国語の文法は得点源にすべき!勉強法や入試での出題例も解説

更新日 2024.11.11
国語の文法は得点源にすべき!勉強法や入試での出題例も解説

国語の文法は、残念ながら人気が高いとは言えない勉強のようです。中学生は口を揃えて「よくわかんない」「面倒」「文法を知らなくても困らないし」と言います。

でも文法には、品詞やそのはたらきを覚える以上の、高い勉強効果があると知っていますか?さらに勉強した分だけ得点になる、お得な分野でもあります。

今回は中学国語の文法について徹底解説!苦手になりやすい内容や効率的な勉強法、また入試頻出の文法問題も見ていきます。

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どうして文法を勉強しないといけないのか

文法は正しい意味理解にも、論理思考にも不可欠
文法は正しい意味理解にも、論理思考にも不可欠

普段、日本語でコミュニケーションできているのに、なぜあえて文法を勉強する必要があるのでしょうか。その理由は2つあります。

どうして文法を勉強しないといけないのか

(1) 情報を正しく理解するため

文法は、情報を正しく理解するために役立ちます。たとえば次の文を見てください。何のことか意味がわかりませんよね。文法的に間違っているのが原因です。

「彼は、彼女が持っていた本の興味を示した」

これくらいの易しい文章なら、おかしな部分にすぐ気づけます。しかし説明的文章や評論文といった、「大人が書いた難しい文章」ならどうなるでしょう。読んでいる途中でわからなくなってしまうのは、多くの場合、文の構造を追えていないことが原因です。

長く複雑な文章を正しく理解するには、文法を利用し文構造を追う力が欠かせないのです。

(2) 論理的に読み書きできるようになるため

「論理的に」という言葉は、近年よく聞かれるようになりました。学校でも「論理的な情報処理を」などと言われます。論理的とは、「理路整然と情報を伝え合えること」のことです。

理路整然と、順を追って分かりやすく相手に伝え、また理解する際に不可欠なのが文法の力です。接続詞や助詞を使いこなし、要素を適切に並べ、情報の関係性を整理するのは、すべて論理の力であり、文法力に繋がります。

文章理解にも作文にも、さらには面接やプレゼンテーションでも役に立つ、とても実用的な力、それが文法なのです。

文法学習で中学生がつまずきやすいポイント

「はたらきが似ていて紛らわしいもの」の区別が難しい
「はたらきが似ていて紛らわしいもの」の区別が難しい

文法は実学だった、とわかりました。しかし、そうはいっても学校で勉強する文法は「え~、面倒くさい!」と言われやすい存在です。

中学生は一体、文法のどんな点でつまずき、面倒に感じるのでしょうか。紛らわしいポイントを5つにまとめました。

(1) 「修飾-被修飾」「並列(並立)」「補助」の関係

文の要素同士の関係が理解できないと、文法の入り口で苦労することになります。特に「修飾-被修飾」「並列」「補助」という3点は要チェックです。

「修飾-被修飾」「並列(並立)」「補助」の関係
修飾-被修飾:ある言葉と、それを詳しく説明している言葉との関係性。
例、「美しい→花が、たくさん→咲く」(「→」は修飾関係)

並列:2つ以上の文節が同じ関係で並ぶもの。
例、「花や|草木が生い茂る」(「花や」と「草木が」が対等関係)

補助:メインの意味を表す言葉の直後に付き、意味をそえる言葉。
例、「花が咲いて-いる」(「咲いて」がメイン、「いる」は補助)

(2) 副詞・形容詞・形容動詞・連体詞の違い

働きが似ている「副詞・連体詞・形容詞・形容動詞」の区別も苦労し安いポイント。違いがひと目でわかる表を作りました。共通する部分・違う部分に注目してみてください。

副詞・連体詞、形容詞・形容動詞は「違い」に注目して覚える
副詞・連体詞、形容詞・形容動詞は「違い」に注目して覚える

(3) 連体修飾語と連用修飾語、連体詞

連体修飾語と連用修飾語は、文中でのはたらき(機能)で区別されます。「連体」、つまり“体”言(名詞・代名詞)に“連”なるのが、連体修飾語。同じように用言(動詞・形容詞・形容動詞)に連なるのが連用修飾語です。

文中でのはたらきとは、主語や述語とおなじ階層のものと考えてください。

また混乱しやすいものに「連体詞」があります。体言に連なる言葉なので連体修飾語と混同しやすいのですが、こちらは「品詞」です。連体詞は必ず連体修飾語ですが、連体修飾語は連体詞とは限りません。グループが違うと押さえましょう。

名前を暗記しても×。はたらきやグループを区別する
名前を暗記しても×。はたらきやグループを区別する

(4) 助詞と助動詞

テストや入試で最も問われるのが「助詞・助動詞」です。どちらも「他の言葉にくっついていないと存在できない語(付属語)」ですが、助詞は活用しない(形が変わらない)、助動詞は活用する(状況に応じて形が変わる)という違いがあります。

(例)「私は中学生だ」

この文章では、「は」は助詞です。私が「僕」になっても「彼」になっても、形はかわりません。一方、文末の「だ」は助動詞です。「だろう」「だった」と、状況に応じて形が変わるからです。

助詞と助動詞は「活用の有無」で見分けましょう。

(5) 敬語:尊敬語と謙譲語と丁寧語

「敬意の方向」という解説が混乱を招くのが、敬語です。

尊敬語と謙譲語は、どちらも結果的に相手を自分より高くすることで、敬意を表す言葉ですが、相手の高め方に違いがあります。「相手を直接上げる」のが尊敬語。自分を下げることで、相手を相対的に高めるのが謙譲語です。

敬語は自分と相手の「位置関係」を考えると分かりやすい
敬語は自分と相手の「位置関係」を考えると分かりやすい

丁寧語は文章に添えて丁寧さを表す言葉なので、そもそも尊敬語や謙譲語とは扱いが異なります。

(例)「私は中学生だ」→「私は中学生です」

この文章では「です」が丁寧語に当たります。

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文法は短期集中で克服しよう!おすすめ勉強手順

文法学習は始めたら一気に!飽きる前に完了させるのがコツ
文法学習は始めたら一気に!飽きる前に完了させるのがコツ

文法は学ぶべき内容が多いわけではないので、期間を区切って集中的にトレーニングするのがおすすめ。文法学習に飽きる前に終わるよう、一気に進めましょう。

文法は短期集中で克服しよう!おすすめ勉強手順

(1) 文法の参考書を用意する

まず、お子さんが使いやすい文法の参考書を用意します。学校で配布されたもの、または書店で良さそうなものを探してもOKです。

『これでわかる 中学国文法』は、大学入試参考書として高評価を取得している「シグマベスト」シリーズの、中学国文法の参考書です。解説と問題演習が1冊になっていて、理解したら即練習ができるのが便利ですよ。

くわしい 中学国文法 』(文栄堂)

とにかく解説が詳細な参考書がこちら、『くわしい 中学国文法』です。本文だけで288ページ、さらに別冊解答40ページというボリュームです。高校生になっても使える本格的な文法知識を身につけたい方にもおすすめです。

(2) 単元ごとに基本事項を理解する

次に参考書を丁寧に読みながら、基本事項を理解していきます。

このとき「疑問はその都度解決する」という姿勢を徹底しましょう。「連体修飾語と連体詞」「形容詞と形容動詞」など、疑問を感じやすい箇所こそ、テストや入試で狙われるポイントだからです。

参考書だけで解決できなければ、インターネットの情報なども参考にして、納得するまで追求します。文法解説をしてほしい、と塾に相談してみても良いでしょう。

(3) 練習問題を解いてみる

基本事項が理解できたら、練習問題を解いてみましょう。参考書についている問題や、学校のワークで構いません。

練習問題を解く際は、勉強した内容を意識しながら取り組むのが大切です。どうしてその答えだと思ったのか、他の選択肢はなぜ違うと思うのか、根拠を説明できれば完璧ですよ。

(4) 品詞分解もおすすめ

さらに実力をつけたい中学生は、練習問題の短文を品詞分解してみてください。品詞分解は単語一つひとつの働きが分かっていないとできません。勉強した文法知識をつなげ、理解を深めるのにうってつけの勉強です。

解答・解説に品詞分解までは載っていない場合は、学校の先生に答え合わせをお願いしてみると良いでしょう。

(5) 助詞や接続詞に注意して長文を読んでみる

文法学習が一通り終わったら、説明的文章を一つ読んでみしょう。これまで読みとばすことも多かった細かな単語が、実は重要な意味を持っているのだと実感できるはずです。

特に「助詞」や「接続詞」は、読解をサポートしてくれる大切な要素!順接や逆説などの役割が見えるようになると、文章全体の論理構造がよく分かるようになります。

>>読解問題の解き方や読むコツはこちらに詳しく解説してあります。

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高校入試での出題例を紹介!問題の特徴と配点をチェック

高校入試でも文法問題は頻出。よく出る傾向3タイプ+1
高校入試でも文法問題は頻出。よく出る傾向3タイプ+1

高校入試でも文法問題は頻出です。合格の可能性を高めるためにも、文法問題は確実に正解したいですよね。

高校入試頻出の文法問題を、タイプ別に分類しました。どんな問題が出るのか、よくチェックしてみてください。

(1) 同じ意味の語を見つけるタイプ

同じはたらきの選択肢を選ばせる問題、というものが最もよく出ています。神奈川県では「ない」の識別問題が出題されました(2点)。

引用:神奈川県教育委員会|令和4年度 共通選抜 学力検査問題『国語』問3-(ア)

また令和3年度には「に」の識別問題も出ました(2点)。

引用:神奈川県教育委員会|令和3年度 共通選抜 学力検査問題『国語』問1-(ウ)

こうした識別問題は入試では本当によく出されます。その語がどんな意味を持っているか、また紛らわしい語との区別など、しっかり押さえておくことが大切です。

(2) 違う働きの語を選ぶ問題

先ほどの問題は「同じはたらき」を選ぶものでしたが、指示された中ではたらきが異なるものを選ばせる問題も出ています。例題を見てみましょう。

例題
① 冷え込んできたので、うたたねする母にそっと毛布をかけた
② 次回の授業では木工で棚をつくるという。材料を集めなければ。
③ 私が好きなある作家は、個性的な作風で知られている。
④ 今日は難しい宿題が出た。一人でできるだろうか。

解き方は、(1)で紹介した同じ働きを問うものと同様です。指示された箇所一つひとつについて、品詞や意味、周辺の語との関係性を見ながら判断していきましょう。

例題の解答

 
(解説)
4つのうち、①②④は動作を表す「動詞」。③は、後ろに名詞(体言)をとる「連体詞」。よって、はたらきが異なるのは③。

(3) 文節同士の関係を問う問題

文節の関係を問う問題も出ています。京都府の高校入試では、まさにさきほど紹介した文節の関係(修飾-被修飾、並列、補助など)を考えさせる問題がありました。

引用:京都新聞|京都府・滋賀県公立高校 入試問題『国語』第1問-(5)

文節同士の関係は、文法学習の比較的初期に登場する内容です。「ずいぶん前にやったところだから、忘れちゃった」とならないように、直前期に全体を復習しておくことも大切です。

(4) その他の問題

熟語の構成を問う問題が出される場合もあります。問題例を紹介します。

例題
「着席」という熟語は、どのような構成になっているか。
ア.意味が似た漢字を組み合わせている
イ.上下で修飾・被修飾の関係になっている
ウ.下の字が上の字の目的語・補語になっている
エ.上下で主語・述語の関係になっている

熟語の構成を問う問題も、基本的に文法知識で解くことができます。

例題の解答

 
(解説)
「着席」は、「(席に)着く」という構成。「着く」という動詞に対して、「どこに」(目的語)を説明しているため、正解は「ウ」となります。
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文法をマスターしておくと、高校でも有利!

文法は国語の基礎。高校での学習にもメリットが沢山
文法は国語の基礎。高校での学習にもメリットが沢山

中学で文法をしっかり勉強しておくと、高校の国語にも良い影響が期待できます。高校からは国語が「現代文」「古文」と分かれますが、それぞれ有利なポイントを見てみましょう。

(1) 高校国語(現代文)で有利になるポイント

高校の現代文では、中学までとは比べ物にならないくらい長い文章を扱います。高校入試と大学入試における、問題本文の文字数を見ても一目瞭然です。

・高校入試(東京都の場合)での説明的文章:約2500字

・大学入試共通テストの現代文(2022年度・評論):約7,000字

当然、文章自体のテーマや内容も難しくなります。高校3年間の勉強の上に待つ問題とはいえ、およそ3倍の分量を読まなくてはいけないのです。

膨大な文章を速く・正確に読み解く武器となるのが、文法知識です。文法は語と語、文と文の構造を的確につかむサポートをしてくれるので、難解な文章も論理的に読み進められます。大学入試を目指す中学生は、特に今のうちから文法をしっかり勉強しておきましょう。

(2) 高校国語(古文)で有利になるポイント

高校では、古文の文法も詳しく勉強します。親御さんのなかにも、「あり・をり・はべり・いまそかり」と暗記した記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そしてこの古文法、実は中学で学ぶ国文法とかなり構成が似ています。中学で国文法をしっかりマスターしておくと、高校の古文で改めて覚えることが少なくて済み、スムーズに勉強が進むというメリットがあるのです。

国語対策や文法習得におすすめの個別指導塾5選

文法力と国語の得点アップなら個別指導がおすすめ
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まとめ

副詞、連体詞、活用…、と文法知識をそれ単体で勉強していると、確かに「これが何の役に立つのか」と疑問を覚えることもあるでしょう。しかし文法は正しく情報を伝えるため、また論理的に考え、表現するためにとても重要な役割を果たしていることがおわかりいただけたでしょうか。

文法は勉強する内容が多くはない上に、勉強すればしただけ得点になって返ってくる、ある意味コストパフォーマンスの良い分野です。長期休みなどの課題として、取り組んでみてください。

自分では気が向かない…、というお子さんには、塾で文法特訓をしてもらうのもおすすめ。季節講習やテスト対策メニューなどで文法講座を開いている塾もありますので、そちらを利用するのも良いでしょう。

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この記事を書いた人

塾探しの窓口編集部

塾探しの窓口編集部

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