすいルールとしては、以下のようなものがあります。

①タイトルの上は3マスあける
②名前の下は1マスあける
③段落を変えたら、行の頭を1マスあける
④文頭に句点(。)、読点(。)、会話を閉じるカギカッコ(」)を書かない(前行の最後のマスに入れる)
⑤記号は1マス1文字で書く。
 (1)「、」「。」(句読点)
 (2)「」(カギ、カギカッコ)
 (3)()(カッコ)
 ただし、句点と閉じるカギカッコが続くときは1つのマスに入れる(。」←これは1マスに書く)

原稿用紙の使い方の確認が大事な理由

作文・小論文の採点は、多くの場合「減点法」で行われます。「減点法」とは、先に持ち点があり、そこからミスした分の点数が減らされていく方式のこと。つまり、「うまく書く」ことではなく「ミスしない」ことが高得点へのポイントだということです。

入試の作文・小論文では、文章がしっかり書けていても、原稿用紙の使い方にミスがあると減点されます。きちんと対策したのに、最後の最後で「原稿用紙の使い方」で減点されるのは本当にもったいないこと。改めて確認しておきましょう。

学校や塾の先生に添削してもらう機会をもつ

自分では見つけにくいミスや、勘違いしたまま覚えてしまっている知識がある場合もあります。学校や塾の先生に定期的に添削してもらうのも、上達への近道です。

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本番上の注意点

【高校受験】作文・小論文の本番の注意点

時間配分のコツ

小論文・作文への時間配分を決める前に、「試験問題全体のなかで小論文・作文にどれくらいの時間がかけられるか」を考えましょう。各大問を解く時間配分を大まかに決めておくのです。

このときのポイントは、必ず「見直し」の時間を最低5分は確保することです。得意だと思っていた分野に思ったより苦戦し、時間を取られてしまう場合の予備にもなります。

小論文・作文の「最後の5分」で特に見直しておきたいのは、

・原稿用紙の使い方のミスをする
・誤字脱字をする
・設問に合っていない内容を答える

というようなケアレスミス。「まさか自分がするわけがない」とつい油断してしまいがちですが、必ず確認をしましょう。

受験本番は誰しも緊張しているもの。いつもだったらしないミスでも、うっかりしてしまう可能性は大いにあります。1点が合否を分ける受験作文では、丁寧すぎるくらい丁寧に、を心がけましょう。

試験時間が50分の場合の時間配分の例
大問1……漢字の読み書き→2分
大問2……評論文読解→10分
大問3……小説文読解→15分
大問4……古文→8分
大問5……作文→10分
見直し・予備→5分

小論文・作文は先と後、どちらで着手するべき?

時間配分の例を踏まえて、小論文や作文への取り組み方タイプ別に、オススメの順番をご紹介します。実際に取り組む際の参考にしてみてください。

A:先にやるべき人

○小論文・作文を書くときの「型」が確立している人
○読解問題を解く前のほうが記述のアイディアを出せるという人
○あとに大きい設問が残っていると思うと落ち着かない人

指示されたテーマでさっと書き始め、予定配分時間内で書き終えられるという人は、小論文・作文は先に解いておくと残りの問題を安心して解けます。小論文・作文問題を解いたあとに他の大問にも取り組まなくてはいけないので、記述に時間をかけすぎないことが重要です。うまく書き出せずに手が進まないという場合は、「あとからやる」に切り替える潔さももっておきましょう。

B:あとにやるべき人

○一度書き始めると、ついついのめり込んでしまう人
○読解問題を解くのが得意な人
○まだ他に解かないといけない問題がたくさんある!と思うと落ち着かない人

小論文・作文を書くのに集中力を使い果たしてしまうタイプの人は、先に解くと残りの読解問題で文章を読みきれない場合も。読解問題はさっと1回解ききって、そのあとに小論文・作文問題にゆっくり取り掛かるというスタイルが合っている可能性があります。

どちらのやり方が自分に合っているかわからない人は、模擬問題や過去問題を解く際に、作文・小論文を先にやるパターン、あとにやるパターンの両方を試しておきましょう。

実力を最大限に発揮できる「自分にあった解く順」を見つけてみてください。

まとめ

対策が苦手な人も多い、作文・小論文分野。だからこそ、安定して得点できるようになれば周りと差をつけることができます。ポイントは、基本の型を押さえ、繰り返し練習すること。読解問題が苦手でも、記述で点数を底上げできると強みになります。受験する学校や自治体の出題形式にあった対策をしてみてください。

作文・小論文は添削をしてもらうことで早く上達することが可能です。どんな人でも自分で自分の文章を客観的に添削したり、修正したりすることは難しいので、必ず作文・小論文に詳しい立場の人に見てもらいましょう。

添削をしてもらうには、塾を上手に活用するのも効果的です。「塾探しの窓口」では、無料でお住いの地域の塾を検索することができます。ぜひ利用してみてください。

この記事が、みなさんの入試突破の一助になれば幸いです。

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この記事を書いた人

さわにい

さわにい

元公立中学校の理科の教員です。教員経験は11年。現専門は理科教育学。所持教員免許は中学と高校の理科。

理科の教材や学習法を研究中。さまざまな出版社の理科教材や解説を作成してます。

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