「専願」とはどのような受験方式?注意点まで詳しく解説

更新日 2024.08.07
「専願」とはどのような受験方式?注意点まで詳しく解説

入試は方式や日程のバリエーションが豊富で、専門的な用語も多いため「つまり、どういうこと?」と悩む方からのご相談が数多く寄せられます。

いざ、募集要項を前にすると「入試要項にある『専願』とはどのような方式?」「併願とどう違うの?」と不安に感じるのも自然な心理です。

この記事では、「専願」と呼ばれる受験方式を詳しく解説します。併願との違い、専願でなければならない日程や知っておきたい注意点もまとめました。入試方式を正しく理解するヒントとして、ご活用ください。

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入試における「専願」とは?メリットとデメリット

専願で合格したら入学が必須。第一志望に選ばれる入試日程
専願で合格したら入学が必須。第一志望に選ばれる入試日程

専願とは、主に私立の中学・高校・大学で採用されている受験方式です。「単願」とも呼ばれます。

専願は「合格したらかならず入学する」ことを前提として出願する方式です。学校側は入学者があらかじめ確保でき、受験生は進学先を確保することができることから、双方にメリットのある方式といえます。

そのため専願で受験する生徒に対しては、「他の入試方式より合格しやすい」「優遇措置がある」など特別な配慮をする学校も存在します。

専願と併願の違い

入試における「専願」とは?専願と併願の違い

専願と併願の大きな違いは、「合格=入学」となるかどうか。専願と似た言葉に「併願」があります。両者の違いは、次のとおりです。

 専願併願
合格したら入学確約が必要辞退も選択可能
他日程の受験併願のみ可すべて可
日程もっとも早い専願に次いで実施
合格難易度優遇される平均的

専願はすでに紹介したように、学校側と生徒側双方にメリットがある方式です。特に生徒にとっては、

・早い段階で合格をもらえる

・万が一専願で不合格になっても、日程が早いことがほとんどのため、新たに別の受験校に気持ちを切り替えられる

というメリットがあります。

ただし、生徒側にはデメリットもあります。合格した場合は入学を確約する必要があるため、他の学校を専願で受験することはできません。専願で2校受験することは、調査書なども含めた受験のシステム上できないのです。

また、合格した場合は、よほどの事情(家計状況が急変し、授業料が支払えなくなったなど)がない限りは、入学辞退は基本的にできません。「とりあえず受かりやすそうだから専願にしよう」と、あまり学校を調べずに受験してしまうと、入学してから「こんなはずではなかったのに…」と後悔することになるかもしれません。

第一志望がはっきり決まっている場合は専願を利用するとよいでしょう。第一志望以外の学校の受験では、併願を選択しましょう。

一方、併願は、日程さえ重ならなければ他校や他の受験方式を受けても構いません。合格した場合も、併願校に入学するか合格を辞退するか選択できます。

併願は、第一志望に不合格だった場合に進学先を確保する手段として利用されます。「第一志望校は公立高校だが、万一のときの保険として私立高校を併願受験する」といったケースです。

大学入試・高校入試・中学入試の専願入試の日程は以下のリンクからスクロールできます。

> 専願でなければならない高校入試日程は3つ
> 専願でなければならない大学入試日程は3つ
> 専願でなければならない中学入試日程は1つだけ

また、併願について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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専願でなければならない高校入試日程は3つ

高校入試では公立の自己推薦型入試と私立の専願入試に注意
高校入試では公立の自己推薦型入試と私立の専願入試に注意

高校入試で専願での受験が必須の入試日程は、次の3つです。

高校入試で専願が前提となる日程
・公立高校の自己推薦型入試
・私立高校の専願入試
・私立高校の推薦入試(※)

※ 一部の私立高校の推薦入試は併願もあり

それぞれの違いや注意点を解説します。

(1) 公立高校の自己推薦型入試

公立高校の自己推薦型入試は、1月下旬~2月に実施されます。自治体によって名称はさまざまですが、「前期選抜」「特色入試」「特別選抜」などと呼ばれる日程が該当します。

高校側が示す推薦基準に合致する生徒なら誰でも出願でき、基本的に中学校長の推薦書は不要です。入試は面接を中心に行われ、中学校時代に力を入れたことや部活動・特別活動などの実績をアピールします。

合否は面接など実施した試験の結果と、調査書記載内容の総合評価で決まります。

合格したら入学確約が前提となる専願入試です。

(2) 私立高校の専願入試

私立高校には、一般入試で専願日程を設定する学校が多くあります。入試のなかでも早期に実施されるのが特徴で、早い学校だと12月ごろに試験が実施されます。

一般入試のため学力試験は課されますが、合格基準が比較的緩いケースが多いようです。成績に自信がない生徒でも受かる可能性が高いといわれます。

「併願日程では合格が厳しいかもしれない」と思われる生徒が、あえて専願で受験し合格を勝ち取る例もよく見られます。

(3) 私立高校の推薦入試

私立高校で実施される推薦入試の多くは、専願です。ただし、中には「併願推薦」を実施している高校もあるため注意してください。

私立高校の推薦入試には、中学校長の推薦書が必要です。また専願の場合は、受験すればほぼ合格といわれます。これは中学校と高校の間で、事前に推薦条件や合致する生徒像のやり取りをしているためです。

(4) <注意>専願と専願は受験できない、専願と併願は受験可能

高校受験は「なんとかして合格したい」思いから、合格できそうな日程を端から受けたくなってしまうかもしれません。

しかし「公立高校の自己推薦入試×私立高校の専願入試」など、専願入試の2校以上の受験はできない点に注意しましょう。

公立高校の自己推薦入試を受ける場合、ほかに受験できるのは「私立高校の併願入試」「公立高校の一般選抜」です。

「専願×専願=NG・専願×併願=OK」、この原則をしっかり守るようにしましょう。

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専願でなければならない大学入試日程は3つ

大学入試は日程が多い。受験条件に要注意
大学入試は日程が多い。受験条件に要注意

大学入試のうち、専願が前提となる日程は次の3つです

大学入試で専願が前提となる日程
・指定校推薦入試
・学校推薦型入試
・総合型選抜入試

それぞれの違いや注意点を解説します。

(1) 指定校推薦入試

指定校推薦入試とは、大学と高校とのあいだで交わされた取り決めに従って選抜が行われる入試方式です。

大学は高校に「推薦枠」を与え、高校はその大学に進学を希望する生徒を選考します。大学は、高校の選考を通過し推薦された受験生に対して面接などの試験を行い、合否を決定します。

指定校推薦入試は、次に述べる「学校推薦型選抜」の1種です。ただし、高校の校内選考を通過すれば合格がほぼ決まる点が異なります。

(2) 学校推薦型入試

学校推薦型入試は、大学が示す推薦基準に合致する生徒が高校長の推薦書を携え受験する入試方式です。

推薦基準には「スポーツの実績」「学業成績」「特別活動・課外活動の実績」などがあります。試験は面接や小論文、実技などが課され、合格した場合は入学が前提となります。

指定校推薦とは異なり、受験したからといって合格できるとは限りません。人気大学の学校推薦型入試は倍率も高く、狭き門となっています。

(3) 総合型選抜入試

総合型選抜入試とは、AO入試に代わり2021年から始まった新しい入試方式です。大学の求める学生像「アドミッション・ポリシー」に合う生徒を選抜する狙いで行われています。

面接やプレゼンテーションなど、時間をかけて自分をアピールできる場も多いため、部活や特別活動、資格試験などPRできる要素が多い受験生に向いています。

総合型選抜入試の倍率は、一般入試と同程度です。合格できるかどうかは受験してみないと分かりませんが、合格できた場合は入学確約が必要となります。

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(4) <注意>高校の「私大専願コース」は意味が異なる

高校のカリキュラムによって分けられた進路別コースに「私大専願」がある場合、その「専願」は受験方式の専願とは意味が異なります。

私大専願は、「国公立大学は受験しない・私立大学のみを受験する」という意味です。2~3教科で受験できるため私立大学対策として、高校が3教科だけの授業を行う私立大学専用コースを設置する、これが「私大専願コース」です。

受験における専願とは、意味が異なる点に注意しましょう。

(5) 結果的に1大学しか受験しない場合も「専願」と呼ぶ場合がある

専願ではない日程の受験でも、1大学しか受けない場合を「専願」と呼ぶ場合があります。この場合の専願は「第一志望」「本命」と同義です。

「第一志望が国公立大学で、併願としての私立大学は受験しない」「第一志望の大学に不合格だったら、浪人する覚悟だ」など、第一志望1校だけを志願するという意味で「専願」を使います。

受験日程の専願とはニュアンスが異なりますので、気を付けましょう。

専願でなければならない中学入試日程は1つだけ

中学入試の日程はとてもシンプル、だからこそ細心の注意を
中学入試の日程はとてもシンプル、だからこそ細心の注意を

中学入試はそもそも実施している学校の割合が多くないため、専願での受験が必須の入試日程も以下の1つだけとシンプルです。

中学入試で専願が前提となる日程
・私立中学の専願入試

特徴や注意点を解説します。

(1) 私立中学の専願入試

私立中学の入試日程のほとんどは、併願入試です。合格した後に、入学するか辞退するかを決められます。

専願入試を実施している中学校は、埼玉県や千葉県、愛知県、大阪府、京都府などにあります。専願入試日程で受験した場合は、合格したら入学することが前提となるため、注意しましょう。

専願入試は一般入試に先だって実施されます。適性検査やプレゼンテーションを実施する中学もあるため、募集要項をよくチェックしてみてください。

(2) 公立中高一貫校と私立中学は併願できる

「クオリティの高い指導をコスパよく受けられる」と人気の公立中高一貫校は、私立中学と併願できます。多くの生徒は「公立中高一貫校が第一志望で、滑り止めとして私立中学を受験する」ようですが、中には合格した難関私立中学を入学先に選ぶご家庭も、もちろんあります。

なお、公立中高一貫校の入試では適性検査が課されます。3~4教科の学力試験が実施される私立中学とは対策が異なるため、塾や学校の先生に対策をよく相談しておきましょう。

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専願受験に関して知っておきたい8つのポイント

辞退や合格率など、専願についての疑問・不安をQ&Aで解決
辞退や合格率など、専願についての疑問・不安をQ&Aで解決

「受ける以上は、受かってほしい」、これは受験生の親御さんなら誰もが思うことです。しかし中には、ルールや情報を知らなかったばかりに残念な結果になるケースも見られます。

専願受験に関して、最低限知っておきたいポイントを8つのQ&Aにまとめました。受験成功のために、正しい知識を身につけましょう。

(1) 専願で受験したが併願校に進学したい。合格は辞退できる?

A.できなくはありません。ただし、後輩に悪い影響を与える可能性があります。

合格後に入学手続きをしなければ、合格は取り消されます。併願校に入学手続きをすれば、併願校へ進学決定です。

ただし、専願での合格を辞退すると出身校の評判を落とし、後輩に悪影響を及ぼすおそれがあります。「翌年度から指定校推薦枠がなくなる」「合否判定が厳しくなる」などが一例です。

専願は合格したら入学するのが前提の受験日程です。受験前に進学先としてふさわしいかどうか、十分吟味しましょう。

(2) 専願で受験すると優遇措置があると聞いた。本当?

A.学校によっては、加点や特待生などの優遇措置があります

入学を確約してくれる専願受験生は、とりわけ私立学校にとってはありがたい存在です。そのため入試でも専願受験生に対して「加点」「成績優秀者は特待生」などの優遇措置をとる学校があります。

詳細は募集要項に記載されていますので、チェックしてみてください。

(3) 専願入試を2つ以上受けたい。内緒にしていればバレない?

A.残念ながらバレます

入試には、出身学校の調査書が必要です。調査書を発行してもらう際は、「どの入試でつかうのか」を先生にかならず伝えるため、内緒にはできません。

また専願入試はその他の入試よりも早い時期に行われます。本来、複数の調査書が必要な時期ではないため、先生も気付く可能性が高いでしょう。

(4) 専願入試はかならず合格できる?

A.かならずではありませんが、合格の可能性はかなり高いといわれます

専願のうち、受験すればほぼ合格といえるのは「私立高校の専願推薦」「大学の指定校推薦入試」のみです。その他の専願入試は、受験しても合格できるかどうかは分かりません。当日の試験で得点が低すぎた場合や調査書に問題があった場合は、不合格も十分ありえます。

ただし専願は、合格ボーダーラインを他の入試より低めに設定するなど、合格しやすい措置が取られています。

(5) 専願入試で合格できなかったら、どうすればよい?

A.他校を受験する、同じ学校なら一般入試を受験しましょう

もし専願入試で不合格だった場合は、2つの方法が考えられます。

1.ほかの学校を受験する
2.同じ学校の一般入試を受験する

この1・2は専願入試でなければ、いくつ受けても構いません。

(6) 専願は合否がわかるまで、他の入試に出願してはいけない?

A.併願や一般入試に出願してOKです

専願の合否が判明する前に、併願校の出願締め切りとなってしまう場合もあります。専願の合否決定後では出願が間に合わない場合は、併願校に出願して構いません。

もし専願で合格できたら、併願校は受験に行かなければ良いだけです。ただし、受験しなかった場合でも受験料の返金はありません。

(7) 専願で受けるかどうかは、いつ決めればよい?

A.出願締め切り前・最後のテストが終わった時点で決めましょう

専願は出願・試験日程とも早いため、早期に方向性を決めるのがベストです。もし成績に不安が残る場合は、出願締め切り前の最後のテストが終わった段階で担任に相談し決定しましょう。

専願入試は、出願後の志望変更はできません。行きたい高校、合格できそうな高校をしっかり見極めて出願してください。

(8) 専願で受験する場合、塾には通うべき?

A.時期と試験科目によります

はやいうちから専願入試を狙う場合は、塾に通ったほうが良いでしょう。効率良くテスト対策を進め、調査書の評定アップを目指せるからです。

専願入試での受験が決まってから通塾を検討する場合は、試験科目によって塾の必要性は異なります。試験が面接やプレゼンテーションのみの場合は塾は不要、学力試験や小論文が課される場合は塾での志望校別対策受講をおすすめします。

まとめ

専願入試とは、合格した場合に入学を確約する前提で受ける入試日程です。入学を確約する代わりに、合格ボーダーラインが他の入試より低めで合格しやすいといわれます。

第一志望校が専願入試を実施しているならば、ぜひ受験を検討しましょう。

専願を同時に受けることはできませんが、専願と併願の受験は可能です。万一の不合格に備え、併願校も検討しておくと安心です。

また入試制度は毎年のように変更点が発生します。かならずお子さんの受験年度の募集要項で、最新情報を入手するようにしてください。

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この記事を書いた人

塾探しの窓口編集部

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