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塾の契約時に注意すべき点とは | よくあるトラブルと対処法を紹介
受験や学校の補習など、入塾する目的は様々ですが、どの場合でも塾とトラブルになることだけは避けたいものです。なぜなら、塾とのトラブルは全く子どもの利益にならないからです。
今回は、塾とトラブルにならないように塾の契約の手続き方法やその注意点、さらには実際のトラブル事例について解説します。実際にトラブルになってしまった場合の対処法についても解説します。
塾の契約の手続き方法
初めて子どもを入塾させる際、契約は慎重に行いましょう。成績や受験のために早く契約しなければいけないと思い込みがちですが、契約の「早さ」よりもその塾が子どもに合っているか、料金などの不明点はないかなどの「正確さ」を最重視することが大切です。
塾の契約の流れを手順通りに解説します。
(1)資料請求をする
インターネットや口コミ、チラシなど、塾を知るきっかけは様々ですが、どの媒体がきっかけであっても必ず資料請求するようにしましょう。
資料で塾の特徴を詳しく知れるだけでなく、資料請求ならではの気付きがあるからです。その気付きとは、「塾の対応の速さや丁寧さ」です。この塾の対応に関する情報は、長い期間通う上で重要な情報となります。資料が送付されるまでの時間や梱包の丁寧さ、電話でのやりとり時の印象などが特に重要となってきます。
大手進学塾であれば、塾講師以外に事務員を雇っている場合があります。しかし、雑で不愛想な事務員ばかりの塾もあれば、事務員を置いておらず、塾講師が業務を行っている場合もあります。
事務員の対応からは、塾や教室長のマネジメント力やホスピタリティが推測できます。
資料請求で知ることができる入会割引などのキャンペーンなどもあるので、必ず資料請求をして確認しましょう。
(2)体験授業の申し込みをする
資料請求をして、大きなミスマッチがなさそうな場合、体験授業を申し込みましょう。個別指導塾であれ、集団指導塾であれ、必ず体験授業は受けましょう。
基本的には資料請求の中に情報が含まれていますが、もしない場合は公式HPまたは校舎に直接連絡して日時を決めましょう。
塾によっては、体験授業のみベテランの先生や教室長を配置する場合もあるので、入塾後常にその人の指導を受けられるとは限りません。場合によっては、「実際に担当される可能性が高い先生の授業を見学させてください」と申し出てみましょう。
(3)入塾の申し込みをする
体験授業や授業見学をしてみて、子どもと保護者の両方が「この塾に通いたい/通わせたい」と感じたら、入塾の申し込みをしましょう。
体験授業を受けたその日に申し込みを迫られることもありますが、一度家に帰って子どもとよく話し合ってみてください。授業だけでなく、自習室の利用頻度はどうするか、通っている友達はいるかどうかなど、授業以外のことも十分話し合うことが大切です。
塾の契約時に注意すべき点
塾の契約に関する大まかな流れがわかったところで、入塾後にトラブルにならないための注意点を4つ解説します。
塾とトラブルになってしまったり退塾したりすることは、子どもにとって何もプラスになりません。トラブルを未然に防ぐためにも、以下の4点は必ず確認しましょう。
料金・支払い方法を確認する
サポート体制を確認する
契約書類を確認する
指導者を確認する
(1)料金・支払い方法を確認する
お金に関するトラブルが最も多いので、料金面は特に注意が必要です。通常の授業料が安く見えたとしても、「実際には別料金が加算されていて毎月の費用が高くなった」という場合は多々あります。
以下の料金体系や費用がいくらになっているのかを契約前に確認しておきましょう。
教材費 テキストや塾オリジナルノートにかかる費用です。
諸経費 管理費やシステム使用料などの名称になっている場合もあります。様々な費用が諸経費に含まれているため、内訳を必ず確認しましょう。
講習費 夏季講習などの長期休みの講習に関する費用です。必須の講習なのか、夏季講習用のテキストが別途必要なのかなどを同時に確認しましょう。
授業料などを一括で支払う場合は、以下のようなリスクがあるので、十分注意する必要があります。
授業料等を一括払いした場合、事業者の倒産等に伴い、支払った授業料等が戻らない場合があります。一括払いには大きなリスクが伴うことも承知したうえで、支払い方法について慎重に検討してください。
引用:学習塾等に関する契約トラブル!(消費者相談の現場から 2017年4月号) | 中野区公式ホームページ
(2)サポート体制を確認する
子どもの状況は、刻々と変わります。入塾時と状況が変化した場合でも、柔軟に対応してもらえるか確認しましょう。成績が下がった場合や、成績上昇にともない志望校を変更した場合などが該当します。
無料の範囲内で補習や補講の対応をしてもらえるか、個別面談を行ってもらえるかを確認するといいでしょう。また、自習室の有無や環境、毎日自習室に通ってもいいかなども確認する必要があります。これらは、体験授業の際に確認し、実際の様子を見させてもらうことをおすすめします。
(3)契約書類を確認する
契約内容を確認します。大手であればあるほど法外な内容になっている可能性は低いですが、解約金がかかるかどうか、解約の申告はいつまでに行えばいいかなどを確認しましょう。
塾の契約の場合、条件を満たせば契約後にクーリング・オフを行うことができます。
学習塾の契約は、契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が2か月を超える場合は、特定商取引法に定める「特定継続的役務提供」の対象となりますので、契約書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフすることができます。また、クーリング・オフ期間が過ぎ、既に授業を受け始めている場合は、2万円又は1か月の授業料相当額のいずれか低い額を解約料として支払うことで、中途解約ができます。(授業などのサービス提供を受け始める前の解約料の上限は1万1千円です。)
引用:学習塾等に関する契約トラブル!(消費者相談の現場から 2017年4月号) | 中野区公式ホームページ
契約金額が5万円以上かつ契約期間が2ヵ月を超えない契約に関してはクーリング・オフができないので十分注意する必要があります。
(4)指導者を確認する
誰に指導してもらうかを体験授業や授業見学で確認しましょう。塾によっては大学生のアルバイトが講師として多く在籍している場合もあります。
大学生のアルバイト講師の質が悪いとは限りませんが、プロ講師や正社員指導員と比較するとスキル不足は否めません。個別指導塾ではアルバイト講師が指導を担当する可能性が高いため、誰が指導するかの確認は重要です。
また、子どもと相性が合いそうかどうかも確認しておきましょう。難関校を目指す子どもには、受験指導経験のある講師が良いでしょう。モチベーションが上がらない子どもなら、寄り添って話を聞いてくれるタイプが合うかもしれません。
よくある塾トラブル例
前章で解説した4つの注意点を確認したにもかかわらず、塾とトラブルになってしまうケースも非常に多くあります。具体的なよくある塾とのトラブルをケース別にご紹介します。
(1)授業料以外の料金が高すぎる
まずは、授業料を安く見せかけ、それ以外の料金を高く設定しているケースです。そこまで大きなトラブルにはなりませんが、これがきっかけで塾に対して不信感を抱き、より大きなトラブルに発展することがあります。
教材費や諸経費、長期休みの講習などの料金は事前に必ず確認しておきましょう。また、志望校別の対策講座やGWや正月の特訓講習などがある塾も存在します。そういった講習が必修のものなのか、料金はいくらかかるのかも同時に確認しておきましょう。
講習会などは、基本的に任意のオプションですが、塾側は成績や受験の情報をもとに不安感を煽ったり、過度な期待感を持たせたりしてなんとかオプションを申し込ませようとします。そのため、本当に必要か精査する必要があります。
(2)授業以外の面倒見が悪い
「自習室が完備していていつでも使えます」「成績を伸ばすために定期的な補習を行います」「月に1度の面談を行います」などと事前に謳っておきながら、実際はどれも実態にそぐわなかったというトラブルも多いトラブルです。
これは、校舎の生徒在籍人数によっても左右される問題です。生徒が多くなればなるほど、1人あたりにかける時間が必然的に減ってしまうからです。
塾側もなるべく授業以外のコストを抑えたいと考えているため、徐々におざなりになってしまうのです。必ず入塾時に具体的な頻度や状況を聞いてメモをしておきましょう。
(3)クラスでいじめが発生する
このトラブルは特に集団指導塾においてみられるものです。集団指導塾の特徴は様々ですが、一般的には成績ごとにクラス分けをしているところが多いです。クラスは定期的にテストの成績で変更になりますが、そのクラス分けのテストでクラスが下がるといじられたりからかわれたりすることもあります。
それだけでなく、1つの小集団なので、弱い者いじめのようなことも起こりえます。これらが起こる原因として、「塾の管理不足」が挙げられます。講師は基本授業時間のみ生徒に関わるので、授業外の関わりを深く知りません。
授業の休み時間や授業前後の時間、塾外での関わりは管轄外になるのでいじめがエスカレートしやすく、発見もしづらいです。
(4)長期間成績が上がらない
補習中心の塾の場合は、成績を上げることが最大の使命で、進学塾の場合は成績を上げるだけでなく志望校に合格させることが最大の使命となります。
それにも関わらず、長期間成績が上がらないというトラブルがあります。これは、一概に塾だけが悪いとも断言できませんが、サポート体制が無かったり授業の質が低かったりという可能性もあります。
極端に「絶対合格させます」や「必ず偏差値を20アップさせます」などと謳っている塾は気を付けましょう。勉強や受験において絶対はなく、誇大広告です。
(5)退塾・休塾時に金銭問題が起こる
愛知県の消費生活センターによると、以下のようなトラブルが微増しているそうです。
「子どもがやめたいというので『今月で退塾したい』と申し出たところ、 来月分の月謝も請求された。払わないといけないか。」(中略)等の相談が多く寄せられています。
引用元:消費者トラブル情報 | 愛知県県民生活部県民生活課 消費生活相談グループ
つまり退塾時に必要以上の請求をされるトラブルです。塾側は、退塾になりそうな子どもや家庭を常にリストアップしており、退塾を未然に防ぐよう、働きかけます。
しかし、それでも退塾するとなった場合、少しでも多くの金銭を様々な名目で請求してくるのです。先ほどの愛知県のデータによると、この解約時に関するトラブルが最も多いとされています。
相談内容別で見ると、 「解約」が38件(52.8%)で最も多く、次いで「返金」が23件(31.9%)、「解約料」が16件(22.2%)となっています。
引用元:消費者トラブル情報 | 愛知県県民生活部県民生活課 消費生活相談グループ
塾トラブルで困ったときの対処法
それでは、実際に塾とのトラブルになってしまった際にどのような対処方法を取ればいいかについて解説します。大きく分けて4つの対処法があります。
(1)契約書類を見直す
まずは、契約書類を確認しましょう。トラブルの内容にもよりますが、料金に関することや解約の手続きに関するトラブルの場合は、契約内容を一度見直す必要があります。
もしも不明点がある場合や、契約書を紛失してしまった場合は、塾の所属校舎に直接問い合わせましょう。契約書は塾側も控えているはずなので、情報を開示してもらうことができます。
次の項目以降の対処法は、契約書にて契約内容を確認し、塾の所属校舎と十分に話し合いをしたうえで、それでも解決しない場合に行いましょう。
(2)本社に連絡する
大手の進学塾の場合に限った対処法とはなりますが、本社に直接問い合わせることも有効です。公式サイトやコーポレートサイトに本社の連絡先が書いてあるので、電話やメールで問い合わせましょう。
これは、所属校舎やそこに在籍する教室長などの社員に落ち度がある場合に非常に効果的です。大手であればあるほど「評価制度」は厳密に定められており、その評価を非常に気にして丁寧に対応してくれる場合もあります。
(3)消費者生活センターに相談する
本社に問い合わせても解決しない、もしくは個人塾などの場合は、消費者生活センターに問い合わせましょう。
消費者生活センターは、地方公共団体が設置している行政機関なので、第三者の公平な立場から相談に乗ってくれます。また、適切な対応の方法も教えてくれるので、個人の力で解決できないと感じたらすぐ相談するようにしましょう。
(4)弁護士に相談する
消費者生活センターの相談の末、弁護士に相談することを勧められた場合は、弁護士に相談しましょう。この段階まで解決しないトラブルは非常に重大かつ悪質な可能性があるので、弁護士を雇わないと対処しきれません。
無料で相談できる弁護士事務所もあるので、まずは相談してみることをおすすめします。
まとめ
今回は、塾でよくあるトラブルやその対処法について解説しました。初めて子どもを塾に通わせる保護者にとってみれば、塾は安くない投資なので十分注意したいと考えることでしょう。
入塾の契約の際には、特に以下の4点に注意しましょう。
料金・支払い方法を確認する
サポート体制を確認する
契約書類を確認する
指導者を確認する
トラブルのない塾を選んで、子どもの志望校合格に向けて応援してあげましょう。