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塾とは?学校との違いや、進学塾・補習塾の特徴や違いを解説
学校だけでなく塾を利用して勉強しているお子さんは多くいます。まだ塾に通っていないお子さんやその保護者様の中には、周りのお子さんが塾に通い始めて不安を感じている方もいるかもしれません。
塾といっても目的によって選ぶべき塾の指導方法や方針は異なります。ここでは「塾とはどんなところで、学校と何が違うのか?」「塾に通うならどう選ぶべき?」という疑問をお持ちの方に、塾とは何か、塾の種類や選び方について解説します。
塾とは|学校との違い・種類・活用の心得
「塾」は「学習塾」を指すことが一般的
「塾」といえば、通常は「学習塾」を指します。
広辞苑では「勉学を教授する私設の学舎」(=私塾)と表記されます。またブリタニカ国際大百科事典では「公的な学校システムの外に位置する私的な学校」としています。
どちらも学習塾が塾の中心であるとしており、その中でも、受験に対応するための「進学塾(受験塾)」と、学校の授業内容を定着させるための「補習塾」に分かれます。両方に対応できる塾は「総合塾(総合学習塾)」と呼ばれることが多いです。この分類は結城氏ほかの共著によります。
〔参考文献〕『学習塾 : 子ども・親・教師はどう見ているか』結城 忠・佐藤 全・橋迫 和幸(1987,ぎょうせい)|国立国会図書館サーチ
塾と学校との違い
学校も塾も、基本は学習をするところです。しかし、学校と塾には異なる点があります。
【塾と学校との違い①】カリキュラムの違い
「学校」は義務教育として国が定めているもの(小学校・中学校)、そして高等教育となる高校を指します。高校までは学習指導要領という国が定めるカリキュラムがあり、それに従って授業を行います。特に高校では所定の単位や授業時間を全て履修しないと、卒業資格は得られません(通信制高校や定時制高校なども同じです)。私立であっても、「学校」であるからには、国のカリキュラムに従わなければなりません。
一方、「塾」は広辞苑の説明や上記の事典などで「私塾」とあるように、民間の企業や団体が運営する、学校外の学習機関を指します。学校ではないためカリキュラムは各塾が自由に設定でき、授業内容や指導方法もそれぞれ異なります。
塾を最大限に活用するための心得
塾は、「学校の勉強だけでは足りない」「学校の教えられ方では理解ができない」など、学校だけでは不十分だと感じる生徒それぞれのニーズに対して、より充実した授業や課題を提供してくれます。
塾を活用するときは、通う目的をはっきりさせ、それに合ったところを選ばなければ効果は半減します。
塾のシステムを英語で表現すると、”private school”(ただし欧米の「私立学校」と同じ表現のため要注意)、”private lessons outside of school”(学校外の私設授業)、”After school extra lessons”(放課後に行われる追加授業)のようになります。
一方、英和辞典で出てくる”cram school”は、直訳すると「(勉強を)詰め込む学校」となります。受験のために勉強を無理やりさせられる場所、というネガティブなニュアンスで翻訳された語かもしれません。
塾は確かに、ある一面では「勉強を必死に詰め込まなければならない」場所といえます。しかし同時に、学校では得られない色々な経験ができ、一緒に学ぶ仲間と励まし合いながら目標に向かう努力を知る場所でもあります。
ポジティブな姿勢で塾を活用できるよう、単純な「詰め込み」式ではない、お子さんに合った塾を選んであげてくださいね。
塾の種類と違い
塾(学習塾)にはさまざまな種類があります。ここでは塾の違いを説明します。
①進学塾
進学塾は、名前のとおり「進学」を目的として「受験指導」を行う塾です。受験塾とも呼ばれます。
・進学塾の特徴
入会時に学力試験があることがほとんどです。塾によりますが、毎年難関校への合格を多数出している塾では、テストの結果では入塾できない場合もあります。
進学塾はその目的を「志望校への合格」に振り切っているので、授業カリキュラムは塾ごとに練られたものが使われます。塾オリジナルのテキストや演習課題を使って授業を行います。学校の進度とは関係なく授業は進められるため、難度も高くなっており、塾の授業のために予習や復習も欠かせません。塾内で定期的に学力テストを行い、成績によってクラスが上下することも多いです。外部の生徒も参加できる大規模な公開模試を行っている大手塾もあります。
・進学塾のメリット
進学塾に入ることで、自分の志望校に合わせたレベルの問題を解ける環境が得られます。また同じような目標に向けて努力する友達がそばにいることで、勉強へのモチベーションが上がる可能性が高くなります。
あこがれの学校に多数の先輩が合格しているという実績があることで、「この塾でがんばれば自分もきっと合格できる」という自信が得られ、努力につなげられるでしょう。
さらに、進学塾は各中学・高校・大学の受験情報をいち早く入手できることも大きなメリットです。保護者会なども定期的に行われます。
・進学塾のデメリット
進学塾の目的は「受験合格」のため、競争することに疲れてしまい、逆にモチベーションが下がって下がって気をなくしてしまう子もいます。
また集団指導のスタイルであることが多く、必然的に生徒一人一人に対する目は届きにくくなります。
学力で入塾のときから振り分けを行っている性格上、課題の進め方や授業への取り組み方などは「自分でできる」子が求められます。そのため、言われなくても自分で考えて取り組めている子、自学自習がある程度身についている子でないと、合わないことも考えられます。
②補習塾
補習塾は、「学習を補う」ための塾です。「学校の授業についていけない」「勉強の仕方がわからない」「学習習慣をつけたい」などの悩みがあるお子さんに向いています。授業内容をしっかり理解して基礎学力をつけるために利用すると効果的です。
・補習塾の特徴
どちらかというと小規模~中規模経営の塾が多いです。全国展開の塾もありますが、地域密着型の地元で根付いている個人運営の塾も多くあります。地方の補習塾の中には「親子2代でお世話になった」というご家庭のケースもあります。
・補習塾のメリット
学校の勉強についていけない子は多かれ少なかれ勉強への苦手意識やコンプレックスを持っています。補習塾は基礎の定着、分からないところを分かるようにする指導を行い、基礎学力の定着と、学習のモチベーションを高めることを目的としています。
また学習習慣が身についていないお子さんも補習塾が適しています。進学塾では手取り足取り宿題のやり方や時間の使い方、タスク管理などを教えてはくれません。補習塾では「いつまでに」「どの課題を」「何ページ、何時間やるべきか」まで丁寧に教えてくれることが多いです。
またご家庭との連絡も密なことが多く、勉強を今日はどの程度したか、塾での様子はどうだったかなどを連絡帳で知らせてくれるところもあります。そのため、初めて塾に通うお子さんにもおすすめです。
・補習塾のデメリット
その名前のとおり、あくまでも「補習」が目的のため、レベルの高い応用問題や受験問題はほとんど取り扱いません。基礎はできており、より高いレベルを求めているお子さんには進学塾のほうが合っているでしょう。
③総合塾
総合塾は、進学塾と補習塾のハイブリッドといえます。ひとつの塾内に「進学コース」「補習コース」にクラス分けされている場合と、同じ系列の塾で「進学塾」と「補習塾」がそれぞれ別に運営されている場合があります。
・総合塾の特徴
大手が運営していることが多いですが、地方では小規模~中規模の塾もあります。多くは入会の際にクラス分けのテストが行われ、テストの結果で「進学コース」「補習コース」に分けられます。
大手の場合は進学コース・補習コースそれぞれがまたいくつかのクラスに成績順で分けられており、定期的な塾内のテストでクラスが入れ替わることもあります。
・総合塾のメリット
総合塾を選ぶと、自分のレベルに合ったクラスが入会時にわかり、授業を受けられます。最初は補習コースで学び、成績が上がったときには受験コースにスムーズに移ることもできます。
また大手であることが多いため、受験に関する情報は豊富で、定期的にオープンキャンパスへの案内や保護者説明会なども行われます。
・総合塾のデメリット
自分の志望する学校向けの受験コースに入りたいと思っても、入会時のテスト結果では入れないことがあります。その場合は補習コースの中で成績別にクラス分けがされているところを選び、いちばん上のクラスになってから受験コースに移動することになります。
また、同じ塾内ながら、補習コースと進学コースで講師にレベル差があることがあります。進度や扱う問題内容やレベルも異なること、進学コースでは補習コースのように丁寧にゆっくり教えてくれるわけではないことから、受験コースに入っても馴染めないこともあり得ます。
人数が非常に多い大手塾の場合は一人一人に目が行き届かないので、補習コースから進学コースに変わって困ったことがある場合は、早めに講師や塾長に相談してください。
「指導方法(スタイル)」による塾の違い
塾(学習塾)は指導方法、スタイルも塾ごとに異なります。ここでは塾の「指導方法」による違いを説明します。
③オンライン指導塾・映像指導塾
オンライン指導塾は、コロナ禍で増えた非対面の塾です。インターネットで端末同士をつなぎ、画面越しに授業を行います。感染症の心配がなく、先生の顔も見えるので教室にいるように授業を受けられます。
いつでも、どこにいても授業が受けられ、勉強できるため、自分に合わせた学習計画が立てられます。また料金も対面の塾と比較して安くなるケースも多いようです(塾により異なるため、要確認)。
オンライン指導は集団指導塾でも個別指導塾でも行われますが、もともと対面の塾はあくまでも「対面授業ができないとき」「生徒の都合で通塾が難しいとき」に、代替の方法としてやむを得ず使われる傾向があります。またライブ配信される場合と、録画授業をアーカイブ配信する場合があります。個別指導塾で特にマンツーマンの場合は、ライブ授業になるようです。
一方、オンライン指導だけを提供する塾も増えました。料金や指導内容、サービスに塾ごとで差が大きいため、事前にしっかり確認するようにしましょう。
映像指導塾は、コロナ禍前からあった「映像授業を見て勉強する」塾を指します(東進ハイスクールなどが有名)。有名講師の授業を何度でも見られます。どちらかというと自学自習に近い指導方法のため、生徒には自主性が求められます。自主性がないお子さんの場合、映像授業を見ながら寝てしまう子もいるようです。
【目的2】学校の授業内容を理解して定着させたい
・総合学習塾
主に補習塾、総合学習塾の補習コースが対応できます。
【目的3】内申点対策をしたい
・補習塾
・総合学習塾
内申点とは、中学・高校での成績を点数化したものです。高校受験や大学受験で受験校に提出するもので、受験の合否判定に使われます。
特に高校受験では内申点はほとんどの場合、とても重要です。内申点が不足していると、どんなに筆記試験を頑張っても総合得点で合格点に届かないことになり、不合格となってしまいます。
公立高校の内申点の取扱いは、都道府県によって、どの学年から点数化して受験校が参考にするかが定められています。中1のときの成績が内申点として記録される自治体もあるため、自分の志望校の入試システムをよく理解しておく必要があります。
内申点は受験本番の筆記試験と異なり、3年間をかけてコツコツと積み重ねていくものです。そのため、成績や志望校のレベルにより、適した塾が異なります。偏差値が平均前後〜60未満の高校を志望している場合は主に補習塾を選ぶと良いでしょう。学校の定期テストで良い点をとり、通知表の評価を上げていくことで、内申点アップとともに基礎学力や試験での注意力が身につきます。
偏差値が60以上の難関高校を目指す中学生・高校生は、すでにある程度学校の成績は良いと考えられますので、定期テストではケアレスミスをしないこと、学校での授業態度を良くすることに気を付けましょう。
【目的4】学習習慣を身につけたい
・補習塾
・総合学習塾
・その他(自立型・自習型学習塾、オンライン学習塾、通信教材など)
小学生では、塾に通うのは「学習習慣を身につけるため」というご家庭も多いのではないでしょうか。
「自発的な」学習習慣を身につけることは、大人でも非常に難しいものです。ある程度強制力がないと勉強するのは難しいもの。自分からすすんで勉強する子どもはなかなかいませんよね。塾に通うことで、勉強する時間がある程度強制的に確保されます。小学生だけでなく中学生、高校生も、塾に通うことで知らず知らずのうちに勉強が習慣化できます。
通塾がある対面の塾のほうが、「塾で勉強する時間」を確実にスケジュールに入れられ確保でき、勉強する「習慣」が取り入れられやすいようです。毎日勉強する時間を取ることで具体的な勉強の仕方がわかるようになり、やがて受験期には自発的に勉強することにつながるでしょう。
オンライン指導塾や通信教材でも学習習慣が身につく子はもちろんいます。ただし、家庭での声掛けや課題の丸つけなど、保護者の負担が大きくなることがネックです。これは自習型の塾(公文式など)でも同じ傾向があります。
最近ではこのデメリットへの対処として、オンライン指導塾ではコーチング(勉強の仕方を教えてもらえる、進捗をコーチと確認し合うなど)が無料でついていることも増えています。また通信教材では、トークンエコノミーを応用したごほうびシステム(一日の課題が終わったらゲームができたり、ポイントが貯まって文房具などに交換できる)や、保護者へは勉強時間をLINEなどで連絡するなど、工夫された教材も増えています。
<参考>
一般社団法人日本コーチ連盟:「コーチングとは」
東洋経済オンライン「ご褒美は悪ではない!「トークン」の凄い学習効果」
【目的6】学童代わりに塾を利用したい
・総合塾など(学童保育と提携している塾)
最近、学童保育と塾が連携している「学童保育型の塾」が増えています。おもに、ご両親が働いている小学生向けのサービスとして需要があります。
塾に通うことで、保護者の終業帰宅まで家で一人になることを防ぐ目的があります。学童と塾が提携して学童保育から直接塾に通えるものと、塾が学童保育も運営しているケースがあります。
保護者の方の中には、公立中高一貫校受験向けの塾に「授業時間が長くて終わりが遅いから」と、受験を希望していないのに「学童代わりに」入会させているケースもあるようです。しかし、これはちょっと考えもの。受験を真剣に考えているお子さんや保護者の方の妨げになるおそれがあります。
一般的に、学校の授業は学習指導要領や教育委員会の意向に縛られる傾向があります。塾も受験に合格するために、学習指導要領や各学校の入試傾向に沿う必要がありますが、法律に縛られているわけではありません。
記憶に残る面白い授業をしてくれる先生、生徒にしっかり向き合ってくれる先生、カウンセリングの先生、熱意ある塾長など、さまざまな人に出会えるのが塾のもうひとつの価値です。多様性の世の中に合っているといえるのではないでしょうか。
学校ではできない経験を得られ、世界が広がる可能性がある塾を、ぜひ有効に活用してください。そのためにも必ず無料体験を受け、どのような塾なのか確認するようにしましょう。
まとめ
この記事では、塾とはどんなところなのか、塾の定義や種類、指導方法の違いなどについて解説しました。
塾は基本的に「勉強する」ための場所ですが、塾によって達成できる目的は異なります。受験や進学のため多くの生徒が切磋琢磨する塾、学校の勉強についていけない子に寄り添って丁寧に勉強の仕方を手取り足取り教えてくれる塾まで、多種多様です。
しかしどの塾であっても、目指すところは「お子さんが勉強に対して自信をもつ手伝いをする」ことに尽きます。塾はお子さん一人一人の目的を達成するために授業をし、情報を提供してくれます。保護者の方はお子さんに合った塾を選ぶことで、塾の価値を引き出し、最大限に活用できるでしょう。
お子さん自身に合っているか、通う目的が達成できるかなどをしっかり見極めて、塾を選んであげてください。必ず体験授業を受けましょう。無料の体験授業はほとんどの塾で行われています。
塾を選ぶ方法がわからない場合や、ご自宅の近くにどんな塾があるか知りたい場合は、「塾探しの窓口」を利用してみてください。お住まいのエリアにどのような塾があるのかがすぐわかります。「塾探しの窓口」で、お子さんにぴったり合った塾を見つけてあげてくださいね。