元公立中学校の理科の教員です。教員経験は11年。現専門は理科教育学。所持教員免許は中学と高校の理科。
理科の教材や学習法を研究中。さまざまな出版社の理科教材や解説を作成してます。
理科が苦手だという中学生の生徒さんは一定数いらっしゃいます。
この記事では、元中学理科教員の筆者が、「理科の成績の伸ばしやすい単元順」「高校受験の理科の効率的な学習法」などについて解説します。
理科の効率的な学習法を知りたい
成績の伸びやすい単元・分野を知りたい
理科の成績を上げるのに学習塾を利用すべきかどうか
これらを知りたい方におすすめの内容になっています。
筆者は元中学理科の教員で、現在はインターネットで教育活動を行なっています。運営している中学理科の学習サイトは月間アクセス30万回を超えており、YouTubeの登録者は5万人弱。私の元には中学生からたくさんの学習に関する質問が届くため、効率的な学習法を常に研究し生徒さんたちに提供しています。
この記事が受験成功の一助となれば幸いです。
以下の図は私が中学生に行なったアンケート結果です。
理科が苦手な中学生は一定いますが、英語や数学に比べると少ないことがわかります。理科は比較的暗記分量が多いことなどからこのような回答になっていると考えられます。
元教員の立場から言うと、「理科は成績を上げやすい教科である」といえます。「成績を上げやすい教科は理科・社会」「成績を上げにくい教科は国・数・英」というのが一般的な中学教科に対する教師や塾講師の見解です。
逆に言うと、理科は入試直前でも伸びる可能性がある教科といえます。そして、それはどの生徒さんでも同じです。ライバルも入試の直前に理科の成績を伸ばしてくるかもしれません。そのため入試では、「理科で点数を大きく落とさないこと」は非常に重要です。
理科が苦手ならば、一つ一つ苦手分野を潰していくことが大切です。次章から、理科の成績を上げるための具体的な考え方を紹介していきます。
ここでは、理科における「成績の伸ばしやすい単元」と「単元ごとの学習のポイント」を解説していきます。
理科の特徴として、単元ごとに内容や難易度が大きく変わることが特徴です。2022年現在、理科の学習内容は以下のようになっています。
1年 | 2年 | 3年 | |
生物分野 | 生物のなかま | 生物のからだ | 生殖と遺伝 |
化学分野 | 気体と状態変化 | 化学変化と原子・分子 | イオン |
物理分野 | 光・音・力 | 電流と磁界 | エネルギーと仕事 |
地学分野 | 火山と岩石 | 日本の天気 | 天体の動き |
これらの単元を、筆者の経験から点数を伸ばしやすい順にカテゴライズすると、以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年 | |
伸ばしやすい | 生物のなかまわけ 火山と岩石 | 生物のからだのつくり | |
普通 | 気体と状態変化 光・音・力 | 化学変化と原子・分子 日本の天気 | 生殖と遺伝 天体の動き |
伸ばしにくい | 電流と磁界 | エネルギーと仕事 イオン |
これらの単元上の特性を理解しながら、学習をしていくことが大切になります。
まずは成績を伸ばしやすい単元の学習法を解説します。中学理科の単元で成績を伸ばしやすいのは、以下の3つの単元です。
生物のなかまわけ
火山と岩石
生物のからだのつくり
これらの単元は、なぜ成績を伸ばしやすいのでしょうか。それはこれらの単元が「理解を必要とせず、単純な暗記だけで正解できる問題が多い」からです。
例えば「魚類の体の表面は何で覆われているか?」という問題を正解できるようになるためには、難しいことを理解する必要はありません。単純に「うろこ」と答えを暗記すればよいのです。
成績を伸ばしやすい単元には、このような問題が多い傾向があります。もちろん覚える「量」は多いので大変ではありますが、国語の漢字や語彙、英語の単語などと同じように、学習すればするだけ力になり、成果につながります。
また、入試問題であっても、簡単な問題と難しい問題で配点はそこまで大きく変わりません。
であれば、簡単な(基礎的な)問題に優先的に取り組み、確実に得点することが重要になります。逆に、皆が得点できる基礎問題を間違ってしまうと、他の生徒との差がついてしまいます。基本問題を確実にパターンで「覚える」ことが成績を上げる近道です。
理科にはさまざまな単元があり、一人一人得意な単元や興味がある単元は異なります。ですが成績が伸びやすい、これら3つの単元は、優先的に学習していくことをおすすめします。
一方で、成績が伸ばしにくい単元は
電流と磁界
エネルギーと仕事
イオン、天気と天体、遺伝
などが挙げられます。これらの単元はなぜ成績を伸ばしにくいのでしょうか?それはこれらの単元は、1問解くのに必要な知識や、理解しておくべき事柄が多いからです。
例えば次の問題を見てみましょう。
次の回路図の電流を単位をつけて答えよ。
この問題を解くためには、
・I(アイ)が電流であること
・電流は電圧÷抵抗で求められること
・電流の単位はIであること
など細かな知識を全て覚えておく必要があります。(ここでいう「覚える」は、「理解したうえで記憶している」という状態です)
これらの知識が合わさって、1つの問題を解くことができるのです。言い変えると、正解に到達するまでの過程が多いとも言えるでしょう。
つまり、1問解くために必要な勉強量が多い単元なのです。そのため、特に理科を苦手に感じている生徒さんは、基本的には後回しにすべき単元ともいえます。
このように、理科は単元ごとに難易度が大きく変わることが特徴です。
成績を伸ばしやすい単元 → 普通の単元 → 成績を伸ばしにくい単元
という順で学習していくことで、効率を高めることができるでしょう。
成績が伸ばしにくいからといって、後回しにしたまま手をつけないわけにはいきません。実際に取り掛かる際には、以下のことに注意してみましょう。
【生物】
・植物と動物については暗記がメインになります。3年生で学ぶ遺伝は、「メンデルの法則」が難しいと感じる生徒が多いようです。系図を自分の手で書いて理解するようにしましょう。
【化学】
・元素記号と化学式は「暗記」です。これは九九と同じで覚えなければ始まりません。そこをクリアしてようやく3年生で習うイオン化や化学反応式が理解できるようになります。
【物理】
・おそらく最も苦手と感じる人が多い単元が物理です。覚えることよりも、現象を理解したうえでさらに計算が必要になります。公式の暗記はもちろん重要ですが、どの問題でどの公式を使いどの数字を当てはめているか、何度も繰り返してください。
・電流と磁界、エネルギーと仕事は目に見えないもののため、イメージしづらいかもしれません。できる限り自分の手で、教科書や問題集の図を参考に毎回絵を描いてみましょう。自分で描けるようになるまで繰り返してください。
余談ですが、筆者の知人で高校の数学教師の方がいます。この方はずっと数学が得意だったのですが、高校の頃に宇宙工学を学びたくて理系クラスに進んだものの、物理が全くできず行きたかった大学の学部をあきらめ、数学教師になったとのことでした。数学と物理は似ているようですが、物理は本質的に実体のあるものに対する研究のため「数学はできるのになぜ物理ができないのか」と悩む必要はありません。
【地学】
・天気は気流の流れや風向きなどの原則を「理解してから」覚える。(湿度計算は数学を復習する、風は高気圧から低気圧に向かって吹くなど)
・天体の運行は方角と時刻、自分の視点の位置を意識して考える。(実際に夜、星や月を観察して方角などを確認すると、模式図を見た際にイメージしやすい)
成績を上げるために最も大切なことは、「基本問題を繰り返して解き、徹底的に覚えること」です。これは全ての教科に言えることです。
筆者は元・理科教員です。ほぼ全ての問題に正解することができますが、それは全ての問題の答えや解き方(パターン)を「覚えている」からです。
テストで問題を見た時に「この問題は見たことがある」「確かこのパターンで解けばよいはず」と、覚えた内容が思い浮かぶこと。このような正解に至る過程は、全ての問題、全ての教科に共通していえることです。
まずは成績を上げるためには「解いて、より多くのパターンを覚える」ことが大切だと理解してください。
ただやみくもに覚えるだけでは成績は伸びません。覚えたことを点数につなげるには、「問題を見た時に、答えを一瞬で思い出すことができるかどうか」を基準にしましょう。
例えば、九九で考えてみるとわかりやすいでしょう。小学生のとき、スラスラと流れるように言えるまで九九を唱えて覚えたのではないでしょうか。これが、「覚えたことを点数につなげられる」状態です。
理科に限らず、入試問題で点数を取るには、問題を見た瞬間に答えや解き方が頭に浮かぶまでくり返し練習し、記憶する必要があります。問題集を一回解いただけで覚えた(解けるようになった)気になっていると、テストで同じ問題が出ても解くことはできません。
「勉強したのに解けない」というのは非常にもったいない状態です。一瞬で答えが浮かぶようになるまで繰り返し類似の基礎問題を解きましょう。そこまでできて初めて、応用問題へステップアップできるようになります。
問題パターンを覚えるには、問題集を使った学習が効果的です。
「教科書を読む」「ノートにまとめる」「映像授業を観るだけ」などは典型的な「頭に入らない」学習法です。
問題集を使った学習の良いところは、「自分の頭で思い出す(考える)」という過程を必要とするところです。この過程が絶対に必要です。「読むだけ」「まとめるだけ」「観るだけ」というのは、自分の頭で考える過程がほとんど発生せず、覚えたことが定着しません。
問題集を効率よく使うには、次の2つのポイントを押さえましょう。
①何度もくり返し解く
②問題を解く時に印をつけていく
①の「問題集は何度もくり返し解く」についてですが、これはどの学習法の本でも言われる基本的なことです。
なお、問題集は3冊をそれぞれ1回だけ解くよりも1冊を3回解いた方が、はるかに効率が良いです。例えば、予備校の先生は、問題集の使い込み具合を見るだけで成績の予測がたつそうです。「一冊の問題集をくり返し使用する」ことがこの話からも分かります。
くり返し学習法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
②の「問題を解く時に印をつけていく」これも大切なポイントです。勉強したい範囲の問題を解く際には、必ず以下のような印をつけていきましょう。
◎ 完璧で、もう解かないでよい問題
○ 解けたがもう一度解きたい問題
△ 解けなかったが、答えを見れば理解できた問題
× 解けずに、答えを見ても理解できない問題
このように印をつけていきます(印は一例なので、慣れてきたら自分でアレンジして構いません)。学習したい範囲の全ての問題が◎にまるまでくり返し学習をします。少なくとも3周〜5周がんばってみましょう。
時間がかかるように感じますが、実際はくり返すほど◎の問題が増え、1周するのにかかる時間が減っていきます。勉強するごとに楽になります。また「分かる、できる」実感がわくでしょう。大変なのは始めだけなので、ぜひくり返し挑戦してみてください。成績の上がり方は2倍近くになるはずです。
印をつける学習法はこちらの記事で詳しく解説しています。
問題集を選ぶポイントは「パッとみて7割程度は解けそうな問題集を選ぶ」ということです。
7割程度は解ける問題集というと、「それでは簡単すぎる」と感じてしまう方もいるでしょう。事実、勉強法にあまり詳しくない人は、難しい問題集を買ってしまいがちです。
「わからない問題が多い方がお得な気がする」「難しい問題を解いた方が成績が上がる気がする」などが理由です。ですがこれが落とし穴。難しい問題集を買ってしまうと、勉強で挫折する確率が大幅に高まります。
反対に、やさしい問題集はどうでしょうか。基本的にはサクサク進めることができます。そして、たまに難しい問題が出てくるので、その問題に力を注げます。当然、記憶にも残りやすいです。
リズム良く勉強を続けられることは非常に大切です。TVゲームも、ユーザーを飽きさせないよう簡単なところと難しいところが交互に出てくる計算された作りになっています。
以上のように、問題集は意識的にやさしいものを選ぶことで、長続きし、記憶にも残りやすくなります。選ぶ際は注意しましょう。
最後に、理科の成績を上げるために、学習サービスを利用すべきかどうかについて解説をさせていただきます。
理科は、英語・数学・国語と比較すると、家庭学習だけでも成績を伸ばしやすい教科です。そのため、塾を利用する場合に時間や費用に制限があるならば、英語や数学を優先することをおすすめします。
ただし、多くの集団指導塾では高校受験コースにおいて理科・社会もカリキュラムに組み込まれています。
・高校受験本番は5教科で受験する
・内申点を上げるために苦手科目はできるだけない方がよい
ことが理由です。特に時間や費用の問題がなく集団指導塾を利用するならば、理科もぜひ受講してみましょう。苦手ならば平均点が取れるように、すでに得意ならばさらに得意科目にして得点源にすることもおすすめです。
一人で学習を進めることが難しい場合は、塾は非常に頼りになる学習サービスです。
塾を探す場合は、「塾探しの窓口」を利用してみてください。地域や特徴に合わせた塾を簡単に検索することができます。
「5教科の総合力を上げるため」「適切な対策で成績を上げ、内申点向上を目指すため」には、塾も有効だと述べました。
ただ、理科を塾で受講したい場合は、塾選びが重要になります。理科を指導できる講師がいない塾、理科を受け入れていない塾もあるためです。
ここからは、理科の指導に定評ある塾を5選紹介します。いずれも、理科1教科の受講も可能な、個別指導塾です。自分に合う塾を見つけるヒントとして、活用してください。
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① 点数を取りやすい分野に絞って学習をする
② 自然に解き方が出てくるまで解いて、問題パターンを覚える
③ 問題集を利用する。問題集はやさしめのものを選び、繰り返して使う
これらのポイントを押さえて学習をすることで、理科の成績が上がる可能性が高くなるでしょう。
また、お子さんに合わせて適切な学習サービスを利用するのも良いでしょう。塾探しの窓口を利用すれば、希望に合わせた塾を簡単に検索することができます。ぜひ利用してみてください。
この記事が皆様の参考になり、受験突破の一助となれば幸いです。
また、他教科の高校入試に向けた効率的な勉強法は以下の記事を参考にしてください。
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