総合型選抜とは?試験内容や実施スケジュール、対策方法を解説

更新日 2024.01.19
総合型選抜とは?試験内容や実施スケジュール、対策方法を解説

「特技や部活の実績を生かした受験がしたい」「できれば年内に受験を終わらせたい」、そう考える受験生に魅力的なのが総合型選抜です。

ただ、勉強さえしていれば対策になる一般入試と異なり、「結局、どのような入試方式なのか」わからず悩む受験生も多いのではないでしょうか。

この記事では総合型選抜の概要や他の入試方式との違いを解説し、受験生が疑問を感じやすいポイントを丁寧に解説します。

総合型選抜で合格を狙いたい受験生は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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総合型選抜とは?

総合型選抜とは、受験生を多角的に評価する入試方式のこと
総合型選抜とは、受験生を多角的に評価する入試方式のこと

総合型選抜とは、2021年度入試から導入された新しい入試方式です。AO入試に代わって始まりました。

はじめに総合型選抜の概要を解説します。

総合型選抜とは?評価方法・スケジュール・試験内容

(1) 総合型選抜が実施される理由

総合型選抜は、「大学のアドミッションポリシーに合う受験生を選抜する」目的で実施されています。

AO入試と比較して、学力や意欲、目的意識などをさまざまな角度から評価する工夫がされています。

高校の学習修得状況も評価できるよう、高校の学習範囲を終えてから出願するよう入試日程が設定されているのも特徴です。

(2) 総合型選抜の評価方法

総合型選抜は1次試験と2次試験に分けて実施されます。

・1次試験:書類選考
・2次試験:面接・プレゼンテーション、小論文など

出願にあたっては、願書や調査書のほかにも多数の書類が求められます。

・志望理由書
・自己推薦書
・活動報告書
・学習計画書 など

1次試験は、出願時に提出された上記の書類によって選抜されます。1次試験を通過できた受験生のみが、2次試験に進めます。

(3) 総合型選抜の実施スケジュール

総合型選抜のスケジュールは、「9~10月に出願/11~12月上旬に合格発表」が一般的です。

ただし大学の中には総合型選抜を複数回実施する大学や、共通テストを課すため合格発表が2~3月になる大学もあります。

(4) 総合型選抜の試験内容

総合型選抜の試験で課される科目は、大学によってさまざまです。一般的な例を以下に示しました。

試験内容詳細
小論文テーマや課題文に沿って、
指定の文字数で自分の意見をまとめる
レポートセミナーや体験に参加したのち、
レポートを提出させる
プレゼンテーションテーマに関して自分なりにまとめた発表を行う
面接個別面接、集団面接がある。
「事前面談」「予備面談」など、複数回の面接を行う大学もある

「アドミッションポリシー」とは?

アドミッションポリシーは大学ホームページで確認できる
アドミッションポリシーは大学ホームページで確認できる

総合型選抜は、大学の「アドミッションポリシー」に合致する受験生を選抜するために行います。アドミッションポリシーとは「入学者の受け入れ方針」を指し、どのような学生に入学してほしいかを明確に文章化したものです。

アドミッションポリシーにはどのような内容が書かれているのか、実際の例を見てみましょう。

(1) 名古屋大学のアドミッションポリシー

名古屋大学のアドミッションポリシーは、以下のとおりです。

名古屋大学は、未来の「勇気ある知識人」を目指す人を国内外に求めます。各学部・学科の学術分野の特徴に基づき、基礎的な学力とそれを活用する能力、さらにそれを発展させようとする意欲や態度を適正に評価して選抜する入試を実施します。

名古屋大学の教育理念を実現する3つの方針」|名古屋大学

高校までに学んだ内容を十分に修得し、活用できる力をもつこと、またこれからも意欲的に学び続けたい人に来てほしいと考えているとわかります。

(2) 明治大学のアドミッションポリシー

明治大学のアドミッションポリシーは、次のとおりです。

明治大学は,教育目標に定める人材を育成するため,高等学校等における学習を通して,確かな基礎学力を身につけた学習意欲の高い人,とりわけ,本学の教育目標を理解し,世界の課題に関心をよせ,その解決にむけて挑戦する意欲のある人を受け入れます。そのために,多様な選抜方法を実施します。

明治大学の教育目標及び3つのポリシーについて」|明治大学

明治大学も高校でしっかり学び、将来に向けてさらに学びを深めたい人を募集しています。

(3) アドミッションポリシーは「大学」「学部ごと」にある

上記で紹介したアドミッションポリシーは「大学としての方針」です。大学は「学部ごと」にもアドミッションポリシーを設定しています。

総合型選抜に出願する際は、かならず学部のアドミッションポリシーにも目をとおし、よく理解しておきましょう。

面接でアドミッションポリシーに関する質問がされる場合もあります。

総合型選抜と他の入試方式との違い

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日程の種類が多い大学入試は、正しい理解が不可欠

大学入試の日程には、総合型選抜のほかにも「学校推薦型入試」「指定校推薦入試」「一般入試」などがあります。それぞれの特徴を、正しく把握しておきましょう。

総合型選抜と他の入試方式との違い

(1) 学校推薦型入試との違い

学校推薦型入試とは、高校が大学に学生を推薦する制度です。「出身高校長の推薦」「調査書評定など、大学が設定する出願条件のクリア」が出願条件であり、誰でも出願できる総合型選抜とは異なります。

一方、学校推薦型入試の「かならず合格できるとは限らない点」「専願入試である点」は総合型選抜との共通ポイントです。

(2) 指定校推薦入試との違い

指定校推薦入試とは、大学が用意した推薦枠に合う受験生を高校が推薦する入試です。学校推薦型入試と似ていますが、「受験すればほぼ合格できる」点が異なります。

また指定校推薦枠はどの高校にもあるわけではなく、年度によって数が増減する場合もあります。私立大学が実施している推薦入試で、国公立大学ではほとんど行われていません。

(3) 一般入試との違い

総合型選抜と一般入試は、誰でも出願できる点は共通しています。ただし、以下の点で違いがあります。

 総合型選抜一般入試
入試日程10~11月2~3月
試験科目面接や小論文など学力試験
評価方法多面的に評価点数で評価
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総合型選抜の実施例

どのような総合型選抜が行われるかは募集要項で確認
どのような総合型選抜が行われるかは募集要項で確認

総合型選抜は、実際にはどのように行われているのでしょうか。具体的な実施方法を、国立大学(東北大学)と私立大学(法政大学)を例に解説します。

(1) 国公立大学の総合型選抜(東北大学)

東北大学の総合型選抜は、「大学入学共通テストを課さないAO入試II期」と「大学入学共通テストを課すAO入試III期」とがあります。

II期・出願条件に「調査書の学習成績概評がA段階」あり
・1次に筆記試験がある
・出願10月、試験11月、合格発表11月下旬
III期共通テストで必要科目の受験が必須
・出願1月、試験2月、合格発表2月中旬

III期入試においては、共通テストの得点も合否判断材料となります。

※2022年度の情報のため、最新の情報は各大学の入試情報をご確認ください

(2) 私立大学の総合型選抜(立教大学)

立教大学の総合型選抜は「自由選抜入試」といいます。出願資格は学部ごとに定められており、以下はその一例となります。

スポーツ活動において優秀な実績がある
外国語運用能力、外国語資格を持つ
・海外における異文化体験を持つ
・課外活動で指導的役割やめざましい実績を持つ

1次試験は書類選考、2次試験で総合科目試験や面接、小論文などが課されます。出願は9月、先行は10~11月、合格者発表は12月中旬です。

※2022年度の情報のため、最新の情報は各大学の入試情報をご確認ください

総合型選抜に関するQ&A

総合型選抜を考える前に、知っておきたい7つの項目
総合型選抜を考える前に、知っておきたい7つの項目

総合型選抜はまだ新しい入試制度です。先輩の体験談も多くなく、分からないことが多いという受験生も少なくないでしょう。

ここでは総合型選抜に関する質問から、ぜひ知っておきたい7つをピックアップし解説します。

(1) 総合型選抜はかならず受かる?

A.かならず受かるとは限りません

大学入試において、受験すれば合格がほぼ確実なのは「指定校推薦入試」のみです。そのほかの入試方式は、合格できるかどうかは分かりません。

実際、推薦型選抜(学校推薦型・総合型選抜)の倍率は大学全体で以下のようになっています。

 2023年度入試2022年度入試
国公立大学2.5倍2.5倍
私立大学1.8倍1.9倍

参考:「学校推薦型・総合型選抜の概況 | 2023年度入試を振り返る」 | 河合塾 Kei-Net

倍率は、一般入試とさほど変わらない競争率です。総合型選抜には不合格もありうると考え、次善策を立てておきましょう。

(2) 総合型選抜は併願できる?

A.総合型選抜同士は、基本的に併願できません

総合型選抜は基本的に「専願のみ」、つまり合格したら入学確約書の提出が必要な入試方式です。したがって、複数の総合型選抜に出願はできません。

「大学が異なればバレないだろう」と考えても、高校に調査書の作成を依頼する段階で高校の先生にはバレてしまいます。

ただし、総合型選抜と一般入試との併願は可能です。総合型選抜はかならずしも合格できるわけではない点を踏まえ、一般入試受験も視野にいれておきましょう。

(3) 総合型選抜受験予定でも共通テストは必要?

A.必須の場合と、無くても構わない場合がある。ただし…

先に紹介した東北大学のAO入試III期のように、共通テストを課す総合型選抜を受験する場合は共通テストの受験は必須です。

一方、共通テストを課さない総合型選抜のみを受けようと思っている場合は、共通テストを受験しない選択も可能です。

ただし共通テストを受験しないのは、おすすめできません。総合型選抜が不合格だった場合に、共通テストが必要な入試方式(国公立大学、共通テスト利用入試など)に出願できなくなるためです。

受験機会を増やすためにも、共通テストは受験しておきましょう。

(4) もし総合型選抜で不合格になったら?

A.気持ちを切り替え、一般入試に臨もう

総合選抜の合格発表は、12月頃です。まさにこれからが一般入試シーズンの開始というタイミング、気持ちを切り替えて一般入試にチャレンジしましょう。

一般入試の出願は、以下のとおりです。

・国公立大学:共通テストの約1週間後から10日間ほど

・私立大学:12~1月ごろ

(5) 総合型選抜で受かりやすいのはどんな受験生?

A.学力が十分にあり、アピールできる個性を持つ受験生です

総合型選抜は、一般入試ではわからない学力以外の特質を含めて受験生を評価しようとします。よってアピールできる個性や活動実績、資格などを持つ受験生は評価が高まる傾向にあります。

また「学力以外の特質」が評価されるといっても、学力がなくても良いわけではありません。これは出願資格に「評定基準」を設けている大学が多いことからも分かります。

基本的な学力が身についており、大学での学びに十分ついていけると判断できる評定を持つことも合格の大切な要素です。

(6) 英検を持っていると有利になる?

A.そもそも持っていないと出願できない日程も多い。また加点措置がある大学もある

英検やTOEIC、GTECなどの資格試験は、出願条件となる場合も多く見られます。総合型選抜の受験を考えている高校生は、早めに資格やスコアをとっておくと良いでしょう。

また多くはありませんが、大学の中には英語資格試験の取得級・スコアを得点に換算し加点したり、選考の際の評価に加えたりする場合もあります。

(7) 総合型選抜の受験費用は?

A.国公立大学で約17,000円、私立大学で約30,000円

総合型選抜の受験費用は、一般入試など他の入試と同程度かかります。

また大学までの交通費や、宿泊が必要な場合はホテル代も別途必要です。

なお、私立大学の中には受験費用負担を軽くするため、「複数回受験による受験割引」などを設定しているところもあります。詳しくは募集要項・入試ホームページをご確認ください。

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総合型選抜に合格するための対策方法

一般入試受験の可能性を踏まえ受験勉強との両立を意識しよう
一般入試受験の可能性を踏まえ受験勉強との両立を意識しよう

「総合型選抜で合格したい」、そう考えたとき、どのような対策をすれば良いのでしょうか。国公立・私立に共通する、総合型選抜の対策方法を解説します。

総合型選抜に合格するための対策方法

(1) 早めの対策スタートがカギ

総合型選抜の対策を始めるタイミングは、早ければはやいほうが良いです。総合型選抜は一般入試のように「ぎりぎりまで知識を詰め込み、一気にアウトプット」ができないためです。

学習も部活動も、コツコツと積み上げた成績が評価されます。とくに調査書には「高3・1学期まで」の成績が記載されるため、高1・2の頑張りがカギとなります。

(2) 学校の勉強・定期テストも手を抜かない

総合型選抜の書類選考で重視される調査書には、「評定」が記載されています。評定とはいわゆる内申点で、すべての科目の成績です。

調査書の評定は学校の定期テスト結果に基づいて記入されるため、学校の勉強やテストにも手を抜かないようにしましょう。

(3) 「誰にも負けない」強みをもつ

「強み」「個性」といっても、どの受験生も持っているようなありきたりのものでは差別化ができません。アピールする以上は、「誰にも負けない」と自信を持っていえるレベルの強みを見つけましょう。

また見つけた強みは、志願理由書や面接など、さまざまな場所で十分にアピールしましょう。

(4) 模擬面接や小論文は十分に練習する

面接や小論文は、事前の練習が成功の秘訣です。「よく聞かれる質問」「よく出るテーマ」などを先生に見つけてもらい、自信を持って対応できるまで練習してください。

面接は相手役を立てて実際にやってみる、小論文は添削してもらうなど、実戦を意識した練習も重要です。

まとめ

総合型選抜は、受験生を多面的・総合的に評価する入試方式です。1次試験(書類選考)と2次試験(面接・小論文など)の2段階で選抜が行われ、大学のアドミッションポリシーに合致した受験生を探し出します。

大学に十分に自己アピールするためには、入念な自己分析を行って自分の強みを見つけましょう。また面接や小論部は、本番を想定した実戦練習が欠かせません。

総合型選抜の対策が自力では難しいと感じたら、総合型選抜対策を専門におこなう塾の力を借りてみましょう。「塾探しの窓口」に掲載中の「総合型選抜専門塾AOI」は95.2%(2022年度実績)の合格率を誇る、総合型選抜合格を請け負う塾です。

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この記事を書いた人

塾探しの窓口編集部

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