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国語の苦手は「語彙力不足」が原因かも?語彙の増やし方とは
国語が苦手な中学生の中には、読解に必要な「語彙力」が不足しているというケースが見られます。語彙力は国語だけではなく、すべての勉強の土台となるもの。語彙が足りないと、授業が理解できなかったり、解答を適切に表現できなかったりと、成績が伸び悩む原因にもなります。
今回は基礎学力の1つともいえる「語彙力」に注目しました。語彙力の重要性や、語彙の増やし方を解説します。
語彙力が付くと、国語や他の教科にも必ず良い影響を与えます。最後までお読みいただき、早速今日から語彙の増やし方に取り組んでみてくださいね。
語彙力とは?
はじめに「語彙力」とは何か、どれくらいあれば十分といえるのかなど、語彙力の概要を見ていきましょう。
(2) 中学生の語彙力はどれくらい?
中学生が持っているべき語彙力とは、どれくらいなのでしょうか。
一般的な国語辞典には5~8万語、広辞苑は25万語が収録されています。一方、一般的に大人は3万~4.8万語、中学生程度の年齢では、2~4万語を知っているという調査結果がありました(※)。
※日本人の語彙量 (理解語彙、使用語彙)調査を行うにあたっての基礎的研究
「4万語知っていれば、十分では?」と思われますか?しかし4万語には、「チューリップ」「給食」「歩く」「でも」「やっぱり」といった、ごく日常的な語も含まれています。日常会話には十分な語彙を持っていても、読解の出来具合を決めるのは「読解向けの語彙の有無」だということを押さえておいてください。
(3)「語彙力」をチェックしてみよう!
実際にお子さん、あるいは親御さんの語彙力も調べてみても面白いですよ。
「令和版語彙数推定テスト」は言語に関する調査結果と照合し、お持ちの語彙数を推定できるサービスです。性別と年代を入力し、表示される50語の中から知っている語を選択するだけなので、簡単に試せます。
年代ごとの目安となる語彙数は次の通りです。
●中高生:17,000語 ~ 64,000語
●20代:49,000語 ~ 76,000語
●30代:54,000語 ~ 87,000語
●40代:59,000語 ~ 95,000語
●50代~:64,000語 ~ 106,000語
自身の結果と比べると、語彙力の充足具合がひと目で把握できますね。
ある調査では、中学生から高校生までの過程で、語彙数は2倍に伸びることも分かっています。中学生は語彙力を付ける、とても大切な時期なのです。
国語は特に「語彙力」で差がつく教科!
国語は最も、語彙力が成績に影響を及ぼす教科です。「国語の成績が伸びない」という悩みの原因は、語彙力にあることもよく見られます。
国語という教科の特性も考えながら、語彙力についてもう少し詳しく見ていきましょう。
(2) 高校入試ではこんな語彙が必要になる
高校入試では、どのような語彙が使われているのでしょうか。実際の入試問題を見てみましょう。
以下は東京都立高校の入試問題から、国語(説明文)の一部を抜粋したものです。難しい語彙を黄色くしてありますので、その数をご覧ください。
引用:「令和2年度都立高等学校入学者選抜 学力検査問題」国語-第4問
壮麗豪華、損耗、抗(あらが)う、あまねく、秩序・無秩序、孕むなどの語が見て取れます。最初から2段落までの間に、実に10個ものマークがつきました。
この10個を知っているか知っていないかという語彙力の差は、本文理解度の差になってあらわれます。語彙力がないと、「何を言っているか、わからない!」という感想を抱くことになってしまうのです。
(3) 語彙力は古文や漢文、他教科にも活きる力
語彙を増やすことは説明文・小説の読解だけではなく、古文や漢文を含む国語全体、さらには他教科にも良い影響を及ぼします。
数学の文章題が苦手なお子さんには、「問題文が何を言っているのかわからない」と訴えるケースもあります。理科や社会では、「教科書に書かれている内容がわからない」というお子さんも見られます。
また近年は『資料を読み解く』形式の問題が高校入試でも増えていますが、「資料が長くて読む気がしない」という中学生もいるようです。
知らない言葉ばかりで書かれた文章は、分かりにくくて当然でしょう。語彙力強化は国語以外の悩みも解決してくれる、勉強でとても重要な取り組みなのです。
国語が苦手な中学生におすすめ!語彙を増やす方法
国語の読解にも他教科にも、受験にも大切な「語彙力」です。伸ばしたいのはやまやまだけれど、急に難しい言葉を練習させたり、無理に本を読ませても嫌がられそう…、そんなご心配もあるかもしれません。
ここからは高校生までに語彙力を2倍、いえ、もっともっと伸ばせて、しかも無理のない方法をご紹介します。
(1) 知らない言葉は、必ず調べる・記録する
「知らない言葉は、調べて記録する」という習慣を付けることから始めましょう。
ポイントは「記録する」点です。語彙は覚えて初めて活きるものですから、忘れないようメモすることが大切。語彙専用のノートを作るのもおすすめですよ。言葉と調べた意味をセットにして記録しましょう。類義語や関連表現もメモしておくのも、語彙がさらに増える良い方法です。
お子さんが能動的に言葉調べをするようにしたい場合は、親御さんも一緒に調べることがコツです。子どもは親の様子をよく見ていますから、親御さんが語彙調べに積極的だと、自然と進んで調べようとするものです。
調べるツールは辞書がおすすめですが、手近に辞書がないときはスマホでも構いません。大切なのは「知らない言葉だ!」と、ハッとした瞬間に意味を知るという知識のつながりを作ってあげることです。調べる際は、スピード感を大切にしていきましょう。
(3) 本を読む(科学雑誌や物語がおすすめ)
普段、あまり読まないジャンルの本を読むのも、語彙を増やす良い方法です。特に科学雑誌や初めて手に取る作家の小説などが良いでしょう。見たことがない言葉に出会える可能性が高いからです。
たとえば科学雑誌なら『Newton』シリーズがおすすめです。「Newtonライト」「Newton別冊」といった、解説が易しいものを選べば、中学生でも十分理解できるでしょう。お子さんが興味を持ちそうな1冊を与えてみてください。
もう少しとっつきやすいものなら、『子供の科学』をぜひ。小学校高学年から中学生を対象とした科学雑誌で、まもなく創刊100年を迎えるという歴史ある科学誌です。子どもが興味を持ちやすいテーマが1冊にいくつも入っており、イラストや漫画を多用するなど、見せ方も工夫されています。
科学雑誌は専門分野ごとに数多く出版されています。お子さんと一緒に書店に行き、楽しんで読めそうなものを見つけてくださいね。
(4) 中学生向けの国語単語帳を利用する
中学生向けの国語単語帳や語彙力アップを目的とした参考書を活用するのも、おすすめです。
単語帳を使うメリットは、説明文や小説で使われやすい重要語に絞って覚えていけることでしょう。勉強した言葉が教科書やテストですぐ出てくれば、勉強に対するモチベ―ションも上がります。
『国語力を伸ばす語彙1700』は、説明文向けの言葉だけではなく、小説分野の言葉も収録されている点が特徴です。性質が似た言葉や類義語もまとめて載っており、一気に語彙力を伸ばせますよ。
イラストや漫画をふんだんに使い、飽きない工夫が特徴的なのは『中学生の語彙力アップ1700』です。間違えやすい言葉が詳しく解説されている点や、慣用句や四字熟語が多数収録されている点もおすすめポイントだといえます。
(5) 生活ノートを語彙アウトプットの場として活用する
お子さんの学校では、毎日提出する「生活ノート」はあるでしょうか。もしあるならば、生活ノートを「覚えた語彙を使ってみる実践場」として活用してみましょう。
せっかく覚えても、使わないと忘れてしまいます。どんな意味・文脈で使うものなのか、生活ノートをアウトプットの場として利用するのです。
担任の先生に狙いを説明し、語彙の使い方をチェックしてもらうのも良いですね。
国語が得意になるだけじゃない!語彙が増えるメリット4つ
語彙力強化によって得られるメリットは、国語が得意になるだけではありません。他にもまだあるメリットを解説します。
メリット④ 大人や年配者とのコミュニケーションに困らない
語彙が増えると、大人や年配者とのコミュニケーションに困らなくなる、というのもメリットです。「ジェネレーションギャップ」とも言われますが、知っている言葉が違うことで円滑な意思疎通ができない、ということはよくあるものだからです。知っている言葉が増えると、相手によって適切な表現を選べるようになり、結果的にやり取りがスムーズになるというわけです。
フォーマルな場面にふさわしい言葉遣いができないと、相手にぞんざいな印象を与えかねません。「そんな場面は、中学生にはないでしょう」と思われますか?いいえ、あります。高校入試の面接、あるいは志願理由書などです。
普段、「やばい・ウケる・かわいい」で会話している中学生が、急に改まった言葉遣いをしようと思っても難しいもの。面接練習や志願理由書で、必要以上に苦労することになるかもしれません。
日頃から語彙を増やしておくと、どういった言葉を使えば大人とも臆せず会話ができるのかが分かるようになるので、入試でのアドバンテージとなってくれますよ。