【高校受験】入試数学で点数をとる最も効率的な勉強法を解説

更新日 2024.01.16
【高校受験】入試数学で点数をとる最も効率的な勉強法を解説

高校入試が近づいてくると、お子さん以上に不安を覚える保護者の方も多いでしょう。

特に数学は「苦手」「嫌い」な中学生が非常に多い教科です。数学をしっかりと対策できるかどうかで、合否の結果は大きく分かれると言えます。

しかし数学が大切だとは理解しているものの、どう勉強すればいいかわからない中学生が多いです。

数学の勉強は難しいことはありません。正しい方法で学習をすれば、確実に成果を伸ばすことが可能ですし、非効率な勉強をしている中学生の2倍3倍の効率で成績を上げることも可能です。

この記事では、元中学校の教員である筆者が「高校入試の数学」で点数をとるために効率的な勉強法を解説します。

数学の効率的な勉強法とは?

数学を嫌いにならないためには?

数学の勉強に塾は必要?

などの疑問は、この記事を読めば解決することができるでしょう。

筆者は公立中学校で10年以上勤務をしてきました。その経験を生かし、現在はインターネットで教育活動を行なっています。YouTubeは登録者4万人以上。筆者が運営している学習サイトの利用者は毎月30万人以上です。学習に関する質問が毎日のように届くため、学習法の研究を常に行なっています。

私の経験に基づいたこの記事が参考になり、読んでくださった方の受験成功の手助けができれば幸いです。

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数学は成績を上げるのに時間がかかる教科

5教科の中でも数学は成績を上げることが難しい
5教科の中でも数学は成績を上げることが難しい

まず前提として理解していただきたいのは、「数学は成績を上げることが難しい(時間がかかる)教科だ」ということです。

一般的に、高校受験における成績の上げやすさは以下の順です。

1.社会
2.理科
3.数学
4.英語
5.国語

数学は3位と、真ん中に見えるかもしれませんが、2位の理科と3位の数学には大きな開きがあります。「社会と理科は成績を上げやすい」・「数学・英語・国語は成績が上げにくい」と考えた方がわかりやすいかもしれません。

事実、私がYouTubeで7000人に行なったアンケートでは、数学は苦手教科の1位になっています。

なぜ高校受験で数学を上げることが難しいのか。理由は次の2つです。

1.つまずいている場所がわからないから
2.暗記だけでなく理解も必要な教科だから

「1.つまずいている場所がわからない」というのは、中3で数学が苦手といっても、実際は中1でつまずいているのか、小学生でつまずいているのかが簡単にはわからないのです。

基本的に数学が苦手な中学生は、中学1年生から勉強をし直すことが大切です。これだけでも、数学の成績を上げることが難しいことがわかるでしょう。また、数学の勉強は「2.暗記だけでなく理解も必要」なところも成績を上げにくい大きな理由です。

成績を上げやすい教科1位の社会は、暗記が多くを占めます。

年号、人物名、出来事などを暗記していけば、多く場合得点は増えます。しかし数学は暗記の前に解法や公式を理解しなければいけません。

つまり、社会よりも正解にたどり着くステップが一つ多いのです。この点も、数学の成績を上げることが難しい要因の1つとなっています。少なくとも受験数学の成績を上げるためには、3ヶ月はかかると考えておきましょう。

数学は問題パターンを「覚える」教科である

高校入試の数学は暗記で成績を大きく伸ばすことが可能
高校入試の数学はパターンを覚えることで成績を大きく伸ばすことが可能

ここでは、数学の効率的な勉強法を詳しく解説していきます。まず初めにみなさんが理解しないといけないことは「数学は問題パターンを覚えることで点数が決まる」ということです。

数学が苦手な人は、得意な人のことを「ひらめきが凄い」「発想がすごい」と考えているかもしれません。これは大きな間違いです。数学が得意な人は

・公式
・解き方
・応用の仕方

などを全て覚えているのです。決して1から自分で公式を作り上げたり、今までだれも思いつかなかった解き方をひらめいているわけではありません(ごく一部の天才は別ですが)。

公式を覚え、たくさんの練習問題をこなしているので、テストで問題が出てきても、「ああ、この問題は知っている」「この問題はこの公式をここに使えば解ける」と、反射的に問題を解いているのです。

みなさんも、自分のことを振り返って見てください。テスト中に点数がとれた問題のほとんどは、「解き方を知っていた」問題ではありませんか?誰も知らないような解き方を、自分で思いついたことがありますか?

99%無いはずです。もしかしたらテスト中に「ひらめいた」と感じることもあるかもしれませんが、それはただ授業中に習ったことを思い出しただけでしょう。

くり返しになりますが、数学は「問題パターンをいかに多く覚えるか」で勝負が決まるのです。ひらめきはいりません。必ず押さえてほしいポイントです。

点数につながる記憶とは何か

続いては「覚えられている」という状態を正しく理解していきましょう。

「解き方を覚えている」とは、「一瞬で答えや解き方が思い出せる状態」のことを言います。

下の問題を見てみましょう。

この問題を解くためには

・平行線の錯角は等しい
・角度xのところに補助線が必要

という知識を「知っている」必要があります。

数学が苦手な人は「自分には補助線を引くなんてひらめかない」と考えてしまいます。

しかし先ほども述べたように、数学が得意な人はこの問題パターンを覚え、さらに解き方を理解して覚えています。つまり、問題を見た瞬間に解き方が頭に浮かぶのです。

このように、数学が得意になりたいのであれば、得意な人と同じように、解き方が一瞬で頭に浮かぶようにすればよいのです。

よくある悪い例は、

1.問題を解いてみる
2.わからなかった
3.答えを見た
4.理解できた

ここで勉強を終えてしまうことです。ここで勉強を止めてしまうと、せっかくテストで同じ問題が出たときにも、「勉強したのに解けない」となってしまいます。

ではどうすればいいのでしょうか。それは「答えを見た」「理解できた」の後に必ず「もう一度解く」というプロセスが必要になるのです。

「自力で答えを一瞬で思い出せるかどうか」をチェックしなければならないということです。もちろん、日をおいてくり返し取り組む必要があるでしょう。このように「解き方を一瞬で思い出す」というトレーニングを続けていくことで、点数につながる記憶になり、実力が定着していくのです。

数学は問題集での学習が効率的

ここまでで「数学は問題パターンを覚えること」「覚えるとは答えや解き方が一瞬で思い浮かぶこと」と理解していただけたかと思います。

ここからは、高校受験で得点するための、数学の具体的な勉強法について解説をしていきます。数学に必要な知識や解き方は、「問題集」を使い、問題を解きながら身につけていくことが効率的です。

「教科書を読む」「ノートを見返す」「映像授業を見るだけ」などは頭に入らない、典型的な悪い勉強法です。必ず問題集で実際に問題を解いて「答えや解き方が一瞬で思い浮かぶか」を確認しながら勉強していきましょう。

問題集の使い方

問題集の使い方にもポイントがあります。それは、問題を解きながら印をつけていくことです。

基本的に印は、以下のようにつけていくとよいでしょう。

◎ カンペキで。もう解かないでよい問題
○ 解けたがもう一度解きたい問題
△ 解けなかったが、答えを見れば理解できた問題
× 解けずに、答えを見ても理解できない問題

(この印一例なので、印はアレンジしていただいて構いません)

勉強したい範囲が一通り終わったら、問題集に再度チャレンジをしていきます。その際、○や△の問題に集中的に取り組むようにしましょう。この○や△の問題を◎にすることで、点数はどんどん上がっていくのです。くり返し学習のコツや印をつける学習法は以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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続いて、問題集の選び方を説明します。

問題集の選び方

問題集の選び方のポイントは1つです。それは「パッと見た時に、7割程度は解けそうな問題集を選ぶこと」です。

そのように言われると「7割もわかる問題集は簡単すぎる。もっと難しいほうがよい」と考えてしまう方も多いでしょう。実はそこが落とし穴なのです。問題集を選ぶときに、つい難しめの問題集を選んでしまう方が多いのですが、人間というのは面白いもので、問題集を買うときが一番やる気があるからです。

ですが難しめの問題集を買うと、高確率でやる気が無くなります。落ち着いて考えてみればわかります。問題集を開くと、わからない問題がたくさん並んでいるのです。これではだれでもやる気が無くなります。

意識的に易しめの問題集を選ぶことで、この落とし穴は回避ができます。易しめの問題を解いていくことでリズムが生まれます。簡単すぎる問題は、◎の印をつけて次から飛ばせばよいのです。

そして、たまに難しい問題にチャレンジすることで、できなかった問題が記憶に定着します。実はこの考えは、子どもが好きなゲームにも応用されています。はじめは簡単に進めることができ、ところどころで強敵が現れます。これが人間が最も飽きずに続けられるリズムだからです。

必ず易しめの問題集を選びましょう。そして、その問題集の大半が◎になったら、次の問題集に挑戦すればよいのです。初めにたくさんの問題集を買わないことにも注意です。理由は同じで、たくさんの問題集を買ってもやりきれず、やる気がなくなるからです。自分が決めた一冊にしぼり、必ずやり切りましょう。

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高校入試の数学のおすすめ勉強スケジュール

受験までの残り期間から逆算して計画を立てる
受験までの残り期間から逆算して計画を立てる

続いては、高校入試における数学のおすすめの勉強スケジュールを紹介します。残された時間や現在の成績を考慮し、参考にしていただけると幸いです。

高校入試の数学のおすすめ勉強スケジュール

入試まで残り1年以上

入試まで残り1年以上ある場合は、ある程度、時間が残されていると言えるでしょう。時間が残されていると、つい気が緩んでしまうのは人間の常ですが、この時期に頑張れると成績を大きく伸ばすことが可能です。

特に2年生の冬は、一般的に部活動の時間や学校行事が少ないことから、受験勉強を開始するのに最も適した時期です。この時期に勉強を始められるとベストでしょう。 以下は、私が独自に行ったアンケートの結果です。中2までに受験勉強を始めた人が全体の1割程度しかいないことがわかります。逆に言えば、中2までに始めれば、ライバルたちよりも早くスタートできるということです。

時間が残り1年以上ある場合は、まずは1、2年生の復習から行うことがベストです。3年生の予習などは、よほど数学が得意な生徒以外は必要ありません。1、2年生でつまずいたポイントをしっかりと復習することで、3年生の勉強の基礎が整い、新しい内容の学びにも大いに生きてきます。

先ほど述べたように、易しめの問題集を選んで取り組みましょう。苦手分野の学習に力を入れることもおすすめです。たとえ毎日30分でも、継続することで入試本番での成果につながるでしょう。

入試まで残り半年

入試まで残り半年という時期は、多くの中学生が受験勉強に力を入れ始める時期です。さきほどの調査でも中3の夏頃から受験勉強を始めた生徒が最も多かったですね。この時期を逃すと、大きく遅れをとってしまうことを理解しておきましょう。

またこの時期に勉強を開始することが、受験勉強を間に合わせる最後のチャンスと考えましょう。

受験勉強と学校の授業の理解を並行して進めるには、毎日、最低1時間程度は学習時間がほしいところです。逆に言えば、毎日1時間の勉強時間をとれれば、苦手克服や入試で点数を伸ばすことは十分に可能です。

あまり焦る必要はなく、1、2年生の復習から着手するとよいでしょう。1、2年生の苦手克服に4〜5ヶ月。残りの時間で入試の問題などにチャレンジするというスケージュールがおすすめです。

あまり早い段階で、無理して入試問題などに挑戦する必要はありません。難しい問題に挑戦すれば成績が伸びるというのは勘違いです。階段を一歩一歩上るように、焦らず苦手を潰していきましょう。そうすれば必ず入試までに成績は上がります。

入試まで残り3ヶ月以下

入試まで3ヶ月を切っている場合は、残された時間は少ないと考えましょう。特に数学が苦手な中学生は、苦手克服までもっていくことは大変です。

数学が苦手な場合は、割り切って基礎的な問題に集中するのがよいでしょう。基本問題を固めることは成績を上げる効率がよいため、そちらに集中することで本番の成果が出やすくなります。

残された時間が少ないとはいえ、3ヶ月あれば基本を一通り押さえることは可能です。こつこつと基礎固めに取り組むことがベストでしょう。

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学習サービスの効率的な利用法

学習サービスを効果的に活用して学習効果を高める
学習サービスを効果的に活用して学習効果を高める

最後に塾や家庭教師、その他オンラインサービスの効果的な活用法を紹介します。

学習サービスは上手に利用することができれば効果が高い反面、思いつきで使ってしまうとお金のムダにもなりかねません。学習サービスのメリット・デメリットをしっかりと把握しましょう。

塾や家庭教師を利用するメリットとデメリット

まずは塾や家庭教師を利用するメリットを紹介します。代表的なメリット以下のようになります。

・強制的に勉強ができる
・わからないところを教えてもらえる
・受験に向けたサポートをしてもらえる

などになります。塾や家庭教師の最大のメリットは「強制的に学習ができる」ことです。特に中学生は、一人で継続的にモチベーションを維持したまま学習に取り組める人は半分もいないでしょう。このような中学生にとっては、塾は大きなメリットとなります。

もちろん先生からわかりやすく教えてもらうことができることもメリットです。特に数学は自分の力だけで苦手を克服することが難しい教科のため、塾や家庭教師を利用する価値は十分にあります。さらに塾では、高校進学へ向けての具体的なアドバイスをもらえることもあります。しかしこのあたりは塾によるので、しっかりと調査してから入塾することをおすすめします。

一方、塾や家庭教師のデメリットは以下の通りです。

・お金がかかる
・準備や移動に時間がかかる
・塾のカリキュラムと生徒の理解度合いが合っていないケースがある

などが挙げられます。特にカリキュラムと生徒の理解度にずれがある場合、わかっている内容をもう一度聞かなければならないなど、無駄な時間が発生します。家庭教師であれば無駄な時間は削れますが、その一方で費用が高くなりがちです。

このように、塾や家庭教師にはそれぞれメリットとデメリットがあります。自主勉強をする力がまだまだ弱い中学生は、塾や家庭教師を利用するのは一つの方法です。

なお、近年はオンライン塾やオンライン家庭教師などの「オンラインサービス」が増えています。自宅で配信される映像授業を受けられるもの、対面授業のようにオンラインで先生から直接指導を受けられるものなどさまざまです。自宅にいながら有名講師の授業が受けられ、料金は一般的な塾よりも安いところも多いなどメリットもあります。

一方で、オンライン塾は結局のところ自分一人で学習する「自学自習」と変わらないため、集中力やモチベーションが続かずやめてしまう生徒もいるようです。映像を見るだけで飽きてしまう、眠くなってしまうという声も聞かれます。

これらのデメリットを払拭するために、各オンライン塾では面談を設けたり、コーチングサービスをつけたりと、さまざまな工夫をしています。料金やサービス内容も千差万別なので、利用前には問い合わせることをおすすめします。

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まとめ

この記事では、高校受験数学の効率的な勉強法を解説しました。

数学は「ひらめき」や「直感」が大切と言われることが多いです。ですがそのように言われてしまうと、どのように勉強を進めればいいのかわからなくなりますよね。数学の勉強法はとてもシンプルです。漢字練習や単語練習のように、問題集を何度もくり返し、問題パターンとそれに合った解法を覚えてしまうだけです。

それだけで必ず力はつきます。この記事が参考になり、高校受験突破の一助となれば、これほど嬉しいことをありません。みなさまの努力の成果が実ることを、心よりお祈りしています。

また、他教科の高校入試に向けた効率的な勉強法は以下の記事を参考にしてください。

【高校受験】入試社会で点数をとる最も効率的な勉強法を解説
【高校受験】入試理科の勉強法と点数が伸びやすい単元を解説
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この記事を書いた人

さわにい

さわにい

元公立中学校の理科の教員です。教員経験は11年。現専門は理科教育学。所持教員免許は中学と高校の理科。

理科の教材や学習法を研究中。さまざまな出版社の理科教材や解説を作成してます。

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