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数学を得意に!『計算トレーニング』の手順を詳しく解説
中学生の勉強相談の中でも、「数学の計算」に関するものはかなり多くお聞きします。「どうせ間違えるもん」と計算練習を避けたがるお子さんも多く、その結果、数学の成績が伸び悩むという悪循環に陥ることも少なくないようです。
今回は、計算が得意になれるトレーニング方法について、詳しく解説します。計算の重要性をはじめ、どんな問題をどの順番で進めるべきか、途中式はどれくらい書くべきか、計算ミスをなくす方法は?など、困りやすいポイントも網羅しました。
それでは、そもそも「計算力とは一体何なのか?」という疑問を考えるところから始めていきましょう。
数学が苦手になる原因「計算力」、その正体とは?
計算力は数学の土台となる力ですが、どんな力かというのはあまり知られていないようです。“ホントの計算力”とは一体、何なのでしょうか。
(3) 数学は論理の学問
近年、「論理の力」というものが盛んに議論されるようになりました。世界の複雑さが増し、価値観が多様化する中で課題を解決するには、過去の成功体験や勘に基づく判断ではなく、根拠を持って論理的に考えることが有効だと考えられているためです。
そして数学は、この「論理の力」を伸ばす学問です。実際、学習指導要領においても「数学的なものの見方・考え方」「論理」という言葉がよく登場します。
(前略)「数学的な見方・考え方」は,数学的に考える資質・能力の三つの柱である「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」及び「学びに向かう力,人間性等」の全てに働かせるものと考えられる。さらに,「数学的な見方・考え方」は,数学の学習の中で働かせるだけではなく,大人になって生活していくに当たっても重要な働きをするものと考えられる。
引用:文部科学省|平成29・30年改訂 学習指導要領、解説等「中学校学習指導要領解説」(数学)
数学は「勉強しても、役に立たないよ」なんて言われることが多い科目ですが、いえいえ、そうではありません。数学で身につけられる「論理の力」は、実社会での課題解決に直結する実学的な学問なのです。
そして論理の力が、もっともシンプルに表現されたのが計算です。順を追って道筋を作り、解に辿り着くという過程を論理と言わずして何と言うでしょうか。計算を通じてお子さんにつけてあげたい力、それは論理の力なのです。
数学の力を伸ばす計算トレーニングのコツ
計算トレーニングは、やり方次第で数学の力を見違えるほど伸ばすことができます。ポイントは3つ!手近な計算問題を持ってきて、お子さんと一緒にやりながらコツをつかんでいきましょう。
(1) 公式は覚えてはいけない
正確には「公式は、その字面を丸暗記してはいけない」ということです。最終的には覚えるのですが、「なぜその形になっているのか」「どういった場面で使うのか」を理解してから覚えてほしいのです。
「なぜその公式はその形なのか」理解する
たとえば展開・因数分解の公式に、次のようなものがあります。
a² + 2ab +b² = (a+b)² |
左辺の真ん中に注目してください。「2ab」には、なぜ「2」がついているのでしょうか?
それは右辺の「 (a+b)²」 を実際に計算してみると分かります。
(a+b)² =(a+b) (a+b) =a2+ab+ba+b2 =a2+ab+ab+b2 =a2+2ab+b2 |
元の公式の左辺と同じ形になりました。
2つ出てきた「ab」をまとめたのが「2ab」だということですね。
これは分かりやすい例ですが、公式は「なぜその形になっているのか」を理解しておくことがとても重要です。万一、公式をど忘れしても、導出の過程を理解していればその場で導くことができます。しかし字面だけを丸暗記していたのでは、忘れてしまうとどうしようもありません。
「その公式はどういう場面で使えるのか」も覚える
公式は「どこで使うか」という情報もセットで覚えておくことが大切です。使うべき場面を覚えておかなければ、せっかく覚えた公式も威力を発揮できません。
中学生に多いのは、「変化の割合=yの増加量/xの増加量(xの増加量分のyの増加量)」と呪文のように覚えているにも関わらず、一次関数の問題に当たったときに、適切に公式を思い浮かべられないこと。これでは何のために覚えたのかわかりません。
公式を覚える際は「なぜその形なのか」「どんな場面で使うものか」を、セットで覚えるようにしてください。
(3) 途中式は、はじめは全部書く!慣れたら省略してOK
途中式はどの程度書くべきか、というのはさまざまな議論があるテーマです。
テストや入試では制限時間がありますから、お子さんがしっかり理解できる程度には省略できるよう練習しておくことは大切です。
ただし、計算トレーニングの初めから省略しようとしなくてOKです。特に計算が苦手、慣れていないお子さんは、省略しなきゃ!と思うとそちらにばかり意識が向いて、肝心の計算がおろそかになることがあるからです。
計算トレーニング初期は、「全部書く」くらいでちょうど良いでしょう。1行1行、何をやっているのかを考えながら丁寧に進めます。「さすがにこれは書かなくてもできる」と気づいたところで、徐々に省略していけば十分です。
計算を極めれば、文章題も解けるようになる!具体的な練習方法
ここからは、計算トレーニングから文章問題まで、無理なくステップアップしていける勉強法を紹介します。
トレーニングで身につけた計算力を文章題へ応用するためには、問題演習の順番を工夫するのがコツです。
(2) 教科書の章末問題の計算に取り組む
例題や練習問題がマスターできたら、教科書の章末問題に取り組んでみてください。ここまではまだ計算問題だけ進めます。
もし計算練習を進める中で、不安な点やよく分からないところが出てきたら、必ず復習しておきましょう。必要に応じて前学年までさかのぼることも大切な勉強です。
(4) 解説は一行一行を熟読し、説明できるレベルを目指す
さてここで、答え合わせの仕方を確認しておきましょう。
数学の答え合わせは、計算結果と正解を照合するだけでは足りません。大切なのは解説を熟読すること!特に教科書の章末問題レベルの問題や、入試の第2問レベルの問題は、解説も丁寧に読み、解き方の道筋や考え方を理解しましょう。
解説を読み、気づいていなかった着眼点や、なるほど!と納得したヒントなどは、ノートにメモします。ただ読むだけよりも、メモに書き残した方が理解が深まり、記憶にも残りやすくなるからです。
解き方や道筋を理解する、このひと手間が、数学的な思考回路や発想を育ててくれます。「数学はセンス」という人は、このひと手間を意識せずにできている人なのです。よって計算トレーニングに使う問題集は、解説が充実しているものを選んでくださいね。
(5) いよいよ文章題にチャレンジ!
計算トレーニングもかなりレベルアップしてきました。入試の第2問レベルが解けるようになったら、いよいよ長い文章題にチャレンジしましょう。
学校ワークや多くの問題集には、問題のレベルが表示されています。まずは「A問題(基本)」からはじめ、徐々にB問題、C問題とステップアップします。この時も、解説を一行一行熟読し、自分に足りない発想を補っていく、という視点は忘れないでください。
また問題を解いた後は、「こういう問題は/こんな風にすれば解ける」と問題を分類していくのもおすすめです。中学数学の問題には出題パターンというものがあり、問題を類型化できるからです。
知識がバラバラなままでは、どんなに問題演習をしても数学が得意にはなれません。問題を見て初めて解き方を考えるのではなく、「こういう問題は/こう解く」という構造を見つける意識で頑張っていきましょう。
まとめ
計算は数学の土台となる、とても大切な勉強です。つい、応用問題や文章題に目がいきがちですが、それらが解けない原因が計算力にあることも多いのです。正しい計算トレーニングを積み重ね、数学力の底上げを図っていきましょう。
ただし計算トレーニングは、結果が出るまでに時間がかかることもあります。反復が大切な学習でもあるため、お子さんが途中で嫌になってしまうことも。
そんな時は、ぜひ塾に相談してみてください。塾は専用の計算トレーニングメニューや教材を持っていることも多く、お子さんの状況にあわせて適切なフォローを行ってくれます。計算の力が付くと数学全体への自信につながり、もっとやりたくなるという好循環が生まれることも期待できますよ。
塾探しの窓口を使うと、お近くの塾が簡単に見つかります。一日も早くお子さんに合う塾と出会い、計算トレーニングをスタートさせましょう!