元公立中学校の理科の教員です。教員経験は11年。現専門は理科教育学。所持教員免許は中学と高校の理科。
理科の教材や学習法を研究中。さまざまな出版社の理科教材や解説を作成してます。
「高校受験対策には過去問が効果的」、そんな話を聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし過去問の演習は、正しい方法で行わないとほとんど効果がありません。この記事では、過去問を正しく使う方法として
・過去問の効率的な利用の仕方
・過去問に取り組む時期
・過去問は何年分取り組むべきか
について詳しく解説をしていきます。筆者は中学校の教員を11年間行なっていました。現在も教育活動を行なっており、登録者5万人のYouTuber・月間30万人が利用する学習サイトの運営者でもあります。私の元にはたくさんの中学生や保護者から質問が届くため、効率的な勉強法を常に最新の情報に更新し、提供し続けています。
この記事では、私が学んできたノウハウをお伝えしたいと考えています。本記事が参考になり、皆様の受験突破の一助となれば幸いです。
まずは「過去問は何のために解くのか」その目的をはっきりとさせましょう。過去問を解く目的は主に次の3つが挙げられます。
1.入試問題の難易度を把握するため
2.時間配分の練習をするため
3.現在の自分の実力を知るため
それぞれ詳しく解説していきます。
「入試問題の難易度を把握する」こと、これが過去問に取り組む最大の目的であり、メリットになります。
ほとんどの中学生にとって高校受験が初めての受験であるため、「難易度の把握」の重要性は、なかなかわからないと思います。難易度の把握は非常に重要です。これは大学入試や様々な資格試験でも同様です。
難易度の把握はなぜ重要なのか。それは「どれくらい勉強すれば合格できるのかがわかる」からです。過去問を確認し、志望校の合格目安となる点数を、学校や塾の先生に聞いてみて下さい。そうすることで、「どのレベルの問題まで解ければよいのか」がわかります。
当然ですが、入試は100点を取らなくても合格ができます。言い換えると、間違えても良い問題が存在するということです。入試問題には、正答率が10%程度の問題も出題されます。そのような問題に時間をかけて対策をしてはいけません。
出題頻度や重要度が高い問題に時間をかけることが大切です。
逆に言えば「捨てる問題を決める」ことが効率化のコツなのです。過去問を見ることで「難易度の把握」ができれば、捨てる問題を選ぶ判断基準ができるということです。これが過去問を解く1つ目のメリットになるのです。
ですが初めにお伝えしたとおり、難易度を把握し問題の取捨選択をすることは、中学生には難易度が高めです。上手に取捨選択ができるようになるのは、大学生・社会人くらいではないでしょうか。中学生には難しいため、塾などを活用して訓練することになります。中学生からの積み重ねは必ず将来役に立ちますので、高校受験を一つの機会として、経験値を貯めていただければと思います。
過去問を解く2つ目の目的は「時間配分の練習をする」ことです。入試本番の結果を左右する最も大切なものが時間配分です。
テストが始まってしまえば、自分の実力を上げることはできません。大切なのは今の自分の力を100%発揮することです。力を出し切るために必要になるのが時間配分です。そして過去問は、時間配分の練習に最適なツールとなるのです。
時間配分の練習の際、気を付けてほしい基本的なコツは次の通りです。
1.自分が問題を解くペースを把握しておく
2.テスト開始直後に全体を見る
3.得点源や解きやすい問題を優先する
4.時間がかかりそうな問題は後回しにする
まず大切になるのが、自分が問題を解くペースがどのくらいかを知っておくことです。「いつもどおりのペース」で進むと、時間がどの程度余るのか。もしくはギリギリなのか。これを知っておく必要があります。
その上で、自分が得意なところや得点源になるところは、早めに手をつけることが大切です。万が一得点源の問題に手をつけられなければ、その科目は失敗と言えます。得点源の問題にしっかりと取り組むことが何より大切です。
また、時間がかかりそうな問題や、解いている途中に詰まってしまった場合は、一度保留にし、次の問題に進むことが大切です。多くの中学生は、3分〜10分程度は時間が余るはずです。詰まった問題を最後に回すと時間を有効に使えます。
国語・数学・理科などは時間配分で点数が大きく左右されます。特に国語は多くの入試で1つ目の教科となり、緊張感が最も高い教科です。これらの知識を身につけた上で、時間配分を意識して過去問に取り組むことで、本番の成功率は格段に高まるでしょう。
過去問を解く目的の3つ目は「現在の自分の実力を知る」ことです。現在の自分の力で入試本番、どのくらいの点数が取れるのか。それを測るには過去問を解くことが一番です。
もちろん普段から、定期テストや学年末テストなどに取り組んでいるとは思いますが、これらの問題の傾向と、入試問題の傾向はかなり異なります。
定期テストではいつも点数がとれる教科でも、入試問題の形式ではなかなか点数がとれない…。という中学生は珍しくありません。必ず入試問題の形式で力試しをするようにしましょう。そして大切なことは力試しの結果をこれからの学習計画に生かしていく、ということです。
自分の力を測るのは、今後の学習計画を立てるためです。点数に一喜一憂をせずに、結果を分析する癖をつけるようにしましょう。
以上が過去問を解く主な目的になります。これらのポイントを意識しながら取り組むだけでも、漫然と取り組むよりも何倍も効果的に学習ができるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
では続いて、過去問に取り組む具体的な時期について解説をしていきます。
結論としては、過去問は「夏休み」「冬休み」などの長期休暇中に行うのがベストと言えます。
私が中高生1000人以上を対象にとったアンケートでも、過去問は7月以降に取り組む人が多かったです。
「閲覧用」を除いたパーセンテージは以下のようになります。
なぜ私が夏休みと冬休みを勧めるのか。それは、過去問を解く目的や過去問の性質を考えれば明らかです。ここでは「過去問3年分を解く」という計画を前提に話を進めさせていただきますが、余裕があれば5年分ほど解いてみるのもよいでしょう。
過去問3年分を解く場合は、夏休みに1年分、冬休みに2年分を解く計画で進めるとよいでしょう。
というのも、夏休み以前に過去問に挑戦したとしても、まだ5分の1ほどは学習していない範囲であるため、解く意味が薄れてしまうからです。では、もっと後に解けば良いかというと、そうではありません。なぜなら早めに一度解いてみて、入試問題の難易度や自分の力量を把握し、今後の学習計画に生かす必要があるためです。
まずは夏休みに一度解いてみましょう。習っていない範囲もあるため、思うように解けないこともあるはずです。ですが一度体験してみることで、夏以降の学習に取り組む意識が大きく変わるはずです。
力を入れて学習すべき教科や単元も明らかになるでしょう。ただし、一度の過去問だけで得意不得意を判断するのではなく、これまでの定期テストや模試などを総合的に踏まえて学習計画を立てるようにしましょう。
続いて、冬休みに2年分解いてみることをおすすめします。3年生の冬休みとなると、中学生で学習すべき範囲の大部分は終了しています。
つまり、時間配分の練習や力試しにはうってつけのタイミングと言えるのです。できる限り本番に近い環境を用意して取り組みましょう。万全を期すのであれば、本番同様1日で全教科に取り組みましょう。時間も合わせられると完璧です。
時間を本番と合わせておくと、テストの終了時間をうっかり勘違いしてしまうミスなども少なくなります。(基本的に試験官が10分前などを伝えてくれますが、頭の中で終了時刻を間違えてしまうことは意外とあるミスです)
そこまで合わせられない場合も、最低でも1教科の時間を正確に記録しながら取り組みましょう。時間を計らずに自分のペースで進めることはやめましょう。
冬休みに過去問に取り組むことは、力試し以外にもメリットがあります。それは「思うような結果が出なくても挽回する時間が残されている」ということです。入試のタイミングは高校により様々ですが、基本的には2月〜3月です。残された時間は多くありませんが、挽回できる可能性は残っています。
結果が思わしくない場合は、焦りを力に変えてラストスパートをかけるようにしましょう。
「過去問を本番直前の力試しに行う」、これは以前はよく聞かれた学習法ですが、現在は基本的におすすめされていない学習法です。それはなぜでしょうか。
答えは簡単で、直前に解いても今後に生かせることがほぼ無いからです。時間配分の練習にはなるでしょう。しかしそれ以外はほぼ意味がありません。例えば直前に過去問を解き、よい点数がとれたとしても、本番も必ず良い点が取れるかは全く別問題です。
「自信がつく」という人もいますが、入試直前の時期に過去問が解けないと逆に焦りが生まれます。自信を失ってしまうでしょうし、なにより挽回して勉強に取り組む時間もありません。ただ不安感が増すだけになってしまいます。万が一このような状況に陥ったときは、あくまでも過去問は練習と割り切り、解ける問題を解いたり得意な科目を重点的に解き直したりして、立て直しを行ってください。
以上から、過去問に取り組むタイミングは、夏休みや冬休みなどの時間にゆとりがあるときにしっかりと取り組むことがベストといえます。
最後に、過去問は何年分を何回解くべきかについて解説します。結論としては「最低3年分を3回ずつは取りくむべき」となります。以下で詳しく理由を説明していきます。
まずは「何年分取り組むべきか」についてですが、最低3年分は取り組むと良いでしょう。理由は先に述べたように、「夏休みに1回、冬休みに2回解く」ことが効果的なためです。
3年分取り組めば、入試問題の傾向や難易度を概ね把握することができるでしょう。もちろん5年分解いても構いませんが、1年分につき3回は解き直したいので、解く年数を増やす場合は消化不良にならないように注意しましょう。
また、過去問は基本的に最新の年度から解くようにしましょう。最新の年度が最も出題範囲や難易度の信頼性が高いためです。古いものから解いていると、直近の入試で変更点や傾向の変化があった場合に対応できなくなるおそれがあります。
過去問は1年分につき3回は解き直すようにしましょう。「くり返し解く」というのは、過去問に限らず効率的な勉強の原則です。
「3年分を1回ずつ解く」よりも、「1年分を3回解く」ほうが学習効率と定着率がよいといえます。
このとき、1回目を解いてから時間をあけて再挑戦してください。最低でも3週間ほどは時間をあけながら、くり返し挑戦してみてください。
自分が志望校にどれだけ近づくことができたのかを具体的に測ることができます。
余裕があれば、併願校の過去問にも挑戦してみるとよいでしょう。ただし、受験勉強で時間的な余裕ができる人はほぼいません。
普通であれば第一志望合格へ向けての勉強が精一杯です。併願校であれば、少しレベルを落とした高校を受験することが通常ですので、併願校の入試2ヶ月ほど前に1年分問題を解いてみれば十分でしょう。
また、入試本番前には必ず見直しをし、難易度や時間配分を確認しておきましょう。併願校の受験には「第一志望校の受験の練習」という意味合いも含まれます。まだ受験の経験が少ない中学生にとっては大切です。
良いイメージをもって受験を終えられるよう、対策は入念に行いましょう。
高校受験に向けた過去問の活用法は、把握できたでしょうか。
とはいえ、「わかる」と「できる」は別ものです。基本的な過去問の使い方がわかっても、実際やるとなると、何から始めれば良いか困ってしまう中学生も大勢います。
ここからは、高校受験に向けた勉強や過去問対策におすすめの個別指導塾を5つ紹介します。受験を突破するノウハウを豊富に持つプロのサポートを受け、効率よく過去問演習を進めていきませんか。
個別教室のトライは、全国に直営教室を展開する大手の個別指導塾です。すべての教室・すべての授業をマンツーマンで実施しています。学習計画もオーダーメイドのため、「いつ・どのような学習を・どのくらい進めるか」を自由に決められる点がメリット。志望校の入試日程に合わせた過去問演習はもちろんのこと、模試に照準を合わせた受験勉強も可能です。
教室には指導経験豊富な教育プランナー「トライさん」が常駐しており、生徒や保護者の方からの受験相談・学習相談に応じます。
トライのオンライン個別指導塾は、自宅でトライ品質の指導を受けられるサービスです。こちらも、授業はマンツーマン。通塾の必要がなく、限られた時間を有効活用したい中学生におすすめします。
最短1分で完了! 個別教室のトライのお近くの教室に東京個別指導学院・関西個別指導学院は、高い指導力を持つ講師と「生徒ファースト」の在り方で支持される個別指導塾です。講師は、教科知識や人間性、熱意などを総合的に審査の上、採用された逸材ばかり。誠実に生徒に寄り添う姿勢が、「安心できる」「気軽に質問できる」と評判です。
授業計画や授業内容、さらに欠席連絡に至るまで、徹底的に生徒ファーストの姿勢が見られる点も、東京個別指導学院・関西個別指導学院の魅力でしょう。欠席連絡は授業当日までOKで、振替授業も無料で実施してもらえます。受験勉強も、スポーツ・習い事も頑張りたい、そんな意欲のある中学生におすすめします。
最短1分で完了! 東京個別指導学院のお近くの教室に個別指導WAMは、生徒一人ひとりに対し「本当に必要な指導」を提供する個別指導塾です。地域の学校事情に精通しており、高校受験や高校それぞれの情報も豊富に保持。必要に応じて生徒に情報を還元しながら、入試傾向に合わせた授業を展開します。
受験勉強とテスト対策の両立も、個別指導WAMにお任せください。定期テスト対策は、2週間前から特別日程で実施します。受講教科以外の対策もでき、入試に向けて5教科の総合力を伸ばしていけるでしょう。
オンライン家庭教師WAMは、専用システムを使ってマンツーマン授業を提供するオンライン指導です。対面指導と変わらぬ品質の授業と、充実したサポート内容から人気があります。感染症などが心配で、通塾を控えたい直前期にもピッタリです。
最短1分で完了! 個別指導WAMのお近くの教室に代々木個別指導学院は、生徒の個性と自主性を伸ばしながら、着実に実力をつけられる塾として人気があります。実力が伸びる秘密は、「答えではなく、考え方を指導する」授業方針にあります。どこをヒントとし、どのように考え工夫すれば解けるのか、その思考過程を徹底的にトレーニングする授業で、初見の問題も自分で果敢に考える姿勢が養成されるのです。
難度の高い問題が並ぶ過去問にも、臆せず挑戦していく強い心が育つでしょう。
講師陣は、みな親切でフレンドリー。勉強の質問から悩みの相談まで、どのような話も気軽にできるとのコメントが続出しています。
最短1分で完了! 代々木個別指導学院のお近くの教室にナビ個別指導学院は、高校受験突破に向けて「得点力アップ」「内申点アップ」を2本柱に指導します。結果を出すために、予習復習や家庭学習のやり方まで徹底的にサポート。さらに、中学校別の定期テスト対策で結果に直結する力を伸ばします。
過去問演習では、時間配分など、中学生が悩みやすいポイントも丁寧に指導します。過去問の使い方や解くタイミング、見直しの仕方も、気軽に相談してみてください。褒めるスキルを身につけた講師が、ポジティブかつ的確にアドバイスしてくれます。
ナビ個別指導学院では、体験授業を4回分受けられます。じっくり通ってから、続けられそうか判断してください。
最短1分で完了! ナビ個別指導学院のお近くの教室に高校入試に向けて、過去問を利用した効率的な学習法を解説しました。ポイントは以下の3つです。
1.過去問を解く目的を理解する
2.過去問は夏休みと冬休みに取り組む
3.3年分を3回、期間を空けて解くようにする
です。これらのポイントを押さえながら取り組むことで、学習効率や入試本番の成功率が高まります。ぜひ参考にしてください。
また、志望校合格の確率をさらに高めたい場合は、塾を効果的に利用することもおすすめです。塾を利用すると学習面をサポートしてくれるだけでなく、志望校への対策も行ってくれるところが魅力です。
塾選びが難しい場合は「塾探しの窓口」を利用するのがおすすめです。塾探しの窓口を利用すると、近所の塾を簡単に検索することが可能です。入塾金1万円割引などの特典もありますので、気になる方はぜひ利用してみてください。
この記事が参考になり、みなさまの受験成功の一助となれば幸いです。