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【中2数学】連立方程式を解くコツ!得意にする勉強法も解説

連立方程式は、中学生が苦手とする単元の1つです。「連立方程式の文章題が解けない」「割合や速さが出ると、すっかりお手上げ」と嘆く中学生も多いのではないでしょうか。
しかし苦手な生徒が多いからこそ、定期テストや高校入試ではよく出題されます。また「苦手な生徒が多い=得意単元にできれば周りと差を付けられる」ことを意味します。
この記事では中2で学ぶ連立方程式の解き方を、丁寧かつ分かりやすく解説します。中学生がつまずきやすいポイント、解法の考え方、また計算ミスを減らすコツもまとめました。
テストと入試で必出ともいえる文章題の典型問題も網羅しています。一緒に連立方程式を基本から振り返り、得意単元にする一歩を踏み出しましょう。
目次
連立方程式の基本

中1では「方程式」を習いました。方程式ではわからない値は1つだけで、だいたい「x」と置かれていたのを覚えていますか。文章題もシンプルで、情報を素直に式にすれば解けるものばかりでした。
中2で学習する連立方程式は、わからない値が2つに増えます。一般的に「x」「y」とおきますが、わからない値が2つになることが問題を難しくします。文字に置いた要素同士の関係が複雑になり、計算量が増えるために途中で迷子になりやすいためです。
連立方程式は「方程式」がついていますが、中1の方程式とは別ものと考え、本腰を入れて取り組むべき単元です。
連立方程式 基本の解き方

連立方程式を解く方法は2つあります。
・代入法
・加減法
すべての連立方程式は、このどちらかの方法で解けます。まず、解き方をただしく理解しましょう。
(1) 代入法
代入法は2つある式の片方を、もう一方に代入して解くやり方です。「x+y=5」「y=3x-1」など、xやyに係数がない式があるときに利用します。
係数がある式でも代入法で解けないことはありませんが、計算プロセスが増え面倒です。すべての文字に係数がある場合は、次項で解説する「加減法」を使ってください。
代入法を使った連立方程式の解き方
代入法の基本手順は、次のとおりです。
1.係数のない文字を含む式を変形し、「x=~~」「y=~~」の形にする。 2.1をもう一方の式(B)に代入し、xもしくはyの解を出す。 3.出た解を1にあてはめ、残りの文字の解を出す。 |
実際に数式を使って解いてみましょう。

①に係数がないyがあるため、加減法で解く。
y=の形に変形すると
y=2x+1 …③
③を②に代入する。
3x-2(2x+1)=-5 …④
④を解く。
3x-4x-2=-5
-x=-3
x=3 …⑤
⑤で出たxの解を、③にあてはめるとyの解が出る。
y=2×3+1
y=6+1
y=7
答え x=3, y=7
(2) 加減法
連立方程式のもう1つの解き方は「加減法」です。数式を足したり(加法)、引いたり(減法)して解くため、こう呼ばれます。
連立方程式のすべての文字に係数がついている場合は、加減法で解いたほうが確実でスピ-ディ-です。途中計算が多くなりやすいため、計算ミスに注意して進めましょう。
加減法を使った連立方程式の解き方
加減法の基本手順は、次のとおりです。
1.連立方程式の2つの式を見比べ、係数が同じものを見つける。 2.係数が同じ文字がない場合は、最小公倍数を使い係数を同じにできる項を見つける。 3.2つの式を足し引きし、係数が同じ項を消し文字を1つだけにする。 4.3を計算して、一方の文字の解を出す。 5.4で出た解を使い、もう一方も文字の解を出す。 |
数式を使って解いてみましょう。

①の2xと②の3xの係数を「6」にできることに気づく。
①×3、②×2の操作を行うと、
6x-9y=-24 …③
6x-8y=-18 …④
③-④でxの項を消せると気づきましたか?
③-④を計算すると、
-y=-6
y=6 …⑤
⑤を①に代入すると、
2x-3×6=-8
2x-18=-8
2x=10
x=5
答え x=5, y=6
ただしスピ-ディ-に計算を終えるためには、できるだけ簡単に計算できる方に代入することがマストです。
「どちらに代入したほうが、より簡単に計算できるか」と見極める意識も養成していきましょう。
(3) 問題演習で「慣れる」ことが大切
連立方程式の計算は、加減法と代入法のいずれかでかならず解けます。よって、解き方自体は難しくありません。
連立方程式の計算が厄介なのは、「係数を合わせるために最小公倍数を探す」「出た解を元の式に代入してもう1つの文字を出す」など、途中の計算が煩雑になりやすい点です。
基本問題・典型問題からやや難しいレベルの問題まで載っている問題集を利用し、数多くのパタ-ンを解いてみてください。計算する1行1行で「いま、何をしているのか」「何を求めたくてこの計算をしているのか」と意識しながら解くと、連立方程式の計算を徐々に理解できます。
連立方程式の鬼門「文章題」を解説

連立方程式の計算を習得できたら、文章題に取り組みましょう。定期テストや高校入試では、連立方程式の文章題がかならずといって良いほど出題されます。
「苦手」「嫌い」という中学生も多い連立方程式の文章題ですが、実はいくつかの典型パタ-ンに分けられます。頻出の4パタ-ンを解説しますので、解き方とポイントをしっかり理解してください。
(1) 典型パタ-ン1. 速さの問題
典型的な問題パタ-ンの1つめは「速さ」をテ-マにしたものです。「道のりの問題」と呼ばれることもあります。
<問題例> 310km離れた目的地まで、車で移動する。はじめ、高速道路を時速100kmで走り、 途中から一般道に下りて時速50kmで進んだ。目的地までの所要時間は3時間30分だった。 高速道路と一般道の走った道のりをそれぞれ求めよ。 |
まず、どの要素を文字に置くか決めます。今回は「高速道路と一般道の走った道のり」を求めなければならないので、これを文字にしましょう。
・高速道路の道のりをx
・一般道の道のりをy
目的地までの道のりは310kmでした。つまり高速道路で走った道のりと一般道で走った道のりを合計すると310kmということです。
したがって、次の式が成り立ちます。
x+y=310 …①
次に、もう1つの要素である「速さ」に注目しましょう。
高速道路xkmを時速100kmで走り、一般道ykmを時速50kmで走った結果3時間30分かかったという情報から、次の式を立てられます。
x/100+y/50=3.5 …②
※ 「3時間30分」を時間の単位に合わせて「3.5」としている点にも注目してください。30分は0.5時間ですよね。
①と②から連立方程式ができました。

②は分数があって計算しにくいですね。両辺に100をかけ、分数ではなくしてしまいましょう。
②の両辺に100をかけると、
x+2y=350 …③
①-③を計算して、
y=40
y=40を①に代入し、
x+40=310
x=270
したがって高速道路を走った道のりは270km、一般道を走った道のりは40kmだとわかりました。
答え 高速道路 270km、一般道 40km
連立方程式の文章題は、出た値が問題の答えとして妥当かどうかも大切なチェックポイントです。
パタ-ンが変わると難しく感じるかもしれませんが、「文字に置く要素を見つけ」「速さと時間、距離の関係から立式する」基本手法は変わりません。さまざまな問題を解き、コツをつかんでください。
(2) 典型パタ-ン2.整数の問題
「整数を題材にした問題」もよく出されます。どのような問題が該当するか、問題例を見てみましょう。
<問題例> 2つの整数がある。大きい数の3倍と小さい数を足すと、和が6になる。 大きい数から小さい数の2倍を引くと、差が23となった。 大きい整数と小さい整数を、それぞれ求めよ。 |
ぼんやり眺めていても問題は解けません。与えられた状況を整理し、「何を文字に置くべきか」から考えていきましょう。
今回の問題では、「大きい整数と小さい整数」を求める必要があります。したがって、次のように文字に置くのが正攻法です。
・大きい整数を、x
・小さい整数を、y
文字に置く要素が決まったので、文字を使いながら問題を式にしていきます。
まず「大きい数の3倍と小さい数を足すと6」を式にすると、
3x+y=6 …①
次に「大きい数から小さい数の2倍を引くと23」を式にすると、
x-2y=23 …②
①と②で連立方程式ができました。

解いていきましょう。
①に係数のないyがあります。代入法で解けそうですね。
①をy=の形に変形し、
y=6-3x …③
③を②に代入し、
x-2(6-3x)=23
x-12+6x=23
7x=35
x=5
x=5を①に代入すると、
3・5+y=6
15+y=6
y=-9
x=5、y=-9 と答えが出ました。
答え 大きい整数 5、小さい整数 -9
(3) 典型パタ-ン3. 割合を使った食塩水の問題
「食塩」をテ-マにした問題も典型例です。小学校で習った「割合」の考え方を使う問題で、割合が苦手だった生徒はこの問題も苦手としやすいようです。
<問題例> A、Bの2つの食塩水がある。Aは濃度が5%、Bは8%である。 AとBの食塩水を混ぜ合わせ,6%の食塩水600gをつくりたい。 A、Bそれぞれ何gずつ使えばよいか求めよ。 |
速さの問題と同じように、求める値を文字におきましょう。今回は「必要なAの食塩水(g)とBの食塩水(g)」を求めなければならないので、これを文字にします。
・Aの食塩水の量 x
・Bの食塩水の量 y
次に、状況が2つに整理できることに注目します。
1. (A・5%)+(B・8%)=6%
2. 6%の食塩水の重さは600g
どうやら連立方程式が作れそうですよ。それぞれを式にしてみましょう。
1より、
x×5/100+y×8/100=600×6/100 …①
2より、
x+y=600 …②
①の理解が厄介かもしれません。①にある「5/100」「8/100」「6/100」は、それぞれ5%、8%、6%であることを示します。%は百分率といって、100で割った割合であることを思い出してください。
そしてそれぞれの食塩水の量がxg、yg、600gであるため、百分率をかけています。
さあ、立式できたので①と②を連立方程式にして解いてみましょう。

①の分数が計算しにくいので、また両辺に100をかけて分数を消します。
①の両辺に100をかけると、
5x+8y=3600 …③
②の両辺に5をかけると、
5x+5y=3000 …④
③-④を計算して、
3y=600
y=200
y=200を②に代入すると、
x+200=600
x=400
答え Aの食塩水400g、Bの食塩水200g
百分率、歩合の基本も復習しておきましょう。
(4) 典型パタ-ン4. 割合を使った全校生徒の増減の問題
苦手意識を克服するために、割合の典型問題をもう1題紹介します。全校生徒の増減に関する問題です。
<問題例> ある中学校では、昨年度360人が入学した。今年の入学者数は、 昨年より男子が3%減少、女子が5%増加した。 全体では2人増加したという。昨年の男子、女子の入学者数をそれぞれ求めよ。 |
この問題も、まずは落ち着いて求めるべき値を文字に置きましょう。「昨年の男子、女子の入学者数をそれぞれ求めよ」との指示ですから、次のように置きます。
・昨年の男子の入学者数 x
・昨年の女子の入学者数 y
次に、与えられた情報を整理します。
まず、昨年度の入学者総数は360人であることがわかっていますね。したがって、次の式がつくれます。
x+y=360 …①
次に今年の入学者数を式にしますが、ここがポイントです。今年の入学者数は「男子が昨年人数(x)より3%減少」「女子が昨年人数(y)より5%増加」したとのこと。これを式にしなければなりません。
増減がなく、昨年と同人数が入学した場合の増減割合は100%、つまり100/100です。これを踏まえ「男子が3%減少」を式にするとどうなるでしょうか。
今年の男子の入学者数は、100%から3%減らして
97/100×x …②
とあらわせます。97/100とは、97%のことです。
同様に今年の女子の入学者数は、100%から5%増やして
105/100×y …③
とあらわせます。105/100とは、105%です。増えているのですから、100を超える数字になります。
さあ、②と③から式を作りましょう。
今年の入学者数は「男子が97/100×x、女子が105/100×y」で、結果的に2人増えて362人になったそうですから、
97/100×x+105/100×y=362 …④
①と④で連立方程式にします。

④の分数が厄介なので、両辺に100をかけて分数を外します。
97x+105y=36200 …⑤
①に105をかけ、加減法で解きましょう。
105x+105y=37800 …⑥
⑥-⑤より、
8x=1600
x=200
x=200を①に代入して、
200+y=360
y=160
答え 昨年の男子の入学者数 200人、昨年の女子の入学者数 160人
※ 200と160を足すと360になり、たしかに問題文に合致します。もし足して360にならない場合は、どこかで計算ミスをしています。見直してみてください。
(5) 連立方程式の文章題のポイント
連立方程式の文章題が難しい理由は、2つあります。
・どの要素を文字に置けばよいか迷いやすい
・要素同士の関係を式に表すのが難しい
中1で習った方程式は、問題文のなかで不明な要素(文字に置く要素)が1つだけでした。ところが連立方程式は、不明な要素が2つあります。
2つの要素について関係性を見出し数式にしないといけないため、考えるべき項目が多くなります。「何を文字に置こうとしたんだっけ」「関係を式にあらわせない」と悩み込んでしまう中学生が大勢います。
また1つの問題文に複数の単位が登場する点も、連立方程式の文章題を難しく感じる原因です。速さの問題なら、「時間(分、時間)・距離(km、m)・速度(時速、分速)」と、いくつもの単位が出てきます。
それぞれの単位同士の関係が見いだせず、解けなくなる中学生もいます。
次の章で紹介する「連立方程式が得意になる勉強法」を実践し、苦手克服&得点源にしていきましょう。
連立方程式が得意になる勉強法

連立方程式は、正しい練習法で取り組めば得意分野にできます。まずは基本計算を、次に文章題を練習し、得点源にしてしまいましょう。
連立方程式の勉強法を4つの手順に分けて解説します。
(1) 計算は1行1行、丁寧に解く
連立方程式に入ると、それまでの単元とは比べものにならないくらい計算量が増えます。分数や小数、大きな数字を扱う問題も多く、計算ミスが起きやすい単元です。
連立方程式の計算は、1行1行を丁寧に・確実に進める意識を大切にしましょう。
連立方程式の計算ミスを減らすコツは、2つあります。
◎ 次の行に進んだら、直前の式と見比べる
計算過程が長くなりやすい連立方程式は、最終的な解を出してからミスに気付くとかなりへこみます。早めに計算ミスに気づけるよう1行ごとの確認を癖づけるのがおすすめです。
やり方は簡単、計算を1行進めたら、1行上の式と見比べて「おかしなところがないか」さっと確認するだけです。しかしこの一瞬の確認で、「マイナスになるべき数字がプラスのまま」「桁を書き間違えていた」などのミスに気づけるようになります。
◎ ノートは贅沢に、たっぷり使う
連立方程式に限った話ではありませんが、数学の勉強は「ノートをふんだんに使う」のが大切です。
時々、ノートを“きれいに”まとめたい意図からか、途中計算やメモを余白に小さく書く生徒がいますが、それはおすすめできません。小さく書く計算は、ミスの巣窟です。マイナスを見落としたり、スペースがなくて途中計算を十分書けなかったりと、間違いにつながる原因が詰まっています。
ノートは贅沢に、たっぷり使ってください。「スペースがありすぎるかな?」くらいでちょうど良いです。
(2)文字に置く数字と関係性を見極める
先に解説した、連立方程式の文章題を思いだしてください。どの問題でも「どの要素を文字に置くか」「要素同士の関係性はどうなっているか」を、はじめに考えました。
連立方程式の文章題が解けるかどうかは、「適切な要素を文字に置けるか」「要素の関係性を見極められるか(式に起こせるか)」で決まります。
連立方程式の立式が苦手な人は、日本語を数式にする練習に取り組んでみましょう。
たとえば問題文で「合わせて」とあったら、足し算(加法)です。「~より」「~と比べて」とあったら割合を使います。「時速」という表現は、距離/時間で数式にできます。
文章題が苦手な中学生は、日本語と数式の転換がうまくいかないケースが多く見られます。ごく簡単な文章題から、日本語と数式の転換練習をしてみてください。
(3) 典型パタ-ンの問題を中心に演習する
要素を文字に置け、数式を立てられるようになったら、典型パターンの問題を繰り返し演習します。
定期テスト対策におすすめの教材は、学校から配布されているワークや問題集です。「A問題」「基本問題」とされる問題は、連立方程式の文章題を解くために必要な力がつく、典型問題で構成されています。
まず「A問題」「基本問題」を何も見ずに完答できる状態を目指しましょう。「A問題」「基本問題」ができるようになったら、次は「発展問題」へとレベルアップしていきます。
高校入試対策には、全国の入試過去問を集めた「全国高校入試問題集」がおすすめです。市販されていますので、書店などでチェックしてみてください。
(4) 塾や家庭教師の力も借りる
連立方程式の文章題を解くキーポイントである、「適切な要素を文字に置けるか」「要素の関係性を正しく式に起こせるか」をマスターするのは、言うほど簡単ではありません。
正しく式に起こすためには、割合や速さ、整数など、これまで習った単元の正しい理解が不可欠なためです。割合の理解があいまいなまま、連立方程式を練習しようとしても頓挫してしまうでしょう。
連立方程式の習得と過去の単元の復習を効率良く進めるには、プロの手を借りるのが近道です。塾や家庭教師のサポートを受けながら、弱点を補強しましょう。理解不足があった単元をマスターできると、連立方程式も面白いように解けます。
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まとめ
連立方程式は高校入試でもかならず出題される、中学数学で最重要な単元の1つです。
計算そのものの難度は高くないものの、文章題に苦戦する中学生が続出します。とくに「割合」「速さ」などは、頻出の典型問題であるにもかかわらず、得点できないケースがよくあります。
割合や速さの連立方程式を解くためには、小学校で学習した内容の理解も欠かせません。塾や家庭教師の力を借りつつ、忙しい合間を縫って効率的に復習と習得ができるよう学習計画を立てましょう。
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