元公立中学校の理科の教員です。教員経験は11年。現専門は理科教育学。所持教員免許は中学と高校の理科。
理科の教材や学習法を研究中。さまざまな出版社の理科教材や解説を作成してます。
高校入試の時期が近付くと、お子さん以上に不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。特に英語は受験成功のカギを握る教科です。
英語はただでさえ成績を上げにくい教科の一つ。正しい勉強法を理解せずに勉強を続けても、英語が嫌いになるだけで、全く効果が無いということもありえます。一方で、正しく学習をすれば、通常の2倍3倍の成果を出すことも十分に可能です。
この記事では、元中学校の教員が「高校入試の英語」で点数をとるための効率的な勉強法を解説します。
英語の効率的な勉強法とは?
受験で失敗しないためには?
英語の勉強に塾は必要?
このような疑問は、この記事を読むことで解決ができるでしょう。
私は公立学校で教員として10年以上努めて参りました。現在は教材開発を行いながら、インターネットで教育活動を行なっています。登録者4万人をこえるYouTubeや、私が運営する学習サイトにはたくさんの勉強に関する質問が届きます。
そのため、私は日々学習法の研究を続けています。この記事が参考になり、お子さんの受験成功の助けになれば幸いです。
まず前提として知っていただきたいのは、「英語は成績を上げることが難しい教科」ということです。
一般的に成績の上げやすさは以下の順と言われています。
1.社会
2.理科
3.数学
4.英語
5.国語
1位の社会と4位の英語では、成績の上げやすさに大きな差があります。例えば社会と英語を同じように100時間勉強をした時に、社会は20点上げられたとしても、英語は10点上げることすら難しい、ということが十分にありえるのです。
中学1年生の夏などであれば英語の成績を上げることも難しくありません。しかし3年生で苦手意識をもっているとなると、かなり時間がかかってしまうのです。必然的に、英語な苦手な中学生が多くなってしまいます。(以下は私のYouTubeチャンネルでのアンケート結果)
さらにここ数年で、英語が苦手な中学生はさらに増えると予想されています。小学生の英語導入により、中学英語の難易度が急速も高まっているためです。
いずれにせよ、英語の点数を上げるには時間がかかり、3ヶ月以上はかかると認識しておきましょう。
ここからは具体的な勉強法について解説をしていきます。大前提として理解していただきたいことは、「英語の点数は暗記の量で決まる」ということです。
「成績を上げるためには、何をしたらいいんだろう…」と、悩んで時間を使ってしまうのはもったいないです。テストは暗記量で結果が決まるのです。どんな天才でも、英単語を覚えていなければテストで点数はとれません。
反対に、英語の成績がいい人は、必ず英単語をしっかり暗記できています。
もちろん英単語だけでなく、
「熟語」
「文法」
「構文」
など全てをしっかりと暗記していく必要があります。
英単語だけでも、中学生に必要な単語数は約2,000語と言われます。いかに英語の勉強が大変かがわかると思います。
ですが毎日コツコツ暗記を続けていけば、必ず成績は向上し、苦手意識はなくなっていきます。まずは勉強=暗記とシンプルに考え、勉強を始めていきましょう。
続いて、「暗記できている」とは何かについて詳しく解説をしていきます。暗記とは何かを正確に理解しないと、成績を上げるための勉強の中で無駄がでてしまいます。
「暗記できている」とは何か。答えはずばり、「一瞬で思い出すことができるかどうか」です。
例えば「dog(犬)」という英単語があります。多くの中学生は、見た瞬間に「犬」と理解することができるでしょう。この場合は「暗記できている」と言ってよいでしょう。
一方で「January(1月)」という単語があります。この単語の暗記が
・思い出すのに数秒かかった
・1月か2月だけど多分1月だと思う
・答えを見たら思い出せた
このようになってしまう場合は「暗記できている」と言えません。まだくり返し練習が必要でしょう。
この暗記をきっちりとしておかないと、2択まではしぼれても、そこで間違えてしまったり、長文を読むうちに少しずつ内容の理解がズレていってしまったりします。
単語だけに限らず、熟語や構文なども「一瞬で答えが思い出せる」ようになるまでくり返し練習しましょう。それができて始めて「暗記できている」となるのです。では、具体的な暗記の方法について解説をしていきます。
まずは英単語と英熟語の暗記法から解説をします。英語の勉強は「英単語」「英熟語」の暗記から始めると効率がよいです。
英単語は「dog(犬)」「January(1月)」など一語の単語のこと。英熟語は「get lost(道に迷う)」「get on(乗る)」「get off(降りる)」などの複数単語の組み合わせで意味をもつものです。イディオム、成句、慣用句などとも呼ばれます。どちらも非常に大切です。
英単語や英熟語は勉強内容が明確ですし、やればやるほど確実に力がつきます。「英単語・英熟語の学習が終われば、学習の半分以上は終わり」くらいの気持ちで取り組むとよいでしょう。
さらに、英単語がわかると長文の意味も半分程度は掴めるようになってきます。文法はわからなくても、単語がわかると文章も何となく予想ができるようになります。
こうなると、英語の苦手意識がかなり軽減されます。このように英語は単語や英熟語の勉強からはじめるのがよいでしょう。
具体的な暗記の方法ですが、主に以下の方法で学習することができます。
1.単語帳(本)
2.動画・音声
3.単語カード
詳しく解説をしていきます。
最もオーソドックスなのは単語帳でしょう。基本的にはすべての受験生が1冊はもっておいて損はありません。
単語帳は本人が気に入ったもので構いませんが以下の2点だけは注意してください。
1.使う単語帳は1冊にしぼる
2.出題されやすい順に並んでいる本を選ぶ
この2点です。単語帳に限らず、勉強する本は1冊に絞ることが基本です。気に入ったもの1冊を使い込みましょう。
また、単語帳は頻出度順に並んでいるもののほうが効率がいいです。アルファベット順に並んでいるものなどは、間違っても選ばないようにしましょう。どれがいいか迷う人は「英単語ターゲット1800」が良いでしょう。必要十分の単語がそろっており、音声を聞くことも可能です。
また、英熟語も英単語と同様の方法で学習していくことが可能です。熟語の本は「英熟語ターゲット400」がおすすめです。
英単語は動画や音声で学習することも効率的です。CDやYouTubeなどで音声を利用した一問一答方式で学習できるコンテンツがありますので、参考にしてみてください。
ここでのポイントは、音声学習は「耳だけがヒマな時間に行う」ということです。例えば、
・通学中
・運動中
・入浴中
などが代表例です。このような時間の中に、音声での学習を取り入れると、学習効率は格段に増加します。
その他、どうしても机に座って学習する気が起きないときなどは、音声学習ならこなせる場合があります。上手に活用するようにしてください。
最後は単語カードです。
今も昔も一定の人気がある単語カードですが、私は基本的には利用をおすすめしません。理由は単純で「作るのが大変だから」というものです。作っている時間がもったいないのです。
定期テストの対策のために30単語ほどであれば許容できますが、受験単語の1000語以上のカードを作るのでしょうか?はっきりいって時間のムダです。単語帳が売られているのですからそちらを使うべきです。
事実として、単語カードは中学生→高校生と学年が進むごとに利用者が減ります。みんな単語帳の方が有用だということを理解するのでしょう。
もちろん好みがありますので、どうしても利用したい方は利用してもよいでしょう。初めから単語がカード化されている商品もあります。
英単語・英熟語の勉強と同様に大切なのが文法の学習です。文法とは、「疑問系の場合は、主語とbe動詞を逆にする」などが例として挙げられます。
文法の学習は単語と異なり、「理解」→「暗記」というステップが必要になります。
・過去形
・不定詞
・関係代名詞
などを学習していくと、だんだん理解が難しくなります。そのため、単語と並び英語の成績を上げるための大きな壁の一つとなるでしょう。
文法を正しく理解し、暗記していくためには、問題集を上手に活用することが大切です。問題集を利用した文法の勉強法を、次の章で詳しく解説していきます。
英語の文法は問題集を使って学習することが大切です。問題集とは問題形式になっている本のことです。
教科書や辞書、参考書などは勉強に適しません。問題集は、
要点(解説)
問題
解答
がシンプルにまとまっているため、文法のポイントを押さえて学習していくことができます。
「間違えたところ」=「理解できていないところ」なので、どこを改善すべきかも一目瞭然です。一つ一つの文法(疑問系の場合は、主語とbe動詞を逆にするなど)を理解し、暗記していくことで基礎が身についてきます。基礎が身につけば、あとはその応用です。
応用といっても、基礎の組み合わせ(疑問系+過去形など)なので、基礎が固まれば自然と応用力もついてきます。文法の勉強は問題集を使い、自分が間違えたところを理解・暗記していくようにしましょう。
では、問題集はどのようなものを選んだらよいのでしょうか。これは「パッと見て、7割以上は理解できるもの」を選ぶことが大切です。
こう言われると「7割も理解できている本をやるなんてもったいない」「半分以上は理解できない本を使った方が良い」と考える方もいるかもしれません。これが多くの人がひっかかる落とし穴です。
問題集は易しめのものを使うことが大切なのです。理由はいくつかありますが、最も重要なのは「難しい問題集はやる気がなくなる」ということを理解することです。
ただでさえ勉強はめんどくさいのに、本を開けばわからない問題ばかり。これでは誰でもやる気がなくなります。問題は易しめのものを使うことが長続きのコツなのです。
これは、ゲームにも応用されている考え方です。ゲームは簡単に進めるところと難しいところが交互にやってきます。これがもっとも飽きずに進められる構成だからです。勉強も同じように、さくさく進められてたまに悩むところがあるくらいが、ちょうどいい難易度なのです。
また、簡単な問題の中にたまに難しい問題があると印象に残ります。その部分を集中的に勉強することができるでしょう。反対に、本を開いても難しい問題ばかりだったら、どこを覚えていいのか、何がわからないのかがわからないことで挫折しやすくなります。
そのようなことにならないためにも、問題集は易しめのものを選ぶとよいでしょう。
また、一度に何冊も本を買わないこともポイントです。まずはやるべき一冊を決めるようにしましょう。英語が苦手なお子さんは、中学1年生の問題集からやり直すことも大切です。1年生での学習に内容に穴があると、上級学年の内容が理解しにくいためです。
これは九九ができないのに、二桁の掛け算をやるようなものです。下級生の参考書は何となく手に取りにくいですが、勇気をもって1年生の学習から始めることをおすすめします。
では、問題集の使い方です。問題を解いていく際に、次のような印をつけながら問題を解いてきます。
◎ カンペキで、もう解かないでよい問題
○ 解けたがもう一度解きたい問題
△ 解けなかったが、答えを見れば理解できた問題
× 解けずに、答えを見ても理解できない問題
答えや解法が一瞬で思い浮かんだ問題には◎を、それ以外の問題には上記のように印をつけていきます。上記の印は例なので、慣れてきたら自分でアレンジしてもよいでしょう。
勉強したい範囲が終わったら、2週目に入ります。
このとき、◎の問題は、暗記が完了したと考えてよい問題です。2週目では解く必要はないでしょう。(読んで確認程度はしてもよいです)
○と△の問題には積極的に取り組みます。この問題を◎にしていくことで、点数が上がっていくのです。
×の問題は、一旦放置で構いません。わからない問題を考えすぎるのも時間のムダです。勉強が進んだタイミングや、誰かに相談できるタイミングでチャレンジするとよいでしょう。
そして、○と△の全ての問題が◎になるまでくり返し練習します。だいたい5週程度はかかると思います。しかし、5週目にはほとんどの問題が◎になっているため、1週目の10分の1程度の時間でこなすことができます。
こうなれば点数は確実に大きく伸びます。続けて、上級学年の問題集や少し難易度が高い問題集に進むとよいでしょう。
これをくり返すだけでOKです。難しいことを考えずとも、この勉強法で必ず成績は大きく伸びるのです。ぜひ実践してみてください。くり返し学習法や印をつける学習法は以下の記事で詳しく解説しています。
最後に、学習サービスの利用法について解説をしていきます。まずは塾と家庭教師についてです。
塾や家庭教師のメリットとデメリットを確認しましょう。
■メリット
・強制的に学習ができる
・わからないところを教えてもらえる
・進学に関するアドバイスをもらえる
これらが代表的なメリットです。実は塾や家庭教師の最大のメリットは強制的に学習ができることにあります。中学生の半数以上は、自主的に学習することが難しいからです。塾や家庭教師の料金の半分は、強制的に勉強させることができる点にあると言えます。
また、わからないところを教えてもらえるところもメリットです。特に英語・数学は理解が重要になる教科です。社会などでは塾の効果はやや少なくなりますが、英語においてはわかりやすく教えてもらえるメリットは大きいです。
最後に、進学に関するアドバイスをもらえることです。受験のプロから入試や学習計画のアドバイスをもらえることも大きなメリットだといえます。また、塾といっても、さまざまな種類がありますので、自分にあった塾を探す必要があります。「塾探しの窓口」では、無料で簡単に塾の検索ができます。一度利用してみるのもよいでしょう。
一方で、塾のデメリットは以下の通りです。
■デメリット
・お金がかかる
・準備に時間がかかる
・移動に時間がかかる
・理解している内容の話を聞く際の時間のムダ
・まったく理解できていない内容の話を聞く際の時間のムダ
お金に関しては言うまでもありませんが、塾には意外に時間のムダが発生します。理想で言えば最も効率が良いのは家庭学習なのです。家庭学習は、準備の時間も移動時間も必要なく、自分が勉強したいところだけを集中して勉強することができます。
ですがこれはあくまでも理想の話です。ほとんどの中学生にとっては難しい話ですので、塾や家庭教師に頼るという選択肢もアリでしょう。高校→大学→社会人と進むにつれ、自主学習をする力をつけていけるといいですね。
地道に努力を重ねても、思うように成果となってあらわれない教科が英語です。とはいえ、途中で挫折したり、あきらめてしまったりしては、高校合格は実現しません。
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また、他教科の高校入試に向けた効率的な勉強法は以下の記事を参考にしてください。
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