「併願」はどのような受験方式?専願との違いや注意点を解説

更新日 2024.08.07
「併願」はどのような受験方式?専願との違いや注意点を解説

誰もが、入試では第一志望の学校を決めているでしょう。しかし同時に決めておかなければならないのは「併願校」です。

併願校は、第一志望の受験にも影響を与える大切な要素です。戦略的に活用することで、本命校の受験成功にもつながります。

この記事では、入試における「併願」について詳しく解説します。併願校の選び方や無駄な出費を抑えるコツ、知っておきたい注意点もまとめました。高校受験、大学受験などで合格するためのヒントとして、ご活用ください。

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目次

入試における「併願」とは?

併願とは、他校も受験し合否を見て進学先を決める入試日程
併願とは、他校も受験し合否を見て進学先を決める入試日程

併願は、他の学校も受験する前提で出願する入試日程です。複数の学校の合否を見てから、進学先を決めます。

受験における併願は、第一志望の合格を目指しつつ、万が一、第一志望が不合格だった場合の進学先を確保する目的で利用されます。多くの学校が、併願日程の入学手続締切日は、受験者に不利にならないよう考慮したスケジュールを設定しています。

例えば、私立大学の「共通テスト利用型入試」の入学手続締切日が3月10日ごろなのは、3月6日~3月10日に行われる「国公立大学の合格発表」を確認してから手続きできるようにとの配慮からです。

※共通テスト利用型入試は、国公立大学が第一志望の受験生が多く利用

併願と専願の違い

併願は入学先を選べるが、専願は合格=入学確約が必要
併願は入学先を選べるが、専願は合格=入学確約が必要

併願とセットで登場する受験用語に「専願」があります。

併願は「他の学校も受験できる」「合格結果を見てから進学先を決められる」と選択の自由度が高いのに対し、専願は「合格したら入学することが前提」となる点が違いです。

併願の方が自由度が高く、メリットも大きいと感じるかもしれません。第一志望の学校は専願で受験することをおすすめします。専願には「合格ボーダーラインがやや低め」「優遇措置がある」「合格が早く決まる」などのメリットがあるためです。

第一志望校は専願で・第二志望以下や滑り止めは併願で受験するようにしましょう。

併願できない入試日程

要注意!入試には「併願できない」日程もある
要注意!入試には「併願できない」日程もある

大学・高校・中学、いずれの入試にも「併願できない入試日程(専願で受けないといけない日程)」があります。

専願で合格した場合、併願校に進学したくても専願の合格辞退はできません。

以下に、専願受験がマストの日程を紹介します。

併願できない入試日程

(1) 大学入試の場合

大学入試で専願受験となる日程は、次の3つです。

大学入試で専願受験となる日程
指定校推薦入試
学校推薦型入試
総合型選抜入試

指定校推薦入試は「大学が高校に推薦枠を用意し、高校の選考を通過した生徒を推薦する」入試方式です。高校の校内選考を通過できれば合格確実といわれます。

学校推薦型入試とは、高校の推薦書を携えて受ける公募型推薦入試です。かならずしも合格できるとは限らない点で、指定校推薦と異なります。

総合型選抜入試は、大学のアドミッションポリシーに合う受験生をさまざまな選抜方法を用い、時間をかけて選考する入試です。以前のAO入試の流れを汲んでいます。

(2) 高校入試の場合

高校入試で専願受験となる日程は、以下です。

高校入試で専願受験となる日程
自己推薦型入試
私立高校の専願入試・推薦入試

自己推薦型入試は、公立・私立ともに実施しています。公立高校では2月に試験が実施される「前期選抜・特色選抜・特別選抜」などが該当します。基本的に学校長の推薦書は不要です。

私立高校の専願入試・推薦入試は、合格したら入学が確約できる生徒のみが出願できます。

(3) 中学入試の場合

中学入試で専願受験となる日程は、1つだけです。

中学入試で専願受験となる日程
私立中学の専願入試

私立中高一貫校の入試は、ほとんどが併願可能です。一部に「専願日程」を設け、専願入試を実施している場合もあります。

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併願校を選ぶ際にチェックしておきたい9つの観点

併願校に進学する可能性もある。雰囲気など、事前確認は必須
併願校に進学する可能性もある。雰囲気など、事前確認は必須

「第一志望ではないから」と、併願校選びを適当に済ませてはいけません。もし、本命校が不合格だった場合は、併願校に進学する可能性も十分あるからです。

併願校選びのチェックポイントを9つ解説します。

(1) 校風、教育方針

男女別学か共学か、先生と生徒の距離感はどうか、活気があるか落ち着いているかなど、さまざまな観点から校風を比較しましょう。

学校見学や説明会、文化祭などに足を運んでみると、校風を体感できます。

教育方針には「学校が何を目指しているのか」「どのような生徒に集まってほしいか」などが示されています。宗教・精神教育を重視する学校は、礼拝や専用の授業を開催する場合もあります。

(2) 部活・サークル

取り組みたい部活や興味のあるサークルがあるかどうかも、チェックしましょう。「入学してみたらやりたい部活がなかった」「サークルが盛んではなく、楽しみが減った」などのミスマッチを防止できます。

とくに大学のサークル活動は、年によって設置状況が変わる場合があります。最新のパンフレットや大学ホームページで、活動状況を確認しておきましょう。

(3) カリキュラム

カリキュラムや学び方、学習イベントなども、学校の個性があらわれるポイントです。とくに私立学校は、独自のカリキュラムや研修を生徒募集の軸にするケースも多いため、希望に合う学び方を選べます。

また留学やサマースクールなどが必須の学校を併願校として選定する場合は、費用面に関しても検討しておくことをおすすめします。

(4) 立地、交通手段

立地と交通手段はセットで考えます。以下のような、あらゆる状況をシミュレーションしておきましょう。

・早朝や夜遅い時間の移動
・天候が悪い日
・交通機関の遅延
・送迎

自宅から遠い立地・交通手段が不便な地域は、それだけで子どもの登校意欲を削ぎます。どのような場合でも安心して通い続けられるか確認してください。

(5) 進路

進路は学校ごとに傾向があります。進路を見ると、ある程度授業の難易度やスピードも推測できます。「難関大学への進学率が高い高校は、授業スピードが速く難しい傾向がある」といった具合です。

また、卒業後に就職を希望する場合は、キャリア教育の充実度もチェックしましょう。はやいうちから仕事観を育てる指導をしてもらえると、就職に対する意識も高まりやすくなります。

(6) 施設・設備

毎日の学習や部活などで使うことになる施設や設備の充実度も要チェックです。以下は学校によって差があらわれやすい箇所のため、説明会や学校見学で実際に見ておきましょう。

施設や設備の充実度
・グラウンドの広さ、整備状況
・体育館の広さ、シャワー・更衣室
・図書館の蔵書数と座席
・実験施設や機材・設備
・自習室、学習室の環境
・トイレ

(7) 費用

私立は学校ごとに学費に差があります。かならず「入学時支払の総額」「通う期間の総額」を算出し、家計に過剰な負担なく支払えるかどうか考えておきましょう。

大学のなかには、学年によって通うキャンパスが変わるケースもあります。例えば「3年生からキャンパスが遠くなり、転居の費用がかかった」などの場合もあるため、学費以外の費用も試算しておくと安心です。

(8) 偏差値(難易度)

一般的に入学難易度は偏差値が指標となります。実力との乖離が大きい学校は、滑り止めにはなりません。模試や定期テストの成績と偏差値を見比べて、確実に合格できそうな学校を選びましょう。

ただし、受験生の実力は直前まで伸びます。併願校を選ぶ時点で多少実力が足りなかったとしても、あきらめずに努力する姿勢も大切です。

(9) 入試科目

併願校は、第一志望校の入試科目で受験できる学校を選びます。

わずかな時間でも第一志望校の対策に使いたい受験生にとって、わざわざ併願校向けの勉強をするのは時間がもったいないと感じるはずです。

「併願=滑り止め」という前提を忘れずに、第一志望校への対策でカバーできる学校を併願に選びましょう。

併願校の出願前に確認しておくべき3つの注意点

抜け漏れがあると受験の失敗に直結する重要な3項目
抜け漏れがあると受験の失敗に直結する重要な3項目

併願校に出願する前に、かならず確認しておきたい項目は3つあります。万一、確認漏れがあると「受験できなかった」「対策していなかった」など、受験の失敗にもつながりかねません。

確認必須の3項目を解説します。

併願校の出願前に確認しておくべき3つの注意点(試験日程・選抜方法・入学手続締切日)

(1) 試験日程

試験日程は毎年変わります。最新の募集要項とカレンダーを突き合わせ、第一志望や他の併願校と日程が重なっていないか確認してください。

遠方まで受験に行く場合は、宿泊・移動のスケジュールも考慮します。積雪などにより交通機関が乱れやすい季節でもあるため、スケジュールを無理に詰めこむのはやめましょう。

(2) 選抜方法

選抜方法にチェック漏れがあると「学力検査だけだと思ったら、面接が控えていた」「3教科の試験だと思っていたが、適性検査だった」など、当日慌ててしまいます。

選抜方法は急に変わる場合があります。「昨年まではこうだった」という先入観は捨て、最新の募集要項で確認しましょう。

(3) 入学手続締切日

入学手続締切日とは、合格した場合に入学確約書を提出・入学時納入金を支払う期日です。期日までに手続きを完了させないと、辞退とみなされ入学の権利を失います。

併願校の入学手続締切日は、できるだけ「第一志望校の合格発表より後に設定」されていることが望ましいです。第一志望の合否結果を見て、併願校の手続きをするかどうかを判断できるためです。

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併願受験に関する7つのQ&A

何かと迷いやすい併願校受験、よくある質問7つを解説
何かと迷いやすい併願校受験、よくある質問7つを解説

併願校は、試験日が重なっていなければいくつ受けても構いません。だからこそ、選び方・受け方に迷うケースが多く見られます。

ここからは併願受験に関してよくある質問を7つピックアップし、Q&A形式で解説します。

(1) 「併願は受かりにくい」って本当?

A.専願よりはボーダーラインが上がるケースも見られます

併願の方が受かりにくいというよりも、専願の方が受かりやすいと考えましょう。

入学者を確保したい学校側は、「合格したら入学します」という前提で受ける専願受験生を歓迎します。専願日程と併願日程がある入試では、専願の方がボーダーラインが緩く合格しやすいのはそのためです。

(2) 併願には優遇措置はない?

A.一部、併願でも優遇措置を実施するケースもあります

東京都や埼玉県、千葉県では併願受験生に対する優遇措置が行われています(高校入試の場合)。

 優遇措置の例
東京都私立校が設定する内申点基準をクリアした受験生は、一般入試の点数に関わらず合格確約。
埼玉県内申点・北辰テストの偏差値を満たすと併願優遇に出願できる。
千葉県学校が示す内申点基準を満たし、推薦をもらえれば一般入試の得点に関係なく合格確約。

併願受験生の優遇措置は、地域や学校によって異なります。詳しくは学校・塾の先生に確認してみましょう。

(3) 併願はいくつ受験してもよい?

A.受験日程が重ならなければ、いくつでも受験可能です。ただし…

併願校の受験は、基本的に校数の制約はありません。受験日程が重ならなければ、いくつでも受験できます。

ただし、併願校受験は「場慣れ」の意味を持つため、一般的に第一志望より早い日程で受けることを念頭に置いてください。併願校受験の回数を増やすほど、第一志望校に向けて勉強する時間は削られます。

中学・高校受験なら2~3校、大学受験でも5~6校までがおすすめの併願校数です。

(4) 併願校の入学を辞退したら、支払い済みの入学金は戻ってくる?

A.学校により判断が分かれますが、一般的には戻ってきません

入学金は、一般的には戻ってきません。ただし、大学のごく一部には入学辞退の場合に入学金の返金を認めているケースもあります。

入学金の返金については募集要項に書かれているため、事前にチェックしておきましょう。

(5) 併願校も見学やオープンキャンパスに行くべき?

A.ぜひ、行ってください!

併願とはいえ、もしかすると通うことになるかもしれない学校です。機会があれば、ぜひ足を運び実際に見て体験してきましょう。

ホームページやパンフレットで見る情報と、現地で得られる情報とには大きな差があります。「思っていたのと違う」という後悔を防ぐためにも、見に行くことをおすすめします。

(6) 併願校向けの対策もしっかりやるべき?

A.基本的には第一志望の対策をして、直前に過去問を解こう

併願校は、入試科目や難易度などさまざまな面で「第一志望校向けの対策でカバーできる学校」を選んでいるはずです。基本的には第一志望向けの対策を進めましょう。

併願校対策は、入試直前に過去問を3~4年分解くのがおすすめです。傾向とボリュームを把握し、時間配分の計画を立てて本番に臨んでください。

(7) 「併願は専願の前に受けた方が良い」といわれるのはなぜ?

A.併願校受験で「本番のシミュレーション」ができるためです

どんなに対策していても、何が起きるかわからないのが受験です。

初めての受験で、いきなり第一志望に臨むと緊張のあまり実力が発揮できず、悔しい思いをすることにもつながりかねません。

本命校の前に併願校で「受験本番の練習」をしておくと、場に慣れることができ、本命受験で実力を発揮しやすくなります。

まとめ

併願校は「もしかしたら行くかもしれない学校」です。第一志望ではないからどこでも良い、と適当に選ぶのではなく、やりたいことができそうな学校、お子さんが輝けそうな学校を選びましょう。

併願校受験では、入試日程や難易度、入学手続締切日をチェックします。第一志望校の受験にも影響を与える要素も多いため、入試要項とカレンダーを丁寧に見比べてスケジュールを組みましょう。

お子さんが本命受験で最高の結果を手にできるよう、併願校を戦略的に利用してみてください。

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塾探しの窓口編集部

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